MIXIがオフィスを改修 出社するからこそ叶えられる働きやすい環境を目指して

Vol.39 株式会社MIXI

東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア 36階

https://mixi.co.jp/

2020年に渋谷スクランブルスクエア内の合計9フロアにオフィスを移転した株式会社MIXI。そして2024年3月には社内のニーズに合わせてオフィスの一部改修を行ったとのこと。改修の詳細や約8,000坪のオフィスへのこだわりについて、はたらく環境推進本部 せいかつ環境室の石渡様にお話を伺いました。

はたらく環境推進本部 せいかつ環境室 石渡麻里絵様

全ての事業の軸は「コミュニケーション」

――御社の事業について教えてください。

事業ドメインとしては、スポーツ・ライフスタイル・デジタルエンターテインメント・投資など様々なセグメントがあり、代表的なものとしてはデジタルエンターテインメント事業の「モンスターストライク」などがあります。また、ライフスタイル事業では「家族アルバム みてね」を家族のコミュニケーションツールとして海外展開を進めております。

窓からの眺望は圧巻

特徴としては、当社は事業ドメインを「コミュニケーション」としているため、展開しているサービスも全て「コミュニケーション」というところを軸としています。

時代に合わせて働き方をアップデート

――2020年3月のご移転から4年間で働き方はどのように変化しましたか?

移転直後に新型コロナウイルスの感染が拡大したことを受けて、全社的にリモートワークを導入し、一時は原則リモートワークとしていましたが、2020年7月からは新しい働き方としてオフィスワークとリモートワークを融合した「マーブルワークスタイル」を試験導入しました。
それ以降も新型コロナウイルスの感染状況に応じてリモートワークを中心とする時期もありましたが、試験運用を続け、2022年には正式に制度化しました。現在は部署ごとに出社の頻度やルールを定めて働いています。完全リモートの部署もあれば、ある特定の曜日は必ず全員出社しよう、と対面で仕事をする日を決めている部署もあります。
私たち「せいかつ環境室」は、業務上どうしても出社が必要な場面が多いため、メンバー10人のうち最低5人はオフィスに出社しようとルールを定めています。 皆が働きやすいよう、シフトのような一覧表の作成やツールでの管理など、誰がいつ出社しているかを把握する方法も部署ごとにさまざまですね。

――せいかつ環境室では普段どのような業務をされていますか?

従業員がより良く仕事ができるよう幅広い業務を行っています。何かが壊れてしまったり、オフィス内で不具合が起こった時に対応をするファシリティ周りをはじめ、イベント開催のお手伝いや出張手配といった総務的なものなど業務の種類は多岐にわたります。幅広く対応しているため、常に1人あたり10〜20個ほど依頼を抱えていますね。

社内のニーズに合わせてオフィスの一部改修を実施

――オフィスの一部改修に至った背景について教えてください。

2020年3月にスクランブルスクエアに移転した当社、オフィスのコンセプトは「コミュニケーション」であり、物理的な壁を極力なくしたオープンな空間を構築していました。移転から3年ほど経過したタイミングで働き方に関するアンケートを実施したところ、自社オフィスへの満足度は90%を超えていました。また、オフィスへ出社する目的として「業務に集中するため」と回答した従業員も多く見られました。
一方で、気軽に集まれるスペースや1人で集中できるスペースのニーズが高かったため、オフィスの一部を改修することとなりました。

今回インタビューをさせていただいた会議室。景色が良い

――今回のオフィス改修のコンセプトや設計・内装の工夫について教えてください。

そもそも、オフィス移転時からのコンセプトは「コミュニケーション」でした。オフィスというものを物理的なスペースとしてだけでなく、従業員同士のコミュニケーションが活性化する場所と捉え設計をしています。せっかく良いオフィスに移転したのだからたくさん使ってほしいですし、より快適に利用してほしいという想いで改修をしています。

社食も充実。オフィスから出なくても働く上でのすべてが揃う

もともと物理的な壁を極力なくしたオープンな設計にしており、全フロアが内階段でつながっていることから偶発的な出会いを生み出す仕組みになっています。今回のオフィス改修はコミュニケーションスペースを確保しつつ「さまざまな価値観を受け入れられる、居心地の良いオフィス」を目指して、オフィスでしかできないことが遂行可能な環境を整えました。

全てのフロアが内階段で繋がっている

半個室型のひとり用スペースも

――具体的にはどの部分を改修されたのですか?

