Vol.37 paiza株式会社
東京都港区虎ノ門2-3-17 虎ノ門二丁目タワー 18F
ITエンジニア向け就職・転職サービスや、プログラミングの学習サービスを展開しているpaiza株式会社。同社は、2024年3月にオフィスを表参道から虎ノ門に移転。新オフィスのコンセプトや設計・デザインのこだわりについて、移転プロジェクトの一員として関わられたマーケティング部の柳下様にお話を伺いました。
多方面からITエンジニアを支援
――御社が支援されているITエンジニア採用のマーケットはどのような状況ですか?
経済産業省の発表では、2030年までにITエンジニアを含むIT人材が日本で最大79万人不足するといわれており、危機的な状況です。多くの企業様がプロダクトやサービス開発およびDX化推進のためITエンジニア採用を積極的に行っていますが、前述の状況から、そのほとんどの企業様が採用活動が思うようにいかず頭を抱えておられる状況です。弊社は、ITエンジニアに特化した就職・転職のサービスを展開していますので、採用面で各企業様のお役に立ちたいと考えています。
また、ITエンジニア人材が不足している状況を改善するために、ITエンジニアとして活躍できる方やプログラミングができる方を1人でも多く増やしたいという思いから「paizaラーニング」というプログラミングの動画学習サービスも提供しています。「paizaラーニング 学校フリーパス」では、対象大学のご希望される学生すべてにpaizaラーニングの全講座を無料でご利用いただけるようにしています。
――御社サービスの特徴と強みについて教えてください。
ITエンジニアに対して一気通貫でさまざまなサービスを提供しているところは大きな強みです。paizaラーニングの提供によってITエンジニア人材を増やす、そして各企業様のITエンジニア採用を支援するという柱を中心に、ITエンジニアに対する支援事業を全方位で行っているところです。webメディアは「Tech Team Journal」「paiza times」の異なる2媒体を運営しています。ほかにも、プログラミングゲームの提供を行っていたり、ITエンジニアやIT人材の方に向けた情報提供ができる点も他社様にはない強みだと捉えています。
また、プログラミングのスキルチェックが行えることも大きな特徴です。Web上で問題を解くことで、プログラミングスキルがS~Eランクの6段階で評価されます。ITエンジニアの方々が自分のスキルを把握できるのはもちろん、企業側も候補者から応募があった際にその候補者のプロフィールページでランクが表示されるので、候補者のスキルを正しく把握でき、履歴書や職務経歴書と実力の乖離がないか確認することが可能です。
柔軟性のあるハイブリッドワーク
――御社の皆様はどのような働き方をされていますか?
弊社は、営業本部・プロダクト本部・経営企画本部・コーポレート本部の4本部制で、部や職種によってルールが異なりますが、基本的にハイブリッドワークです。
弊社は社員数が120名規模になってきましたが、同規模の企業と比較すると家庭がある社員も多いため、保育園の送迎や家族の体調不良等による業務調整に対して周囲の理解があり、ハイブリッドワークがうまく機能していると感じます。
発展する街 虎ノ門へ
――今回のオフィス移転の背景や理由について教えてください。
一番の理由は、組織成長に伴いオフィスを拡大する必要があったからです。コロナ禍で遅れていた表参道エリアの再開発に動きも出てきたため、2024年3月25日に新オフィスへ移転したという経緯です。
――どのような条件でご移転先をお探しになりましたか?
弊社は各期のキックオフや締めのタイミングで全社員がオフラインで参加する全体会を実施しているので、ハイブリッドワークではあるものの全社員が出社できる広さを重視しました。
前オフィスは、最終的に全社員が入らなかったため出社する人数の調整が必要だったり、会議室が常に埋まっているような状態でした。
エリアは、表参道・外苑前から少しずつ広げていくかたちで、渋谷・恵比寿・目黒方面や、 青山一丁目・赤坂見附・虎ノ門あたりまでエリアを広げて探しました。
――本ビルに入居した決め手は何ですか?
