19時を境にオン・オフを切り替え ノースサンド増床フロアのコンセプトに迫る

 

株式会社ノースサンド

東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー 7F・9F

https://northsand.co.jp/

規模:約125坪(増床フロア)

2021年12月に歌舞伎座タワー7Fにオフィスを移転した株式会社ノースサンド。事業拡大に伴い、2022年9月、同ビル内9Fに増床。新フロアのコンセプトや、フロアが分かれることをネガティブに感じさせないオフィス設計について、人事部広報グループの潮屋様にお話を伺いました。

人事部 広報グループ 潮屋香織様

移転から1年も経たないうちに

――歌舞伎座タワーにご移転された2021年12月以降、働き方や社内の状況に変化があれば教えてください。

7Fのオフィスは「ハブとなるオフィス」「人と人がつながるオフィス」をコンセプトに作ったので、出社とリモートワークのハイブリットな働き方が板についてきたと感じています。歌舞伎座タワーに移転してきてから約9か月間で社員が120名以上増えたことが一番大きな変化です。2022年10月には社員数が約300名、2023年4月には350名以上の規模になりそうです。仕事をする場所と人と人がつながる場所の両方をさらに増やしたいという想いから、9Fの増床に至りました。

――オフィスの増床にあたって、解決したい課題や社内からの要望はどんなものがありましたか?

コロナ禍という状況は変わらないため、業務する場所が密にならずゆったりとした場所で仕事できるようにしたい、オンラインの打ち合わせが多いのでブースをたくさん配置してほしい、といった要望が多くありました。ガラス張りの7Fとは異なり、隠れ家のような9Fの空間を活かして社内イベントや飲み会などが可能なコミュニケーションの場を作りたいという要望もありました。

――どのようなスケジュールでプロジェクトは進みましたか?

9F増床の契約締結後、内装デザインを検討するキックオフミーティングから約3ヵ月でオフィスを完成させました。6月から7月にかけてコンセプト決定やレイアウト設計、家具の選定を行い、8月の1ヵ月間で施工し、9月上旬から新フロアでの業務がスタートしました。

人目につきにくい隠れ家的な9Fの入口 顔認証で入退室が可能

既存フロアとのバランス

――移転ではなく増床ならではの検討事項や注意点などはありましたか?

7Fがベースにありながら9Fをどのような位置づけにするのかを検討するのが大変でした。両フロアのコンセプトやデザインがかけ離れ過ぎないように常に心掛けましたね。

時間でオフィスの使い方を変える

――新フロアのコンセプトについて教えてください。

9Fのコンセプトは「都会のワーケーション」です。19時を境にオンとオフの切り替えができる空間を作り、「Onoff(オノフ)」と名付けました。19時までは集中して働く場所、19時以降は社員同士のコミュニケーションが加速する場所として社内で運用ルールを定めています。

こだわりのネオンサインはOnとoffの点灯を切り替えできる

フリーアドレス席のため個人でもチームでも仕事がはかどる

ハイカウンターでは、食事をとるメンバーがいたり、オフの時間に飲み会が始まる日もあります。また、弊社が業務で利用しているSlack上に「Onoffで話そうチャンネル」ができたので、メンバーが自主的にイベントを企画したり、共通の趣味のメンバーで集まったりと気軽に社内イベントの企画や参加ができるようにしています。

オフの時間はシミュレーションゴルフや卓球で盛り上がることも

オープンスペースとこもれるスペース

――レイアウトやデザインの工夫について教えてください。

9Fの半分のスペースは可動式の家具を採用し、フレキシブルに配置を変えられるようにしました。20人規模のチームでも集まることができますし、音響設備も整っているためウェビナーやイベントにも対応可能です。

プロジェクターを投影できる白い壁はNORTHSANDの「N」のロゴと同じ傾斜に

窓際はハイカウンター席

防音性の高い半個室ブースは大人気

自習室のような集中ブースがずらり 予約不要であいていれば自由に利用可能

オペレーションの工夫

オープンスペースでオンラインミーティングをするメンバーも多いのですが、周りから見ると話しかけて良いのか判断しづらいため、ミーティング中であることが一目で分かるポップを作り、ノートパソコンにクリップで取り付けられるようにしています。

9FのOnoffの目の前にある個室を12名用会議室にして、「KAKKO-E」と名付けました。社員から愛着をもって呼んでもらえるよう検討しを重ね、「かっこいい会社を増やす」というミッションから命名しました。

 

――7Fと9Fどちらに出社してもよいのですか?

はい、基本的にはどちらでも大丈夫です。コンサルタントは支援するお客様先によってチームで働いており、同じチームのメンバーと固まって働きたい人が多いため、チームによって「今日は出社しよう」「今日は9Fに集まろう」などと自主的に声を掛け合って集まっています。Slackのステータスで7Fと9Fどちらにいるか分かるようにしているメンバーもいますし、Slack内でOnoffのスタンプが作成されたので、Onoffにいる時は自分の名前の横に表示している人もいます。

――現在のフェーズにおいて、オフィスの必要性はどのような時に感じますか?

社員規模が急激に拡大しており、毎月10~20名の新しいメンバーをあたたかく迎え入れるために、オフィスを中心に既存社員との絆が醸成されると考えています。コンサルタントは現場に参画すると数ヵ月に渡って同じチームのメンバーと働くため、同じチームメンバーとの絆は生まれても、異なるチームや部署のメンバーの様子はなかなか把握しづらくなります。オフィスという共通の場所を通して、所属するチーム以外のノースサンドメンバーと気軽にコミュニケーションがとれることが大切だと思います。

人にフォーカスした唯一のコンサルファームとして

――最後に、新オフィスを通してどのようなメッセージを発信していきたいですか?

2フロアに分かれたことによって物理的な距離があるため、行き来が非効率という側面もありますが、あえて離れた場所にコンセプトが異なる空間を作ることでそれぞれの特性を活かした働き方ができるようになったとも感じています。ただ面積を増やすだけではなく、どのような想いでどのような目的の場所を作ったのかという明確なメッセージがあると、オフィスがより活きてくると思います。社員が増えた分、個人の価値観も多様化してきていますが、今回の増床で働き方にも幅をもたせることができたことが良かったと感じています。オフィスのデザインや機能性はもちろん大切ですが、そこに集まる人が活き活きと活躍していることに意味があり、心が入った魅力的なオフィスになるのだと思います。オフィスの主役はインテリアではなく社員1人1人の存在です。オフィスでの対話や笑顔があふれるノースサンドらしいカルチャーが、オフィスを通じてさらに醸成されていくことを願っています。

――この度は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

編集後記

「Onoff」という名称がすでに社内で愛着をもって使われていることが素敵だと感じました。時間という軸でオフィスの運用方法を変えたり、フロアが分かれることをポジティブに捉えたコンセプト設計は、複数フロアに入居する際の参考にしていただけるのではないでしょうか。

 

インタビュー・編集/服部
撮影/平井

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