コンテンツ次第で人が集まることを証明したコワーキングスペースfactoria

HAM株式会社 代表取締役 佐藤仁美様

HP:https://www.factoriajp.com/

HAM株式会社が運営する、コワーキングスペース「factoria」は、JR中央線 西荻窪駅徒歩1分の立地にあります。入居し、メンバーになると9:00~18:00はコワーキングスペース、18:00~22:00はイベントスペース(イベント時以外はコワーキングスペースとして利用可)として利用でき、法人登記可能・住所利用付きで月額26,000円というリーズナブルな料金体系も魅力です(法人登記なしの月額21,000円のプランもあり)。「なぜ、西荻窪にこんな凄い人たちが集まるの?!」とよくコメントをいただくという「factoria」。その理由について代表取締役 佐藤様にお話をうかがいました。

◆佐藤さんが起業された経緯を教えていただけますか?

私は、もともと製薬業界で営業をしていました。ある休日、ふと目にした光景〜バイク仲間と本当に楽しそうにツーリングしている光景〜に何故かインスパイアされました。思いっきり好きなことをしていて、とても楽しそうだなと羨ましく思ったのと同時に、自分の人生を振り返っていて、これまでの私はこういうことをやりたいと言うだけで何も実行してこなかったので、有言不実行で格好悪いなと感じていました。そんな自分を変えるために、まずは起業してみようと考え、翌日には退職届を提出し、3ヶ月後の退職翌日から朝から朝方までアルバイトをいくつも掛け持ちし、起業資金の目処がついた2010年にHAM株式会社を設立しました。

 

起業した会社で何をするかは手探りの状態でしたが、先ずは地元・大分県と何かビジネスが出来ないかと考え、中国に特化したインバウンドマーケティングについて県庁へご提案させて頂いたところ、面白い企画だね!ということで取引がスタートしました。また、同時期に知人からお声掛けを頂き、赤坂見附の飲食店の経営再建をお手伝いさせて頂き、翌年に表参道で飲食店を開業し、6年程飲食事業に携わっていました。

◆飲食業界からコワーキングスペース「factoria」をオープンされるまでの経緯を教えていただけますか?

順調だった飲食事業を6年程手掛けた後、お店、スタッフ、自分自身の更なる成長を目指し、2015年に事業譲渡することに決めました。毎日、あたりまえのようにお店という場所があって、そこにはスタッフやお客様がいて、コミュニティ(繫がり)ができていたことに、それまでは気付けてなかったのですが、 場所を手放してはじめて、「場所の重要さ」を再確認し、やっぱり私は「人が出会い、繋がる場をつくりたい、そこがあったから私は幸せだったんだ!」と気付かされました。

そして、会社を持続的に経営していくためには、人間にとって必要不可欠な「衣食住」に携わる事業をしていきたいと考え、次のチャレンジに「住=不動産」を選びました。

私見ですが、「住」には「働く・暮らす・寛ぎの場」があると考えています。私たちは、それらを全て提供していきたい、且つ、その「住」をメンバー(会員、入居者)が自分の所有物のように好きに使えたり、作り替えたりすることが出来るような「働く・暮らす・寛ぎの場」づくりをしていきたいと考え、2017年に第一歩となる「働く場」のコワーキングスペースをスタートしました。「factoria」の”factor”にはラテン語でつくる人、行う人という意味があり、ビジネスをつくる人・行う人が集う場になってほしいという想いで名付けました。

 

◆なぜ西荻窪に「factoria」をオープンされたのですか?

西荻窪が大好きだったことと、この立地条件が非常にチャレンジングだったからです。コワーキングスペースを西荻窪で開業するということについては、周りからも心配されましたが、独自性が高いコンテンツを提供することができれば、必ず人は集まって来るという信念をもってチャレンジしていきたいと考えました。西荻窪は駅のすぐ近くに飲み屋さんが集まる古い横丁があり、観光客ではなく地元の方が普段からよく利用していて、ディープな日本が残っています。この事業を始める前は表参道に住んでいましたが、外国から友人がくるときは、西荻窪までわざわざ連れてきて友人達とディープな雰囲気を楽しんでいました。この街は個人商店が多く、オーナーさん1人1人がお店に立たれていて、熱いパッションを感じられるところが魅力的ですし、ユニークです。そんな街でコンテンツ力を磨いて、ビジネスをやってみたいと西荻窪を選びました。

