カオスから共創を生み出す エルロイの創造空間

 

株式会社エルロイ

東京都渋谷区元代々木町30-13 ONEST元代々木スクエア 1F

https://ellroy.jp/

2022年9月に中目黒のオフィスから代々木八幡へ移転した株式会社エルロイ。新しいオフィスは社内一貫体制で映像制作をするエルロイにとって最適なクリエイティブ空間でした。そんなオフィスのこだわりや映像制作会社ならではの移転プロジェクトについて、代表取締役の高原様にお話を伺いました。

代表取締役 高原 成博様

事業について

――御社の事業内容についてお聞かせください。

弊社は2012年に設立した広告映像の制作会社です。テレビCMやウェブCMなど、映像に関わる全般を担っています。社内一貫体制で映像を作り出す組織スタイルをとっており、プロデューサーと制作、撮影部や編集部、企画デザインを全て内包していることにより、スピード感やコストパフォーマンスという点で他の制作会社様との差別化をはかっています。

――オフィス内ではどのような働き方をされていますか?

新オフィスは1つの箱として捉えて「The Creation HUB」と称し、グループ企業複数社で使用しています。同居企業との隔たりを設けず、基本的に入り乱れて仕事をしているという感じです。移転して数ヵ月経ちますが、働き方はすでに馴染んでいて、お互いにコミュニケーションを取りながら仕事をしています。

広々としたオフィスフロア 緑も豊富

現場ファーストの組織体制

――「逆ピラミッド組織」について詳しくお聞かせください。

最前線で業務を行っている現場のスタッフを我々経営陣が支えるという組織体制です。例えば、以前までは映像制作における経理業務を紙で行っていたため、決済に時間がかかり現場の動きが遅くなってしまっていました。そこでDX化をはかり、オンラインの管理システムを独自開発・導入し、煩雑なペーパーワークをオンライン化することによってより早く現場が動けるように見直しました。このように映像制作にウエイトをおいて現場最優先にする体制が「逆ピラミッド組織」です。

――現場ファーストで社内のメンバーからの要望を検討された事例は他にありますか?

スタジオレンタル代や備品購入などを行った領収書を提出し、精算する業務が映像制作にはとても多いのですが、これまでは紙の申請書にレシートなどを貼り付けて申請するをとっていました。この時間をスリム化できないかという要望があり、領収書やレシートなどをスマホで撮影して管理システムにアップするだけで自動的に文字を読み取り、金額などが記入される仕組みを導入しました。申請から承認まですべてオンラインで完結し、精算作業はこれまでの1/3ぐらいの時間で済むようになったかと思います。ほかには家賃補助についてです。以前より近隣に住むメンバーに対しての補助を実施していましたが、現在のオフィスは代々木公園の近くにあるため適用圏内に居住地が少なかったんです(笑)。適用範囲拡大のリクエストが現場からあがり、改訂いたしました。現場で働くメンバーの声を聞いて常にアップデートしています。

共創のための移転

――移転のきっかけはどのようなことですか?

前のオフィスの契約期間が満了になり退去せざるを得なかった、ということが一番のきっかけです。それが良い機会となったのですが、以前は複数拠点に分かれていたグループ会社を1箇所にまとめ、リソースを最適化しようという動きが起こりました。それによって以前までなかったグループ会社同士のコミュニケーションが生まれ移転して良かったなと感じています。

――移転に対してのニーズはどのようなものでしたか?

同居する複数のグループ会社が集まるための広さはもちろん、撮影機材の搬出・搬入のしやすさは特に重要視していました。他にも十分な倉庫を確保できるかどうか、ミーティングルームやエディットルームをいくつ作ることができるかなど、考えるべきことは多くありました。当初は前オフィスのあった中目黒近辺のエリアを中心に考えていましたが、なかなか物件が見つからずエリアを広げて提案していただき、現在の場所に決めました。

エントランスを右手に進むとすぐに倉庫が

――ONEST元代々木スクエアに決めた一番のポイントをお聞かせください。

物理的なポイントだと、駅からの距離や搬入・搬出のしやすさ、部屋の区分けのしやすさも見ていました。また、クライアント様との食事や社内メンバーとの食事を考え、周りにさまざまなニーズに対応した飲食店が混在しているということも大きなポイントでした。代々木八幡宮という800年以上の歴史をもつ神社が隣にあることも決め手のひとつになりましたね。新年は参加できるメンバー全員で初詣に行くことにしています。

映画館のような没入感のある廊下

――移転に際して大変だったことは何ですか?

