千葉発!幸せが循環する世界初の地域モデルへの挑戦 ドットラインがオフィスを通じて伝えたいこと

Vol.18 株式会社ドットライン

千葉県千葉市美浜区中瀬2-6-1 ワールドビジネスガーデンマリブウエスト 29F

https://www.dotline-jp.com/

「地域密着のグローバル化」を掲げて急成長をとげる株式会社ドットライン。医療・介護・福祉・保育分野の慣習にとらわれることなく変化を続け、大好きな場所で誰もが幸せに生きられる社会をつくろうとする企業姿勢に賛同して集まってくる仲間も急増中。2022年には社員数1000名を超えるため、2021年7月に本社を海浜幕張のワールドビジネスガーデンに移転し、これからさらに同ビル内で拡張予定。オフィスを通して発信したいメッセージや今後の成長構想について代表取締役の垣本様にお話を伺いました。

代表取締役 垣本祐作様

在宅への移行が事業にも採用に追い風に

――高齢者支援、障がい者支援、子育て支援、経営支援の4つの領域で事業を展開されていますが、コロナ禍で御社をとりまく環境はどのように変化しましたか?

医療・介護・福祉分野は、もともと病院や施設でお客様をケアすることがメインの業界ですが、弊社は在宅看護・介護や在宅医療の割合が高かったため、コロナ禍で在宅が当たり前になったことが追い風となりました。病院や施設から在宅分野へ人材も流れるようになり、採用できた医師・看護師・介護士の数も増えました。私たちの業界で働く人が社会の基盤を支えるエッセンシャルワーカーとして認知されるようになり、学生にも憧れの職業として再認識されてきたことも弊社へ応募いただく方が増えている理由だと思います。今年は約40名の新卒が入社しました。23卒は60名の入社を目指して現在採用活動を行っています。
急成長の一方で、現場で勤務している弊社社員の定期的なPCR検査など、リスク管理は大変でした。当社の社員はプロ意識が高いメンバーばかりなので、長期間にわたり私生活でも自粛を続けてくれていたように思います。また、グループに医療法人があるので、ワクチン接種などを早期に対応できたり感染防止のアドバイスをもらえたのは大きかったです。

強さの秘訣

――コロナ禍でも3年連続で2倍成長されていますが、その理由についてどのようにお考えですか?

在宅分野で地域ドミナント戦略で展開してきたことと、組織マネジメントに力を入れていたことが有事の際に強みとしてはたらきました。現在私たちは、千葉市内に約90拠点を展開しておりますが、2022年中には120拠点を超える見込みです。私たちは地域インフラとして官民関わらずあらゆる地域の機関と連携しており、地域の感染状況や新着情報をいち早くキャッチすることができ、属人性がなく代替がきく仕組みがあるため、誰かが急に休まないといけなくなっても流動的に対応ができました。弊社の行動指針であるBASIC8の1つに「変化し続ける」というものがあるのですが、一番大変だった時期にも各事業部の部長が前をしっかり向いて、ピンチをチャンスと捉えて行動を変化させていました。「変化し続ける」文化がしっかり根付いていたことを私としては誇りに思いました。
また、業界の他の企業では採用や新規出店を中止する企業もありましたが、私たちはコロナ禍でも採用や出店スピードを計画通りに進める経営判断をしました。これらがコロナ禍においても成長できた理由だと考えています。

執務室への扉の先に期待が膨らむエントランス

「幸せの循環創造」をテーマに芸大出身のメンバーが中心になってアートを作成 紙片の裏には各メンバーの想いが書かれているそう

エントランスでは映像を大きく投影 来訪者の目も自然ととまる

――お客様にとって、また御社にとって地域密着だからこそ可能なことやメリットはどんなことですか?

