「コンセントの先を考えたことがありますか?」顔の見えるライフスタイルの発信基地となる新オフィスを徹底取材!

 

取締役 伊藤 孝之 様

 

オフィス移転企業インタビューVol.26
みんな電力株式会社

 

 

みんな電力株式会社

https://minden.co.jp/

移転先:サンタワーズセンタービル(東京都世田谷区三軒茶屋2-11-22)

規模:約155坪

 

 

 

ドラマを観ているテレビの電気が、おばあちゃんが住む長野県から生まれた電気だったら。SNSをしているスマホの電気が、福島県の復興につながる電気だったら。毎日、自分を照らしてくれる照明の電気が、大好きなあの人の作った電気だったら。わたしたちの生活は、もっと楽しく、豊かになるのではないか。
そんな想いから誕生したのが、みんな電力株式会社が主力事業とする「顔の見える電力®」です。それは、電力の生産者が分かり、そのストーリーを感じることができる世界でも例のない電力小売りサービス。
今回は”とある理由”からスナックのカウンターを挟んで、みんな電力株式会社 取締役の伊藤 孝之さまにお話を伺いました。

 

ミラーボールが回りカラオケも歌える、超・本格的スナック。実はここ、このたびご移転された新オフィスの内装として造られたスナックなんです。デザイナーにお願いしたものの、まさかここまでの完成度になるとは思っていなかったとか。

 

事業について

ライフスタイルに新たな価値をもたらす「顔の見える電力®

―― “「このでんきはどこからやってきたのか」ということが分かるだけで、人と人とのつながりという付加価値が生まれてきている”

―― 御社のサービス「顔の見える電力®」について教えてください。

“でんき”というものは、ふつう電気代を払ってコンセントに繋げばあたりまえに供給されるものくらいにしか考えないものですが、屋根の上のソーラーパネルや携帯型のソーラー発電機などで、いまではだれでも電気を作ることができます。

このことは、これまで大きな発電事業者など一部の人に限られた“富”であった電気が、だれもが享受できる“富”になったと言うことができないでしょうか。たとえば、子どもが作った電気を親が買ったり、東京で暮らす孫のために故郷のおばあちゃんが電気を作ったりできたら素晴らしいことですし、なによりこれまで生産人口に含まれなかった人たちがそこに加わることになるので、ひいては貧困格差の解消になるのではないか。これが当社のスタートラインです。

現在、当社が問題提起しているテーマは、「コンセントの先を考えたことがありますか?」です。

たとえば火力発電所は、大量の石油や石炭などを使って電気を作っていますが、それらは海外から輸入されているものです。つまり、毎月の電気代は電力会社に支払いますが、最終的にはその先にある海外の資源産出国に支払っていることになります。同じ電気代を払うにしても、東日本大震災の復興支援の一環として、津波被害にあった畑で太陽光発電をしている農家の方にお金を払いたい。あるいは、自分の生まれ故郷の風力発電所に払いたい。それを自分で選ぶことができたら素晴らしいじゃないか、という想いを実現したのが、「顔の見える電力®」というサービスです。

 

―― 「顔の見える電力®」というサービスはどのようなしくみでしょうか。

みんな電力と発電所が契約を結ぶことによって、「みんな電力はこの発電所で作られた電力を供給している」と言うことができます。みんな電力は、たくさんの発電所と契約を結んでいて、ホームページではそれぞれの発電所の“想い”を知ることができます。「この発電所を応援する」というしくみもあって、その想いに共感したお客さまは、ふるさと納税のように電気代の中から応援金を出すことができるというのも特徴です。たとえば、自治体の運営する発電所を応援するとその県のアンテナショップで使える商品券が送られてきたり、農家の太陽光発電所を応援するとお野菜の詰め合わせが送られてきたりします。

何が起こっているのかというと、「この電気はどこで作られた電気なのか」ということを明確にすることで、人と人とのつながりという付加価値が生まれてきているのです。ほかにも、商店街全体で地産地消を目的に地元の電気を使いたいという希望があったりなど、そういう価値観がどんどん広がってきています。

また、昨今の大きな社会的な動きとして、「RE100」という国際イニシアチブがあるのをご存知でしょうか? RE100とは、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟するイニシアチブです。事業運営を100%再生可能エネルギーで行おうとする動きは、もはや国際的なムーブメントとなっており、欧米にとどまらず中国やインドの企業にも広がりを見せています。日本でも18社が宣言しており、徐々に拡大しつつあります。

では、日本でどうやって「私たちは再生可能エネルギーを使っています」と言うか。少なくとも、みんな電力とご契約いただき電気を供給させていただくことで、その比率を高めることは可能です。さらに、「わたしたちはこのくらい再生可能エネルギーを使っています」と詳細に言うことを可能とするために、ブロックチェーンの技術を使うことにしました。

電気って、為替のしくみに似ていると思います。たとえば、北海道のATMで1万円を振り込んで、東京のコンビニのATMで1万円を引き出すとします。その1万円は物理的には違うけれども、為替というしくみの中で記録されることによって、同じ価値のものが出てきていると言うことができる。電気も、火力発電所や太陽光発電所など、どんな発電所から送電線に入ろうが、電気の質じたいは変わらない。じゃあどうやって区別するのかというときに、為替のしくみに代わるものとしてブロックチェーンを利用するのです。いまでは、「□□様に供給した電気の〇〇%が○○発電所のもので、△△%が△△発電所のものでした」と供給内容を証明するサービスの商用化を実現しています。

 

「顔の見えるライフスタイル」の実現に向けて

―― “わたしたちが提供するのは、「顔の見えるライフスタイル」のプラットフォームであり、現在の主たる商品が「でんき」なのです。”

