オフィス退去時の原状回復義務とは?知っておくべきポイントを解説!

オフィスを退去する際、「原状回復義務」で何をどこまでやるべきか、費用負担はどれくらいになるのか、オーナーとトラブルにならないか──と不安に感じていませんか。
実は、ポイントを押さえて準備すれば原状回復は適切に対応でき、余計な出費やトラブルを防ぐことができます。
本記事では、オフィス退去時の原状回復義務の基本や範囲、費用相場と負担の仕組み、トラブルを避ける方法などを詳しく解説します。
最後まで読めば、退去準備のポイントが明確になり、安心してオフィス移転に臨めるようになります。

 

本記事に書かれていること
  • オフィス退去時の原状回復義務の基本とその範囲
  • 原状回復工事にかかる費用相場と費用負担の考え方
  • 原状回復工事の流れ
  • 原状回復のトラブルと対処

 

この記事はこんな人向け
  • オフィスの退去・移転予定があり原状回復について知りたい方
  • 原状回復義務の範囲や費用相場が分からず不安な方
  • 退去時のトラブルを避けて円満に新オフィスへ移転したい方

<目次>

原状回復義務とは?まず基本を確認

オフィスの賃貸契約では、退去時に借りた当初の状態(原状)に戻して返す義務があります。
これを「原状回復義務」といい、壁や床の汚れや傷、設置した造作物の撤去など入居前の状態に復旧して明け渡すことを指します。
この際に発生する修繕や工事の費用は、一般的に借主(テナント)の負担と定められており、法律(民法)上も原則として借主負担とされています。
つまり、オフィス移転で現在のオフィスを退去する際には、責任を持って原状回復工事を行わなければなりません。

原状回復義務の範囲:どこまで元に戻す必要がある?

 

原状回復義務の範囲(どこまで復旧するか)は、賃貸借契約の内容によって決まります。
基本的には「入居時と同じ状態に戻す」ことですが、オフィスの場合はその範囲が広く、通常の使用による汚れや劣化も含めて原状に戻すケースが多い点に注意が必要です。
例えば賃貸住宅向けの原状回復ガイドラインでは、日常使用で生じる日焼けや摩耗などの損耗は貸主負担(賃料に含まれる)とされています。
しかしオフィスでは、壁紙の焼けやカーペットの擦り切れといった経年劣化や通常損耗も借主が復旧する契約が一般的で、退去時に新調された状態へ戻すことを求められることが多いのです。
なぜ住宅とオフィスでは原状回復に違いが出るのかというと、住宅での現状回復コストは基本的に大きく幅のあるものではないため、定量化してあらかじめ貸主が負担するものとして、賃料に含めることができます。これに対してオフィスでは入居する法人ごとに設置する造作物や備品の量が大きく異なるため、ケースバイケースであり、賃料に含めることが難しく、原状回復を借主負担としているのが通例になっているからです。

原状回復の範囲を知るには契約書の特約を確認しましょう。
賃貸借契約書には「原状回復」に関する取り決めが詳細に記されており、特約事項で独自の条件が定められている場合もあります。
例えば原状回復に関する契約書特約で「退去時はビル指定の業者で原状回復工事を行うこと」や「○○設備は撤去不要」といった内容があれば、その指示に従う必要があります。
契約書に沿って範囲を明確にし、どこまで元に戻す必要があるのか事前に把握しておくことが重要です。

原状回復工事の内容と進め方

オフィスの原状回復工事には様々な作業が含まれます。
主な工事内容として、入居時に設置した間仕切りや造作物の解体・撤去、壁紙や床材(カーペット等)の張替え・補修、天井や壁の塗装補修、照明や空調設備の原位置への復旧、室内全体の清掃(クリーニング)、残置物や不要什器の廃棄処分などが挙げられます。
ビルによっては工事の時間帯や廃棄物の搬出方法に制限があるため、管理会社と調整しながら進める必要があります。

では実際に退去が決まってから原状回復工事を完了するまで、どのように進めるとよいでしょうか。
一般的な流れをステップごとに見てみましょう。解約予告6ヶ月前の物件の場合は下記のようになります