窓枠を活かした作業スペース

◆「factoria」の強みや他のコワーキングオフィスとの違いを教えていただけますか。

「なぜ西荻窪にこんな人が集まるの?!」とよく言われるのですが、それだけユニークでエッジの効いた業界を牽引する人たちが集まっているという点と、メンバー同士がサポートしあって成り立っている点が強みです。業種も年齢もバックグラウンドも多様ですが、協業したり、公私の相談をしたり、サポートが必要だと手を挙げれば、メンバーやアドバイザー皆揃ってサポートしあえる1つのチームのような関係だと思います。且つそれぞれが専門性の高い仕事に携わられているので、心強いメンバーが揃っていると思います。事業サポートはハンズオンでしっかり行うので、そこで得た知見をビジネスに活かされている方も多いです。オン(仕事に集中する時間)とオフ(お茶タイムやお酒を交わしての交流会など楽しむ時間)の切替えもしっかりできるため、売上が向上した、年間の目標達成が予定より早まった、事業の幅が広がったと嬉しい報告を頂くことが多いですね。

また、ドロップイン(単発での時間利用、一時利用)プランは提供しておらず、メンバーさん(入居者)も厳選させていただいているので、他のメンバーさんにもビルの貸主様にも安心していただいています。

◆どのような方に入居していただきたいですか。またどのように入居時面談や審査をされていますか?

ご入居前に必ず私がご面談させていただくのですが、入居を検討されている方にとって最適な場所を選んでいただくことが最も重要だと考えています。それが「factoria」でフィットするのであれば大歓迎ですし、使い方・利用時間帯・費用などの面で他のコワーキングスペースの方がおすすめできるのではないかと思う方には、他社様のコワーキングスペースを調査してご紹介させていただくこともあります。

factoriaでは、コワーキングで使える時間とイベントで使える時間を分けており、常駐で仕事される方もいれば、土日利用の方、メインはミーティングやイベントのみ利用される方など様々です。そのため定員は特に設けず、現状のメンバーさんの利用状況を踏まえながら、新しいメンバーさんを受け入れるようにしています。

  

◆開催されているセミナーやイベントについて教えていただけますか?

セミナーやイベントは、メンバーが企画することもあれば、factoriaやアドバイザーが主催することもあります。セミナーやイベントにおいてもコンテンツがよければ、西荻窪でも集客が十分可能なのでエッジの効いた企画を開催するよう心がけています。昼間にはオフィスアワー(事業に関するあらゆる相談や質問ができる時間)というものを定期的に設けていて、その時間はアドバイザーが常駐し、メンバーが事業の相談を気軽にできるようにもしています。事業サポートがある点は、他のコワーキングスペースでは珍しいと思いますし、普段なかなか相談できないような各業界を牽引するアドバイザー達に相談にのっていただけるので、喜んでいただいています。

アンティークな雰囲気のエントランス

「factoria」で開催したイベントにご参加頂いた方々からの声をお借りすると、「なぜ、都心部でもないのにこんな人達が集まるの!?」「スピーカーはもちろん、参加者も凄い人達ばかりで驚いた」「内容も人もエッジが効いているのに、アットホームなイベントだった」などとご感想を頂くことが多いです。それは、コラボでイベントを企画・集客して下さるアドバイザーの人柄や参加者が醸し出してくださる雰囲気のおかげだと思っていますし、そんなイベントを開催できているのも「factoria」の特徴の1つだと思います。

◆今後の事業展開についてお聞かせいただけますか?

私たちのビジョンである、望むライフスタイルを過ごせる環境づくりのための「絆が生まれる、働く・暮らす・寛ぎの拠点」を50歳までに国内外に複数展開していくことです。

実は、2017年10月に遭った交通事故で、もしかしたら、私は死んでいたかもしれませんでした。

搬送された高度救命センターの天井を見上げながら、思ったことは、ただ1つ。

今、死んだら何を後悔するかな?ということでした。その答えは、もっと自分のビジネスで人を幸せにしたかったということ。だから命を授かることが出来たら、もっとビジネスを頑張ろうと決めました。当たり前ですが、人はいつ死ぬかわからない、人生には限りがあります。その限りある人生で、人々が自分の望むライフスタイル・生き方ができる環境づくりのお手伝いをさせて頂くことが私たちの存在価値だと思っています。

★factriaの詳細はこちら

◆編集後記

飲食店の運営からコワーキングスペースの運営への転換は、全く異なる分野のように見えますが、運営側とお客様とのコラボレーションでその場の環境や

雰囲気が作られるという点に共通する部分があり、佐藤さんが「人が出会い、繋がる場をつくりたい」という熱い想いを持って「factoria」を運営されていることが伝わってきました。釣りバカ日誌のハマちゃんが大好きという佐藤さん。趣味や人の繋がりから大きなビジネスチャンスを掴んだり、問題を解決していったりするハマちゃんの姿に心惹かれるそうです。次に展開される拠点はどんな場所で、どんなコンテンツを提供されるのか、今からとても楽しみです。この度はインタビューにご協力いただき、ありがとうございました。

インタビュー:服部 撮影:平井