弊社には企画・制作・撮影・編集と様々な部署が存在します。そのため各部署のニーズの一番の最適解を模索することが一番大変でした。それぞれのニーズはバラバラで、撮影部は倉庫やスタジオの使い勝手の良さ、編集チームはエディットルームの仕様、制作チームはミーティングルームの数など、様々な要望を叶えてあげたいという気持ちがありました。部署によって働き方や文化も違うため、どこまで要望を叶えることができるかは面白さでもあり大変な部分でもありましたね。

――移転後のオフィスに対する社内からの要望はありましたか?

かなりありました。全グループの移転ということに加え、未来の自分達に期待を込めて想定より広いフロアに移転したので、毎日のようにこのフロアの中でどう空間を作るかを考えていました。倉庫の広さについては制作部と撮影部からはこだわりや要望が出ましたね。また最適なエディットルームの数についても現場の声を参考に決めました。移転後も「逆ピラミッド組織」の考え方で、現場に立つスタッフの肌感や感覚・要望をできるだけ吸い上げ、オフィス作りに反映しました。

今回取材させていただいたMEETING ROOM おしゃれな椅子がずらり

クリエイティブな空間づくり

――それぞれの部屋のこだわりをお聞かせください。

家具に関しては各拠点で使用していたものを持ち寄って配置してみました。集めてみたら統一感が出て、上手くはまったという感じです。基本的には皆が持ち寄った家具に合わせて壁や床や照明を相談しながら空間デザインを決めていきました。また同居企業様の前のオフィスの家具がかなりおしゃれだったので、そのまま使用させていただいています。家具でオフィスのグレードが上がったなと感じました。新規で作ったエディットルームに関してはエディターのこだわりをできるだけ反映させて作りました。社内のメンバーのセンスを大事にしてオフィス作りを行いましたね。オフィスフロアはフリーアドレス制を採用しており、その空間が半分ほどを占めています。その他の空間はカフェスペースやソファーを置いたりとABW(※)を形にしました。

※ABWとは(Activity Based Working)の頭文字から生まれた用語。
仕事内容や気分に合わせて、働く場所や時間を自由に選ぶ働き方。

落ち着いた雰囲気のEDIT ROOM

――働き方はフルリモートでしょうか?

働き方に関してもABWのスタイルで、リモートと出社のハイブリッドな形をとっており、時間と場所をこのオフィスに留めることなく、かなり広く捉えてスタッフは仕事をしています。個人で進行できる内容は自宅で、チームで進めないといけない業務はオフィスで、という感じで使い分けてます。ただ、居心地よく働けるオフィスになったおかげで、出社率はここ最近は高い感じがしますね。フレックス制も含めもちろん自己責任が伴うものではありますが、自分の働き方のバランスを取れる形が映像制作の仕事とフィットしているなと感じています。

――移転後にオフィスについて社員アンケートをされたと伺いましたが、結果はどうでしたか?

「移転してよかった」と回答してくれたメンバーが8割以上でしたね。初めは他の企業と同居状態で仕事をすることによって業務が滞るのではないかといった不安やネガティブな意見はもちろんありましたが、入居後はお互いが意識し、誰かに見られているという状態や双方の刺激によって高め合えているという意識があります。物理的に集まることができる環境を作ることは、映像制作においてチームワークという観点で密接に直結しているなと感じています。安心して集まれる場所があることで生産性も上がりますし、このオフィス空間が重要だなと思います。

MEETING ROOM

共創を生み出していく環境

――今後の事業の展望をお聞かせください。

グループ会社を集めて1つの空間にカオスを生み出したことによって新たな動きがはじまった部分もあります。その例として会社間を飛び越えチームを組み、休日にミュージックビデオの制作をしているメンバーもいます。このようにカオスによって生み出されるひらめきやクリエイティブを日々間近に感じています。今後もこの共創の効果を拡大し、よりクリエイションを推進めていきたいと考えています。

お客様に映像を見ていただきながらリアルタイムでカラーグレーディングができる

営業担当 三嶋より

仲介の立場として、「移転してよかった」と思っていただけるのが一番嬉しいですね。
オフィス移転は、働く環境の改善や営業効率・生産性の向上など、企業がより良くなるという目的を叶えるための手段であり、社員の皆様にとっては単なる出来事かもしれませんが、経営者からすると重要なメッセージであると思ってます。
今回の移転に対して、社員の方から良い捉え方をしていただけたことがとても嬉しいです。

7年前に移転のお手伝いをさせて頂いた頃から、クリエイティブ集団として常に進化し続けていることに感銘を受けています。
エルロイ様と共に自分も成長し続け、これからも微力ながら貢献できればと思います。

インタビュー・編集/木村
撮影/西崎

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