①個人業務に集中できるスペース「DEEP ZONE」

全28席の半個室ブースは他人の目線が入らないよう衝立で座席を囲い、照明も落としています。座席には4K対応のデュアルモニターや曲⾯ウルトラワイドモニターなどを設置しており、没入感のある空間で仕事ができます。
会話や飲食もNGというルールを定め、個人の集中を最優先とした運用をしています。

運用ルールを設け、集中に特化したスペース

「DEEP ZONE」は会話NGのため、すぐ近くにフォンブースを設置

②ゆったりとした休憩エリア「REST ZONE」

こちらも個人向けのスペースです。
各人がリラックスできるよう、半個室型やハイバック型など複数種類のソファを設置しています。落ち着いた空間を演出するため、他フロアに比べて照明を落としているのも特徴的です。
「DEEP ZONE」「REST ZONE」の2つのゾーンにより、メリハリのある業務が可能になります。

フロア全体の照明を落としている

③カジュアルにコミュニケーションがとれる「ファミレスブース」

各フロアの執務エリアに休憩スペースとしてカフェテーブルを設置していたのですが、利用頻度としては低く、ランチで使われることはあっても業務や打ち合わせではほとんど利用されませんでした。そこで、既存の設備では対応できていない用途に焦点を当て、飲食可能という点は変えずにチームメンバーでカジュアルにコミュニケーションがとれるようなファミレスベンチ型のブースを新設しました。モニターや充電に必要な配線等も設置したところ、ランチミーティングやリモート会議など幅広い用途で活用されるようになりました。

デスクにはコンセントと様々な端子のケーブルを設置。社内で充電コードを持ち歩かなくても作業ができる工夫

ケーブルが飛び出ているこの構造は特注。コンセントカバーもなく「働きやすさ」に特化したデザイン

この工夫はファミレスだけでなく全会議室でも。かゆいところに手が届く画期的なアイデア

周辺機器を取り揃えたIT備品自動販売機も

働きやすさを1番に考えた工夫

――オフィスの運用面で工夫されていることや新しく始まった取り組みはありますか?

運用面では「Flexible Address(フレキシブル アドレス)」を導入しました。
部署ごとに固定席と共有席の切り替えを可能にし、様々な場所で仕事ができる当社オリジナルの座席運用システムです。全てが共有席であったり、固定席と共有席を混在させたりと部署ごとに業務に合ったかたちで運用をしています。また、今後も従業員が増えることを想定して、共有席の運用の受け入れをスムーズに行えるよう現段階から柔軟な働き方を浸透させるといった狙いもあります。

全席昇降デスクを採用。どこの席に座っても同じ環境で業務ができる

特注のコンセントプレート。あえて隠さず使いやすさを優先している

デスクやロッカーは電子名札を採用。共用デスクにも柔軟に対応できる

また、新たな取り組みとしては、オフィスの利用フローや改修した新エリアについての紹介動画を作成し、週1回オンラインで実施している「全体朝会」にて配信しました。動画は社内のクリエイターが携わりニュース番組風に作成し、従業員に少しでも楽しんで視聴してもらえるよう編集をしています。
新しく入社するメンバーに関しては初日にオフィスツアーを行っています。

社内にはスタジオも完備

オフィス内の家具に関してもかなりこだわっています。
既製品のものは必ず見て・触って・試してから購入し、造作家具に関してはモックアップを事前に作っていただいていました。

――今後のオフィス戦略について教えてください。

今後も「出社してよかった」と思ってもらえるような整った環境を提供し続けていきたいと考えています。オフィスは、ちょっとした雑談やカジュアルなコミュニケーションなど顔を合わせて会話ができますし、会社への帰属意識を高めるという点においても自宅では叶えられない良さがあると考えています。また、今回「DEEP ZONE」を新設したように、オフィスだからこそ実現できる集中空間を提供できる点もオフィスで働くメリットだと思います。
今後も従業員の皆さんがオフィスという場所を有効活用して、気持ちの良い環境で仕事をするために使い尽くしてほしいですね。

――この度は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

編集後記

規模・デザイン・設備、全てが圧巻のオフィスでした。ファミレスブースに設置されていた充電ケーブルやデスクの特注コンセントプレート、今回新設された集中スペース「DEEP ZONE」など、働く人のことを第一に考えた工夫や運用方法が細部まで施されており感動しました。誰もが「こんなオフィスで働いてみたい!」と思う、オフィスへの理想がぎゅっとつまった空間でした。

インタビュー/服部
編集/木村
撮影/平井