まず、虎ノ門ヒルズ駅から徒歩1分というアクセスの良さがあげられます。去年竣工した虎ノ門ヒルズステーションタワーの真横のビルなので、ビジネスの中心地として注目されている虎ノ門の街としての魅力や成長性を感じました。
実は、移転先が決まった後に代表が過去の資料を見返したところ、前回の移転時にも虎ノ門二丁目タワーが候補に入っていたことに気付いたそうです。 2020年当時は1フロアの3分の1くらいの区画を検討していたそうですが、今ほどには虎ノ門の再開発が進んでおらず、結局虎ノ門という地区の選択には至りませんでした。今回のオフィス移転では、街の成長とpaizaの成長のタイミングが合い、これから成長を加速させていくイメージが湧きました。
プログラミング要素がたっぷり
――新オフィスのコンセプトや内装デザインでこだわったポイントを教えてください。
paizaの会社としてのコンセプトは「異能をのばせ。」です。今回はそれを体現できるオフィスを目指しました。異なる能力を持つ社員たちが集まることで、力が引き出されたり磨かれていくと考えています。こだわったポイントは大きく3つあります。
1つ目は、迷路のようなレイアウトです。整然とデスクが並んでいるオフィスではなく、迷路のようなレイアウトにさまざまなデザインのデスクを配置することで、日によって働く場所を好きに選択でき、オフィス内を移動する際に偶発的なコミュニケーションやディスカッションが生まれるように設計しています。オフィスでの過ごし方やオフィス内での移動の仕方が何通りもあることで、コミュニケーションが活性化されて生産性が上がり、クリエイティビティが刺激され、異能をのばすことに繋がると考えています。
2つ目は、エンジニア向けのサービスを展開している企業として、プログラミング要素をオフィスに取り入れた点です。会議室名を「Ruby」「PHP」「Python」など、すべてプログラミング言語にしたり、各会議室にはプログラミング言語にちなんだアートを飾りました。
3つ目はインテリアです。迷路のようなレイアウトとプログラミング要素が最適化されるよう、家具選びや床のカーペットの配色は期限ギリギリまでプロジェクトメンバーで悩みました。
――ご入居後の変化はいかがですか?
全員出社しても集まれる広いイベントスペースができたのは大きな変化ですね。社外関係者向けのパーティーや、エンジニアの方々にご参加いただけるセミナーやミートアップも、今後は積極的に開催していく予定です。
新オフィスは天井が高く開放感もあって、働きやすいオフィスです。
人事担当が最終面接に来られた方にオフィスを案内する光景も見かけるようになりました。採用面においても新オフィスは強みになると考えています。
一方、変わらない点もあります。移転をきっかけに働き方を大幅に変えるというような働きかけはしておらず、各自が成果を出すために最適な働き方を推奨しています。結果として、従来のハイブリッドワークを踏襲しつつ、出社時には社員間で積極的なコミュニケーションが発生する環境を創造することができています。
――プロジェクトメンバーはどのような構成ですか?
代表、CFO、情報セキュリティ部のメンバーらが参加し約10名ほどでした。私は広報の役割で移転プロジェクトに参加しました。
――今回のご移転でプロジェクトメンバーの皆様が一番大変だったことは何ですか?
デザインやレイアウトに関して、妥協せずに決めるということが大変でした。2023年夏に内装会社様を決定して、移転までの8~9か月間にわたり、デザイン会社様とは密に打ち合わせを重ねました。最後まで弊社のこだわりと先方のこだわりをすり合わせ、素晴らしいオフィスを作ることができました。
――御社にとってオフィスはどのような場所ですか?
弊社では「オフィスは社交場」と定義しています。そのため、オフィスはコミュニケーションが促進されるような設計を重視しており、黙々と作業したい時はリモートワークを活用できます。今回オフィスを移転してみて、レイアウトが複雑な点がコミュニケーションの活性化にうまく機能していると思っています。通路の途中でスタンディングデスクやハイチェアが配置されていたりしますが、そのような場所で情報の頭出しだったりカジュアルなミーティングが頻繁にできるようになったと感じます。
社会で活躍できる人材を増やす
――今後の事業の展望やオフィス戦略についてお聞かせください。
シンプルに「ITエンジニアといえばpaiza」と、より多くの方に認知していただけることを目指しています。すでに会員数は70万人を突破していますが、まだ登録されていないITエンジニアの方々にもご登録いただけるサービスに成長させていきたいと思います。最近では、paizaラーニングでプログラミング学習をされた方が、 エンジニアではなくマーケターやコンサルタントといった別職種でご活躍されるケースも増えてきています。分析力に長けているエンジニアの思考回路を活かして、ほかの分野でご活躍されるケースも出てきていますので、エンジニアに限らず、プログラミング学習の意義をさらに広めて、さまざまな業界で活躍いただける人材が増えればと考えています。
――この度は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
編集後記
来客エリアだけではなく執務エリアまで細部にわたるこだわりがあり、社員同士が交わる機会が設計・デザインから創出されていました。家具やライティングの選定でこんなにも雰囲気が変わるのかと発見がたくさんあり、働く場所を選ぶ楽しさがあるオフィスでした。
インタビュー・編集/服部
撮影/平井