今困っているお客様にとってはスピードが一番のニーズであり、それが弊社の地域密着のワンストップで行う事業展開だと叶えられるということです。
医療・障害福祉・介護で制度が縦割りに分断されているのですが、それは行政や制度の都合であってお客様にとっては分断されている意味はありません。だから私たちは1人のお客様を医療・障害福祉・介護・生活支援等の色々な角度からスピード感を持って支援できるよう、ワンストップかつ地域密着で展開してきました。また、24時間365日訪問看護や訪問医療が提供でき、提携している中核病院があることで地域で最後まで寄り添い見守ることができる体制があるので、お客様にもそのご家族にも喜んでいただいています。これまでは病気や要介護状態、障がい者になったら施設や病院で過ごすのが当たり前でしたが、私たちのような会社があることでこれからはご自宅でも過ごせるような時代に変わってきています。
一方、経営的な面での地域密着のメリットは、お客様様が病気・要介護状態・障がい者になってからお亡くなりになられるまで長期間にわたってサービスをご利用いただけることです。また、地域の知人同士での口コミから採用につながることが多く、リファラルが採用全体の15%を占めるほど多いので、良い採用ができています。

――毎年地域で多くの雇用を創出されていると思いますが、採用や育成についてどのようにお考えですか?

医療・介護・福祉・保育などの業界は他の業界より経営やキャリアアップの視点が低いので、私たちはそこを変えていきたいと思っています。弊社では新卒も中途も経営マネジメントコースとプロフェッショナルコースを設けています。経営マネジメントコースでは2年でマネージャークラスを目指してもらい、年商1億円規模の事業所のマネジメントを20代で経験できるような仕組みを作っています。一方、プロフェッショナルコースは技術職など専門性を極められるコースです。各コースの育成プログラムでより良い人材を育てていく予定です。今年の4月から当社の最高顧問となった元セブンイレブンジャパンの常務役員の大村さんと一緒に、これらの育成プログラムや評価設計をより磨き上げ、社員の成長環境を整えていきます。

『ゆうさく』つながりでオフィスを検討!?

――2021年7月に本社をご移転されましたが、その背景や移転先決定までのエピソードを教えてください。

メンバーの増加によって前オフィスが手狭になりオフィスを探そうとなった時に、株式会社ZOZOがワールドビジネスガーデン15Fに入居していたオフィスの一部を西千葉に移転するというニュースを見ました。ZOZOといえば前澤友作さんですが、私は垣本祐作なので、同じ『ゆうさく』という名前で千葉を愛する会社同士、居抜きで入居できたら面白いなと考え、居抜きでの入居を検討しました。ただ、ZOZOさんが内装を大幅に変更されていたことと面積が広かったため、工事費用を見積もると1億円を超えることが判明しました。あまりに高額だったためこの区画への移転を躊躇していた時に、管理会社から同じビル内の29Fをご紹介いただきました。マリンスタジアムや幕張メッセを見下ろせて、広大な海が広がり、天気が良い日には富士山も見える眺望を見た時は「ここのオフィスだったらより社員がイキイキ働ける」と瞬時に思い、移転した後の会社の成長のイメージが沸きました。

29Fからの眺望

千葉でハイグレードオフィスを検討するなら千葉駅周辺か海浜幕張周辺になるのですが、私が近くの稲毛高校に通っていて海浜幕張に馴染みがあったことや、当社を応援・信頼してくださっている方々にワールドビジネスガーデンへの入居を勧められたこともあり、入居を決断しました。前オフィスは40坪弱でしたが現在のオフィスは約140坪。これからさらに60坪ほど拡張することが決まっています。

オフィスの内装はある都市をイメージ

――内装やデザインについてこだわられた点はどこですか?

オフィスから会社の想いがわかるようにしようと考えました。弊社が大切にしている考えを初対面の方にいきなり熱く語ってもなかなか全てを理解できないと思うので、オフィスに配置されている物やデザインを通じて語れるように設計しました。「永久成長構想」というビジョンを基軸に、サスティナブルな地域として有名なポートランドの価値観もデザインに取り入れています。

――なぜポートランドの価値観をオフィスに反映しようと思ったのですか?

