モビリティ特化の共創ハブ ビジネスの創出・成長を支援するThe Drivery Japan

Vol.43
The Drivery Japan

神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1 TECH HUB YOKOHAMA 2階

(横浜ランドマークタワー敷地内25街区ギャラリー棟)

https://thedrivery.com/ja/japan

2024年11月に横浜市がオープンした技術新拠点「TECH HUB YOKOHAMA」に入居したThe Drivery Japan。コワーキングスペースとしてのオフィスの活用やスタートアップを支援する仕組みについて、ディレクターの吉武様にお話を伺いました。

Director of Business Development 吉武 仁様

モビリティ特化の共創ハブ

――御社の事業についてお聞かせください。

私たちは、ドイツのベルリンに本部を置くThe Driveryの日本法人です。欧州最大級のモビリティイノベーションハブで、世界各地に拠点があります。コワーキングスペースを運営しながらモビリティ分野の企業を支援しています。ご入居いただいているスタートアップやベンチャー企業に海外の最先端の情報提供をしたり、ネットワーキングやビジネスコラボレーションの支援、日本企業の海外進出や海外企業の日本進出のコンサルティングなどを行っています。

――モビリティ分野とはどこまでの範囲をさしますか?

自動車メーカーや部品メーカー、鉄道・バスなどの公共交通機関、電動キックボードなどのマイクロモビリティ、ドローンなどもモビリティ分野です。最近ではSDV(※)に関連するIT企業や、決済サービスや損害保険・エネルギーに関連する企業、投資先を探しているVC、地方自治体など幅広く捉えています。

※SDV(Software Defined Vehicle)
車に搭載されたソフトウェアを遠隔から制御・アップデートすることで、購入後も機能追加や性能向上が可能な自動車のこと

――次世代モビリティとして今後、期待・注目されている技術にはどのようなものがありますか?

主に3つあります。1つ目は自動運転を支えるAIやセンシングの技術、2つ目はEV化を支えるバッテリーの技術、3つ目はSDVを支えるソフトウェアやIoTの技術です。すでにアメリカでは電気自動車が走っており、一定区間は自動運転モードを使って走行することも日常になってきています。日本でもこれから数年でそうなっていくと思います。

横浜市と共同でスタートアップを支援

――日本拠点を「TECH HUB YOKOHAMA」内に構えることになった経緯を教えてください。

日本のモビリティ業界に参入する計画があった私たちと、モビリティのスタートアップの育成や支援に積極的な横浜市の方向性がマッチしたためです。横浜市は「Mobility Innovation Hub YOKOHAMA」というコンセプトを掲げて企業の支援に取り組まれています。2023年12月には横浜市と基本合意書(MoU)を締結し「イノベーションの推進・スタートアップの成長支援」を共同で推進していくことになりました。そこから2024年11月にオープンした新技術拠点「TECH HUB YOKOHAMA」に入居させていただく運びとなりました。

――モビリティ分野のスタートアップ企業が創業期や世界進出時に直面する課題にはどのようなものがありますか?

スタートアップはそもそも人数が少ないため、先進的なモビリティ分野の情報取得や他社との連携が難しいという現実があります。私たちの運営するコワーキングスペースにはモビリティ分野の様々なプレイヤーが集結しているため、情報も入って来やすく協業もしやすい環境です。また、ドイツを筆頭にヨーロッパでは1,000名の会員がいるため、海外の企業とも繋がることができる点はメリットだと思います。

ビジネスが加速する場を提供

――どのような会員プランがありますか?

オープンなコワーキングエリアについては、スタートアップだと月額55,000円、スタートアップ以外だと月額100,000円でご利用いただくことが可能です。個室は、1席あたりで借りるプランと1室全て借りるプランがあります。会議室は共用で、予約すれば無料で利用が可能です。イベントの参加やスポットコンサルティングは任意ですが、別途有料となります。


――The Drivery Japanではどのような価値を提供できますか?

モビリティに特化した施設なので、ビジネスに直結できる国内外のネットワークが獲得できます。横浜市とは日常的に実証実験や補助金についてのディスカッションも行っているため、良いビジネスモデルがあればすぐ相談できる体制があります。
また、これからはほぼ毎月イベントを開催する予定です。例えば、我々のメンバーがCES(1月にラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジーの見本市)に行ってきたため、技術トレンドに関する報告セミナーを先日開催したところ、130名を超える方々にご参加いただくことができました。今後も業界の最先端の情報提供を行っていきます。

The Driveryを起点するイノベーション

――これまでに生まれたイノベーションや繋がりの事例があれば教えてください。

ベルリンでは多くの事例がすでにあります。ベルリンの「Jelbi(イェルビ)」というMaaS(※)サービスは、Driveryがサポートすることで実現しました。ベルリンの交通局やプラットフォームを作っている企業、交通手段を提供している企業を繋げて、携帯で最適なモビリティの手段を予約して使えるサービスを実現しました。アプリはベルリンの人口の4分の1に値する80万ダウンロードを突破しました。

※MaaS:バスや電車、タクシー、飛行機などすべての交通手段による移動を1つのサービスに統合し、予約から支払いまでをシームレスに繋ぐ概念

また、入居しているVCがEVの充電スタンドの事業者や水素ステーションの事業者など新しい技術を持っているスタートアップに投資することも良くあります。分野特化型のコワーキングスペースのため、マッチングが成立しやすいというメリットがあります。

――今後The Drivery Japanをどのような拠点にしていきたいですか?

私たちのゴールは、ご入居いただいた企業がコラボレーションすることでここから新しいサービスが誕生したり、スタートアップの方々がこの場所をきっかけにビジネスを大きく成長させていただくことです。すでに多数のコラボレーション事例があるドイツのように、日本でも私たちが支援する方々から新しいビジネスが生まれ、成長していく場所にしていきたいと思います。

【お問い合わせ・資料請求】
The Drivery Japan 事務局:hitoshi.yoshitake@crossbie.com

――この度は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

編集後記

同領域の方々が集まるからこそコラボレーションやイノベーションが生まれやすいという点に、スピード感と大きな可能性を感じました。日本の横浜から世界へ、モビリティ分野の新たなビジネスが創出されることを楽しみにしています。

インタビュー・編集/服部
撮影/平井