―― 今年、異業種の企業から11億円の出資を受けられたと聞いています。この増資を受けて、次のフェーズではどんなことにチャレンジしていきたいですか。

わたしたちは自分たちを単なる小売電気事業者だとは思っていません。「コンセントの先を考えたことがありますか?」って、実はほとんどの人が考えたことはないと思います。だけど、考えてみたら、必ずどこかの発電所につながっているわけだし、だったら「この発電所にお金を出したい」っていうのを選ぶことができた方がいいでしょう。ほかにも、お金を出しているにもかかわらずただ漠然とサービスを受けているものって、結構あるのではないでしょうか。わたしたちの独自技術でトレーサビリティ(追跡可能性)を実現することによって、いままで漠然と提供を受けていたものに対して、その先にあるものを選んでお金を出すようになる。わたしたちは、そういうライフスタイルを提案したいのです。わたしたちが提供するのは、「顔の見えるライフスタイル」のプラットフォームであり、現在の主たる商品が「でんき」なのです。

昨年、6つの事業会社が出資をしてくださいました。この6社は、わたしたちの提案する「顔の見えるライフスタイル」の実現にご賛同いただいた企業です。6社ともその先に多くの顧客を抱え、メディアやファッション、地域に根差したライフラインなどを通して、顔の見えるライフスタイルを広めてくださっています。この動きを、もっと大きなものにしていきたいと思っています。

 

新オフィスについて
斬新だけどコンセプトに裏打ちされた内装デザイン

―― 顔の見えるライフスタイルを提案する発信基地として

玄関口には、大きな電球のオブジェが。

 

―― このたびのご移転は、業務拡大に伴う増員が理由とのことですが、移転にあたってのテーマがあれば教えてください。

これまでわたしたちは、「顔の見える電力®」というサービスを展開してきました。だけどいまはそれだけにとどまらず、顔の見えるライフスタイルを提案するプラットフォーマーになっていこうという企業の意思があります。このオフィスが、その発信基地になればいい。それが、今回の移転のテーマでした。

―― エレベーターホールにある「みんな電力」のロゴのネオン、そして壁面のコンセントは、まさにその想いが表出していますよね。

最初は、ただの白い壁だと思うんですよね。近づいてみたら、「おお、これ、コンセントか!」って驚かれる。そして、全てのコンセントが通電されており、使用可能だと知りさらに驚かれます。当社のプレゼンの第一声は、「コンセントの先を考えたことありますか?」ですが、この場所があればもう言わなくてもいいじゃないですか。わたしたちが伝えたいメッセージそのままなのですから(笑)。

 

「みんな電力」のロゴネオン。よく見ると壁面にはずらりとコンセントが並んでおり、これらはすべて実際につなげて充電することができる。

 

―― ほかに、会社の理念やコンセプトを表現した場所はありますか。

オフィスに入ると、民家の和室と縁側のようなスペースがあります。ここでは、社員が軽い打ち合わせをする風景がよく見られます。「顔の見える」というコンセプトを取り入れて、壁を切り取るように付けた窓からは、仕事をしている人たちが見えるようになっています。

 

落ち着く縁側。ここで談笑しながら生まれるアイディアもありそうだ。

 

ドリンクの自販機も見てください。ひとつひとつ、原料の産地が書いてあるんですよ。たとえばこの「いちごオーレ」は福岡県産のあまおうでできていますというように、”その先”を考えられるような工夫をしています。

 

 

―― 新オフィスの中で、社員の皆さんから好評なポイントはどこですか。

あそこの窓側の席と、もうひとつはやはりこのスナックじゃないでしょうか(笑)

 

指さされた先には、うらやましいワークスペースが。景色が抜けて眺望が良く、ストレスを感じること少なく仕事をすることができそうだ。ここも和のテイストで、畳の小上がりになっている。足を崩して仕事をする方々の姿が印象的だった。

 

スナック「再生」の名前の由来は、「再生可能エネルギー」から。ここでは、社員がお昼にランチしてもいいし、20時以降だったら歌ってもよし。17時くらいのお客さんだったら、会食に行く前にここでビールを一杯というように使ったりもしています。

 

オフィスの路地裏にひっそりと佇む、スナック「再生」。まるでずっとそこにあるかのような、懐かしい存在感。

 

働き方改革やコミュニケーションロスといった問題を踏まえ、上司と部下、あるいは役員と社員の距離を縮める交流のひとつのかたちとして「オフィススナック」というものを提唱されている方がおりまして、ちょうど新オフィスの設計段階でお話を聞き、だったら作ってしまおうかと。ここまで本格的なものができてしまって、いちばん焦っているのが私ですが…

お客さまも最初は面白半分ですが、実際にそこで会話すると盛り上がるんですね。非常に良いコミュニケーションツールです。最近おしゃれでカッコいいバーカウンターを作るオフィスとかもありますが、こてっこてなスナック、ぜひお試しください(笑)

 

担当営業(野村・右)より

この度はご移転のサポートをさせて頂き、誠にありがとうございました。

初めて伊藤様とお話させていただいた際、みんな電力さまが問題提起されているテーマ「コンセントの先を考えたことがありますか?」そしてそれを実現するサービス「顔の見える電力®」のお話を伺いました。そのときから普段なにげなく使っていた電力が、ストーリーや想いをもつ、とても価値のあるものに変わっていきました。

オフィス内装にも、問題提起されているテーマが細部に深く落とし込まれており、みんな電力さまの想いの大きさをとても強く感じました。スナック「再生」は特にインパクトのある素敵なスペースで、あの場所から今までにない色々な関係が作られていくのだろうと感じます。

みんな電力さまのご活躍、心よりお祈りしております。

今後も貴社のお役に立てますよう、お手伝いさせてください。

 

営業担当:野村 インタビュー・編集:軽部 撮影:平井

 

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