コロナで何が変わった? オフィスナビメンバーが感じたオフィス市況の変化

コロナウイルスが全世界で脅威となった2020年。日本でも4月の緊急事態宣言発令以降、各企業でテレワークの普及が急激にすすみこの数ヵ月で働き方も大きく変化しつつあります。

2020年7月現在、オフィスナビの各拠点のメンバーが現場で感じているオフィス市況の変化をお伝えいたします。

オフィスナビ 東京本社
オフィス市況レポート

コロナで大打撃をうけた業種・企業の事務所や店舗は、面積の縮小や撤退の決定がすでにはじまっており、特に旅行業や飲食業は顕著です。

レンタルオフィスやサービスオフィスもコロナ前に新規出店が加速していましたが、利用が少ない施設は解約が進み、淘汰が進むことが予測されます。
在宅勤務・テレワークへの移行がうまく進んだ中小企業は、コスト削減のため縮小移転をされる動きがでてきていますが、最近ようやく決算業務や株主総会が落ち着いたばかりの大企業では、まだオフィスや働き方の方針は模索中という印象です。
分散オフィスを統合する際に、ビルグレードをアップされるケースは、ちらほらと見受けられます。
解約予告の増加に伴い、幅広いエリアで確実に募集が増えてきている実感があり、コロナ前に、需要に対して空室が少なく賃料相場が高騰していた渋谷エリアは、特に空き予兆の増加が顕著です。
渋谷に集積していたIT・ベンチャー企業はテレワークとの親和性が高く、移行がスムーズに進んだことがその要因です。
表面上の募集賃料は、まだそれほど下がってはいませんが、今後条件交渉できる余地が増えると予想されます。

東京オフィスへのお問い合わせの傾向で特筆すべきなのは、居抜きでの入居・退去のご希望が約5倍に増えたことです。
退去するにしても原状回復費用がネックになるため、居抜きで退去できるのであれば移転したいというお声もよく聞きます。
このような需要の高まりによって、貸主の居抜き募集に対する柔軟性も高まってきています。
また、最近では、利用したい時だけスポットでオフィスを利用できる「ドロップイン」や週単位、曜日単位でオフィスを借りられるサービスも出てきており、働き方の多様化にともないオフィスの募集スタイルも多様化してきています。』

 

オフィスナビ 大阪本社
オフィス市況レポート

『新オフィスに必要な面積がまだ明確になっておらず、広さからご相談いただくケースが増えてきています。テレワークと社内フリーアドレス化の併用で、オフィスをお探しのお客様がどれ位の面積が必要か判断しかねていることがうかがえます。

大手貸主様は5月まで成約賃料の下限のブレが全くありませんでしたが、6月に入り、お客様の希望賃料が貸主の希望を下回っても優良企業なら一旦相談して欲しいとか、分割しなかった区画を場合によっては分割検討する等、少しずつ緩和がでてきている様に感じます。
イベントの中止や大人数での集会自粛で利用客が減った貸会議室は、通常のオフィスや短期貸のオフィスに転用して賃貸できるケースがでてきています。
弊社でも最近、大手運営貸会議室をオフィスに転用して仲介させていただいた事例が2件あります。』

 

オフィスナビ 名古屋支店
オフィス市況レポート

『3月~4月にかけて徐々にお問合せが減少し、東京・大阪本社の企業様はペンディングが続いたり、本社機能がストップしているため申込キャンセルではないものの契約手続きが間延びしているケースが多くありました。

5月以降はオフィス移転へのご依頼、縮小を見越したご相談を多数頂くようになり、緊急事態宣言解除後は、小規模区画の解約は増え始め、大規模区画に入居中のテナントはリモートワーク等による統合や縮小、全員フルリモートで名古屋拠点撤退というお話もしばしばありました。
空室自体は増えつつありますが未だ募集賃料の下降自体は感じられません。
しかし、竣工したばかりの新築物件や竣工予定の物件も募集に苦戦している印象で、空室に伴い徐々に賃料の下降が見られる物件もでてきています。今後空室の長期化に伴いフリーレントなどの条件面での交渉もしやすくなると予想されます。
貸会議室やレンタルオフィスにも動きがあり、今までは講演会やセミナー、新卒説明会、採用面接などで予約がいっぱいだったところもほとんど予約が入らず、コロナ禍では1~2名で使用できるような小規模レンタルオフィスが好調のように感じます。』

 

オフィスナビ 福岡支店
オフィス市況レポート

『広さはあまり変えずにコスト削減するパターンと面積自体を縮小してご移転されるパターンのご依頼が増えてきました。

入居中のビルのレイアウト変更やコロナ対策の内装のご相談もでてきています。
IT関係の企業がテレワークへの移行でオフィスを解約する案件や、コールセンターが三密を避ける為に分散したいというご相談がありましたが、正直、縮小移転のご依頼はもっと多くくるかと思っていましたが、まだ現状では思っていたより少ない印象です。
弊社の福岡支店ではあまりペンディングとなる案件はありませんでしたが、貸主様や管理会社様のお話によるとコロナの影響で契約寸前にペンディングになった案件が多くあったようです。
今までは空きがでても館内テナントの増床で成約してしまい、外部募集に出なかった天神、博多エリアのハイグレードビルに空室が出はじめました。
賃料等の契約条件に関して、少し弱気になってきているオーナー様が増えてきています。』

 

オフィスナビ 札幌支店
オフィス市況レポート

『テレワークへの移行で300坪の解約を出されたお客様も身近におり、決断の早い企業は動き始めています。

地方拠点の場合は、撤退や、札幌と東北地方で拠点統合などのお話も増えてくるかもしれません。
まだ表面的な賃料はほとんど下がってはいませんが、フリーレントやその他の条件のご相談が貸主様にしやすくなってきた印象があります。
所有ビルの1つだけが空いただけの状況だと、まだ貸主様に条件変更の動きはありませんが、今後近隣の同規模ビルや自社所有の別物件にも空室が増え、
さらに空室期間が長期化すると募集賃料も下がってくることが予想されます。』

 

オフィスナビ 仙台支店
オフィス市況レポート

『今まで空くことがなかったビルに空き予定が出たり、上げ基調だった賃料が据え置かれるようになりました。

6月以降は募集賃料やフリーレントなどに対して相談に応じてもらえるケースが増えています。
ただ、ハイグレードビルや大型区画については引き合いも多く、現時点では市況が一気に変化しているようには感じません。』

 

オフィスの内装・レイアウトに対する需要の変化

『オフィスのレイアウトをご依頼いただく際に、オンライン会議の増加によって、各自がノートパソコンやタブレットを持ち込んで会議や作業ができる個別ブース・集中ブースの設置を検討される企業が増えてきています。

実際、弊社の東京オフィスでも2ブース設置して活用をはじめました。
会議や作業で使用していないときにはランチ休憩時にリフレッシュスペースとしても活用しています。
また、密を避けるために、少しゆとりのあるレイアウトを心がけています。』

 

 まとめ

コロナウイルス感染拡大がきっかけとなり、今後の働き方・オフィスの在り方を考え直す企業が増えてきています。これから数年でオフィスの移転が進み、少しずつオフィス市場が流動化していくことになるでしょう。
また時期をあけて弊社メンバーが感じた市場の動向をお伝えできればと思います。