Vol.23 株式会社INDUSTRIAL-X
東京都港区西新橋3-25-31 愛宕山PREX 11F
https://industrial-x.jp/
クライアントのDX推進を支援する株式会社INDUSTRIAL-X。2022年6月に移転した新オフィスは東京タワーの存在を感じられる圧巻の眺望。様々なツールを駆使してリモートワークをしながらも、スタートアップで多様なメンバーが一丸となるためにオフィスの重要性も明確にされています。新オフィスで叶えたいことや内装デザインへの工夫・こだわりについて、代表取締役CEOの八子様と執行役員CHROの横田様にお話を伺いました。
DX推進プラットフォーマーとして
――DX化を推進したい企業へ支援をされていますが、具体的にどのようなご相談が多いのでしょうか?
八子:日本では、労働人口の減少の危機感からITの力を使って生産性を高めていく必要があると考えている企業は多いですが、どのような姿を目指せばよいのか分からない、どんなソリューションを選択すればよいのか分からない、社内にプロジェクトをリードしてくれる人がいない、大きな予算は確保できない、など課題は多岐にわたります。私たちにご相談いただければ、これらの課題に対して包括的にアドバイスすることが可能です。
――御社の強みや評価されている点は何ですか?
八子:私たちの特徴は「伴走型DX推進」です。理想形を提案し、成果物を納めて終わり、アドバイスして終わりではなく、お客様にコンサルテーションの範疇を超え、目指す姿の定義から戦略立案、実際の推進過程における社内定着化支援までお客様と共に実行するので、「伴走型」と呼んでいます。例えば、お客様に宿題を出したり、私たちが宿題を持ち帰ることも多々あります。私たちがお客様社内の業務に入りこんだり、共同でビジネスモデルをつくり、私たちが事業者としてソリューションを外販することもあります。社内改革にはそれなりに期間がかかるため、原則は1年契約で、負担が少ない月額払いでご依頼いただけるよう柔軟に対応している点もご好評いただいています。
――DX推進には様々な業界やサービスのナレッジが必要になると思いますが、どのように支援されていますか?
八子:現在のクライアントは4~5割が製造業ですが、異なる業界や地方自治体などを支援することも多いです。社内に業界別のチームがあるわけではありませんが、初めて担当する業界や業務内容であっても、課題を発見するフレームワークを理解しておくことでお客様の業務の非効率な点や無駄な部分を特定したり見当をつけることが可能です。これまでのDX推進のノウハウを蓄積しているため、類似のプロジェクトのドキュメントを参照すれば7~8割は参考にできます。
前オフィスは1年以内で手狭に
――移転前のオフィスの良かった点や課題があれば教えてください。
八子:前オフィスは麻布十番から徒歩1分という好立地にありました。羽田空港や品川駅にもアクセスが良く、飲食店も多いという地の利で決めました。全体が見渡せる25坪程度のコンパクトなオフィスだったため、コミュニケーションが密にとれ、一体感がある点が気に入っていました。一方で会議室や個室スペースが少なく、Web会議などが重なると周囲の声が気になるという課題がありました。また、築30年以上という設備の古さや物理錠での施錠が必要なこともDXを推進する会社としては気になるポイントでした。
――今回のオフィス移転の経緯について教えてください。
八子:前オフィスに移転してから1年経たないうちにメンバーが続々と増え、午後から出社したメンバーの座る席がないなど、いよいよ手狭感を感じてオフィスの移転を決めました。複数名が同じタイミングでストレスなくWeb会議を行えるようにしたいという思いも強かったですね。
多様なメンバーが集まりたいと思えるオフィスに
――オフィス移転によって叶えたかったことは何ですか?
横田:弊社は現在30人強の組織ですが、メンバーには正社員だけでなく業務委託も多く、年代も20代から50代と幅広いため、働き方も価値観も様々です。そんなメンバー誰もが心地よく、生産性高く、このオフィスがあって良かったと思える空間にしたいと考えていました。オフィスにいつも出社しているメンバーはもちろんのこと、業務委託で参画しているメンバーが気軽に立ち寄ってメンバーとコミュニケーションをとったり集中して働ける、そんなオフィスにしていきたいという思いで移転プロジェクトを進めました。オフィスに出社することで物理的に話しかけやすい距離感が生まれ、メンバーの表情や態度といった非言語コミュニケーションから温もりや安心を感じることができます。多様なメンバーが集まり、コミュニケーションをとることがチームワークに繋がり、クライアントへのレベルの高いパフォーマンスに繋がると考えています。
小学生時代からの夢を叶えるオフィス
――愛宕山PREXの決め手となったポイントは何ですか?