学生時代にバックパッカーとしてアメリカを旅して一番好きになった街がポートランドでした。住民が地元を愛していて、少し高くても地元で採れたものを地産地消し、電気の無料路面バスが走っていて環境にもやさしい。そして外部から来る人もオープンマインドで受け入れる素敵な街でした。このような地域に住むことが人間の幸せなのではないかと私は考えています。

ミーティングエリアはついつい目をとめてしまうインテリアの宝庫

古きものも味わいがあって価値がある

アンティークのトランクや宝箱をインテリアに

木や鉄など素材そのものの風合いを大切に

――今回のオフィス移転に際してどのようなことを重視されましたか?

本社には現場のエッセンシャルワーカーを支える経理や労務などバックオフィスのメンバーが在籍しています。業界では、コストを抑える考えが先行して施設や事業所内に本社機能を併設する企業が多いのですが、私たちは真逆で、バックオフィスの環境も重視していることを発信し、メンバーが誇りをもって快適に働けることを重視しました。

間仕切り壁にも窓があり執務エリアの様子がうかがえる

――現在のオフィスで気に入っている点はどこですか?

やはり窓際のエリアですね。アイディアを出しあったり、クリエイティブな話ができる空間にしたいと考え、窓際の一番眺望のよい場所に「D-Style Lab」と称した部屋を設けました。会社説明会などもそこで開催しています。

ポートランドのアーティストの書籍も並ぶ

住民が幸福で地域が発展する仕組みを作る

――今後の事業の展望について教えてください。

「幸せの循環創造」という理念のもと、まずは不幸せを消していくことが優先順位が高いです。その中でも命の危機を救う「命のインフラ」という事業に着手しています。その次の段階として、世界的なソーシャルイノベーションを起こしていきたいと思っています。今、新規事業として進めているのは「孤独」や「貧困」の問題を解決するためのローカルメディア事業です。世界の歴史を見ても、メディアの登場が地域のアイデンティティを形成してきました。地域を好きになればなる程、地域に対する愛着が生まれ、そして自分自身のアイデンティティが形成されて幸せを感じるようになるのです。マーケティング会社や広告会社がローカルメディアに携わると、早期にメディアそのものをマネタイズしようと思うのであまり成功事例がありませんが、私たちは他にマネタイズできるポイントがたくさんあるので愛情をもってメディアを育てることができ、広告優先主義ではなく本当に良い情報を発信することに終始できると考えています。テクノロジーも発展してきているので、千葉で使える地域通貨の発行なども視野に入れています。千葉で消費される仕組みを作ることができれば地域の経済も発展します。千葉が好きな方が集まり、住民が幸福で地域が発展するような世界初の地域モデルを実現し、それを日本中、世界中に拡げたいと考えています。

そのためには原資となる事業成長は欠かせません。プロジェクト10と称して、①令和10年までに②テンサウザンド(令和10年までに10,000人の社員)③10億円規模の100人のマネジメントメンバーを育成する、という目標を掲げています。それを実現したら、より社会的に影響力がでてきて、点と線をつなぐローカルメディアやそれに伴うテクノロジーを活用してソーシャルイノベーションをおこせると考えています。このような私たちの想いに共感してくれる、志が同じ方と一緒に働きたいと思っています。プロジェクト10を実現でき、私たちが10倍成長したら、日本が10倍よくなると確信しています。

――この度は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

編集後記

インタビューを通して、高い志と一貫した経営戦略に感銘を受けました。業界の慣習にとらわれることなく、オフィス戦略も重視されており、これから同ビル内で拡張されるオフィスがどのようになるのか期待が膨らみます。ビジョンに共感される方が集まり、新しい地域モデルが実現されることを心から楽しみにしています。

インタビュー・編集/服部
撮影/西崎