目的と気分に合わせたゾーン設計 STORES のシームレスな働き方

Vol.26 STORES 株式会社

東京都渋谷区東3-16-3 エフ・ニッセイ恵比寿ビル 4F

https://www.st.inc/

個人や中小企業の方々に向けてお店のデジタル化を実現できるサービス「STORES」を提供するSTORES 株式会社。リアルとオンラインをシームレスに繋ぐサービスを生み出す同社では、2022年の年明けにオフィスの増床を実施し「インプットとアウトプット」「集中とリラックス」という2つのモード軸に合わせたゾーン設計で内装をリニューアル。現在の働き方やオフィスのこだわりについて、取締役の佐俣様にお話を伺いました。

取締役 佐俣奈緒子様

オンラインとオフラインの両軸でお店のデジタル化を支援

――「STORES」の特徴を簡単に教えてください。

OMO(※)が消費者にとって既に当たり前になり、お商売のあり方もマルチチャネル化してきました。そのような世の中に対して「STORES」は、事業オーナーさんのお店のデジタル化をサポートし、オンラインとオフラインを繋いだお商売を支援するサービスを提供しています。ネットショップや決済サービス、予約システム、レジ、店舗アプリなど全方面からお店のデジタル化を支援しているのが「STORES」の特徴です。

※OMO:Online Merges with Offlineの略で、オンラインとオフラインの融合のこと。

――他のネットショップ運営サービスと比較して STORES の強みは何ですか?

私たちは、様々なサービスを横断して提供するというところに価値があると考えています。様々なプロダクトをシームレスに繋いでいくことで「ヒト・モノ・カネ」を私たちのサービス上できれいにまとめられるのが強みですね。

お店の入り口を連想させるデザインのエントランス

――お客様のニーズやマーケットはどのように変化していますか?

現在、消費者にとってオンラインとオフラインを行き来する購買が当たり前になり、日本の中小企業のデジタル化はECに関しては明確に進んだと感じています。コロナ禍によって衛生面からキャッシュレスが推進されたのも、デジタルという側面では大きな社会変化をもたらしたのではないでしょうか。

WORK LOCAL

――現在の働き方について教えてください。

新型コロナウイルスの感染拡大以降、リモートワークを中心とした就業形態を採用してきました。その中で、働き方や住環境など様々な欲求が顕在化してきました。
「WORK LOCAL」という働き方は、地方で働くことや地元に戻ることなど「好きな街から働く」「地域に根ざして働く」といった動きを許容する取り組みです。お店のオーナー様は全国各地にいらっしゃるため、弊社メンバーもお客様と近い場所で生活しながら働く、という点でも学びが多く得られるのではと感じています。

「オールスター」「挑戦スパイラル」「デリバリーアニマル」3つのバリューをイメージしたアート

プロジェクト始動

――オフィスを増床・リニューアルされたきっかけや背景を教えてください。

メンバーが増え、広い空間が必要になったことが第一の理由です。できれば移転せず同じビル内で増床を検討していたため、空室が出た段階ですぐに申込をし、内装の検討に移りました。せっかく増床をするのであれば、変化した働き方にあわせてリニューアルを行うことになりました。

オーナー様の商売繁盛を願う特注の暖簾

各ゾーンを壁を作ることなくゆるやかに繋いでいる

――プロジェクトはどれくらいの規模で進められましたか?

プロジェクトは社内の4人のメンバーを中心に、付き合いの長い内装デザイン会社様と協力して進めました。空間を仕切るために利用した暖簾のデザインは、社内のデザイナーが手掛けました。

――リニューアルに伴って社内からどのような要望が出ましたか?

社内のメンバーにヒアリングしたところ、ミーティングがしやすいスペースや仕事に集中できるスペース、また動画を配信する部屋をつくってほしいといった要望が挙げられました。

ゾーニングの工夫

――オフィスのコンセプトについて詳しくお聞かせください。

「インプットとアウトプット」「集中とリラックス」などモードに合わせてゾーンを明確に分けることを意識しました。暖簾で空間を仕切ったり、ゾーンごとに床の色を変えたりと工夫しています。

集中できる半個室ブース

暖簾で区切られた会議スペース

――フロアの中心にスタジオを配置したのはなぜですか?

スタジオの中の様子をガラス越しに見れるようにすることで、イベントの様子が分かったり、コミュニケーションが生まれるため、フロアの中央に配置しています。

スタジオはガラス張りで中の様子がわかるように

――スタジオではどのようなコンテンツを配信されていますか?

月1で振り返りやトピックスを共有する「レビュー会」とよばれる全社会議をスタジオから配信しています。また、技術系のカンファレンスを開催することもあります。社内だけではなく社外の方々をゲストにお招きして出演いただいたり、視聴していただくこともあります。

学びを得ることが出来るライブラリ

――出社とリモートワークのハイブリッドをとられていますが、オフィスの意義や役割について教えてください。

コロナ禍ということもあり、密集することに対する耐性が減り、圧迫感がある場所で働くことによる生産性の低下は著しいと感じています。増床・リニューアルによって余裕のある空間になったため、距離をとって仕事をすることが可能になりました。また、働くモードによって空間を仕切っているため目的に合わせて場所を選ぶことができ、仕事がしやすくなりました。

また、オフィスに来ると他のメンバーに会える点も良いなと思います。現在は必要なタイミングで集まって仕事がしたいというメンバーが多く、完全フルリモートを望んでいる方は弊社では少ないです。オンライン中心の働き方といえ、新しく入社したメンバーを迎え入れる際や、他のチームとの共同プロジェクトなど人と交流する際にはオフラインが寄与する部分も多いため、オフィスの存在は必要だと感じています。

店舗運営のプラットフォームへ

――これから企業として挑戦していきたいことや事業の展望について教えてください。

お店のデジタル化を支えるという軸は変わらず、こだわりや情熱をもって事業を始める方々の楽しさがずっと続くように支援していきたいと考えています。そのためにサービスをもっと増やしてプラットフォーム化し、課題解決の幅を広げていきたいと考えています。複数のサービスをご利用いただくことで価値を提供し「商売をするならSTORESがいいよ」という声が、店舗運営をされる方々の当たり前になればと思います。

――この度は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

編集後記

働くモードに合わせた4つのゾーンには新たなアイデアやコラボレーションを生む様々な仕掛けが詰まっていました。ゾーニングが明確でありながら壁が無く、暖簾で空間を仕切ることで全てのゾーンがゆるやかに繋がっている様子はSTORES様のシームレスなサービスそのものだと感じました。

 

インタビュー/服部
編集/木村
撮影/平井