八子:私は愛媛県出身ですが、小学生の頃から将来は東京タワーが見えるオフィスで働きたいと思っていました。起業して自分でオフィスを選ベる状況になってから、物件を探す際には東京タワーが見えるオフィスを意識するようになりました。「オフィス」「東京タワー」などの検索キーワードから愛宕山PREXのWebサイトを見つけ、屋上から東京タワーが見えるという点に興味を持ちましたが、2022年1月時点では弊社の身の丈を超えた賃貸条件だったため、一度は内見を諦めました。売上の10%以下が適性と言われているオフィス賃料よりも高かったためです。しかし後日、期間限定キャンペーンが開始されたことを知り、弊社にとって魅力的な条件設定になったため、役員や数人の社員と一緒に内見をすることにしました。低層階は近隣の小学校に隠れて東京タワーが見えませんでしたが、高層階は遮るものがなく圧倒的にインパクトのある大きさで東京タワーを望むことができ、心が動きました。別のビルも5件ほど内見していたのですが、東京タワーの足元しか見えなかったり、窓際に近寄って見上げないと全貌が見えなかったりと、なかなか申込をする決断までには至っていませんでした。
横田:愛宕山PREXの高層階から東京タワーを見た時、代表・八子のワクワクしている様子が手に取るように分かりました(笑)。2面採光で開放感があった点もメンバーから好評でした。
八子:これから正社員採用を強化していく予定があったため、働きたいと思えるオフィスという点でも魅力がありました。試算を行った結果、1~2年後を見据えた成長計画と合致したため申込を決めました。個室の会議室が2ヵ所設置されたハーフセットアップオフィスで、入居工事費用が抑えられることも魅力でした。前のオフィス移転の時に役員の吉川は「家賃は何も生まない」と言っていましたので、今回の賃料では同じことを言って反対されるかもしれないと思っていましたが「家賃は何も生まなくても、そこに人が集まることで何か生まれるなら」と背中を押してくれました。
――新オフィスのコンセプトについて教えてください。
八子:私は主に移転先を決定するところまで行い、デザインや家具の選定はプロジェクトリーダーの横田に任せました。
横田:メンバーにアンケートをとった結果、コミュニケーションも集中もリラックスもしたいという声が多かったため、空間をゾーン分けすることでそれら全てを叶えられるようにしました。オフィスに集うことで、想定外のコミュニケーションとコラボレーションが生まれたり「素敵なオフィスで働いている」というワクワク感を満たすオフィスになれば嬉しいです。
目的や家具の高さを意識したデザイン設計
――レイアウトや内装デザインのこだわったポイントについて教えてください。
横田:見晴らしの良い南側のゾーンはロータイプのソファーとテーブルでくつろげるスペースにしました。プロジェクターと大型スクリーンを設置し、イベントや会合に利用できるよう、配置替えがしやすいフレキシブルな家具を選定しました。
北側のゾーンにはハイタイプのテーブルや椅子を配置し、食事や休憩だけではなくスタンディングでの業務やミーティングも可能です。
南側ゾーンと北側ゾーンの中間にある執務スペースは、デスクとチェアが整然と並び、集中力を高められるレイアウトにしました。
前オフィスで利用していた家具も一部利用する予定でしたので、雰囲気が合うように、それでいて新しさも感じてもらえるように、自分たちで何軒も家具屋さんを回り、ひとつひとつこだわって家具を選定しました。複数の目的や用途で利用できる家具を厳選しました。
至るところにホワイトボートを設置、思い立ったらすぐに書いてアウトプット。何気ない会話から生まれるアイディアもすぐに言語化して共有できるようにしていま
す。
――オフィス移転全体を通して、予想以上に大変だったことや悩んだことがあれば教えてください。
横田:レイアウトやゾーニングに一番悩みましたね。最高の眺望が得られる東京タワー側のゾーンをどのように利用するか、セキュリティーの関係で必須となる2室の個室や希望の多かったカフェスペースを執務エリア内のどこに配置するか、来客動線をどのように確保するかなどを社長やデザイン会社と一緒に多くの時間を費やして議論しました。
横田:また、予想以上に大変だったことは、通常業務がある中で各関係者とのやりとりから経理処理までこなさなくてはいけなかったことです。家具にこだわったこともあり、各業社さんごとに家具の納期が不確定だったりお支払いのタイミングがまちまちだったりと、個別の対応が頻発し事務処理も大変でした。前のビルの退去にまつわる手続き、複数の工事会社や家具仕入先とのやりとり、引越しの手配、新オフィスのビル管理会社や消防署への各種申請や手続き、お取引先への移転連絡、お祝い品へのお礼状送付など想像以上にタスクが多くありました。移転前に比べて出社率は増えていますので、メンバーにとって出社する価値がある快適なオフィスになっていれば嬉しく思います。
デジタルと人間の共存
――次のフェーズとして目指している目標や今後の事業の展望について教えてください。
八子:目先のクライアントの業務改善だけではなく、会社全体、取引先も含めた業界全体、需給バランスを含めたマーケット全体を変革し、同じ産業に関与している人全体のレベルを上げていくことが私たちの掲げる目標です。DX化の波は避けて通れませんが、デジタルなソリューションやロボットを導入しても半分はアナログなものが残ると思います。人間がデジタルを理解し、遅れを取り戻していくことが重要です。デジタル化、ロボット化する空間にどうすれば人間が快適に共存しながら適応していけるのか、最適な提案をしていきたいと考えています。
――この度は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
編集後記
東京タワーのような眺めるだけで力をもらえるシンボルは、近くで働くワーカーにエネルギーを与えてくれます。オフラインで1つの場所に集まってメンバーや環境に刺激を受けながら働くことで、リモートワークとは異なるインプットやアウトプットが生まれます。オフィスは多種多様なメンバー同士を繋げるハブであり、会社の成長を加速するチカラをもっています。
インタビュー・編集/服部
撮影/平井