    1. 原状回復の範囲確認: 退去が決まったらまず契約書を再確認し、原状回復義務の範囲を把握します。オーナーや管理会社とも早めに連絡を取り、工事に関する指示やビル側のルール(指定業者の有無、作業可能時間帯など)を確認します。

    2. 見積もりの取得(退去の半年前):まず、ビル指定の業者に原状回復工事の見積書を依頼します。その上で、工事内容や費用の妥当性を検証するために、可能な範囲で他社にも相見積もりを依頼します。指定業者との契約が必要な場合でも、他社見積もりを提示することで、費用や内容の交渉材料として活用できるケースがあります。

    3. 工事スケジュールの調整と発注(退去の2カ月前): 工事期間を確認し、退去期限(契約終了日)までに原状回復が完了するよう日程を組みます。広さや工事内容によりますが、オフィス原状回復には通常数日〜数週間かかります。退去日ギリギリにならないよう、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。

    4. 原状回復工事の着工(退去の1カ月前): 契約内容に沿って工事を進めます。騒音が出る解体作業はビルの指定時間内で行い、壁や床の補修、設備の撤去・復旧、最後に全体クリーニングを実施します。不用品は産業廃棄物として適切に処理し、完了後にマニフェスト(産廃処理証明)を受け取ります。

    5. 完了・明け渡し: 工事が完了したらオーナーや管理会社立会いのもとで原状回復状況を確認してもらいましょう。不備がなければ問題なく引き渡しとなります。保証金(敷金)が預けてある場合は、契約に従って原状回復費用が清算され、残金が返還されます。

原状回復費用の相場と費用負担の考え方

原状回復工事にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
一概に言えませんが費用相場の目安として、オフィスの原状回復費用は坪あたり数万円〜十数万円程度とされています。
例えば小規模なオフィス(〜50坪)であれば坪当たり約5〜10万円前後中規模オフィス(50〜100坪程度)坪8〜15万円前後、グレードの高い大規模オフィスでは1坪あたり20万円以上かかるケースもあります。
実際の費用はオフィスの広さ・レイアウトや内装の凝り具合、ビルの仕様(天井高や設備グレード)などによって大きく変動します。
スケルトン状態(骨組みだけの空空間)に戻す必要がある場合は工事範囲が広いため費用も高くなりがちですが、造作撤去が少なくクリーニング中心で済む場合は比較的安く抑えられるでしょう。

原状回復費用は基本的に借主負担ですが、実際には契約時に預けた保証金(敷金)から差し引かれる形で清算されることが多いです。
仮に工事費用が保証金で足りない場合は追加で清算が必要ですし、反対に費用が想定より少なければ差額分の保証金が返金されます。
退去前に見積もりを取り、保証金内で収まりそうか把握しておくと安心です。

できるだけ費用負担を軽減する工夫も検討しましょう。
たとえば不用品や粗大ごみを事前に自分たちで処分しておけば、業者に依頼する廃棄処分費を減らせます。
また原状回復工事の相見積もりを取って適正価格で依頼できれば無駄なコストを省けます。
さらに、後述する居抜きオフィスの活用など、原状回復自体を一部省略できれば大幅なコスト削減につながるでしょう。

原状回復で起こりがちなトラブルと防止ポイント

原状回復を巡っては、退去時によくトラブルが起こります。
典型的なのは費用負担に関するトラブルで、借主は「通常使用による汚れなのに全額負担は納得できない」と感じる一方、貸主側は「契約上すべて借主負担」と主張して揉めてしまうケースです。
また、ビル指定業者でない施工業者に依頼したところ仕上がりに難癖をつけられたり、工事が退去期限に間に合わず追加の賃料負担を求められる、といったトラブルも起こり得ます。
保証金の清算額を巡り、貸主・借主間で認識が食い違うケースもあります。

こうした原状回復トラブルを防ぐには、事前の準備と確認が肝心です。
まず契約段階で原状回復の条件(範囲や負担の考え方)を十分に理解し、不明点はオーナー側に確認しておきましょう。
退去が決まったら早めにオーナーとコミュニケーションを取り、工事内容や進め方について合意を図ります。
見積もり金額に納得がいかない場合は、国土交通省のガイドラインや一般的な相場を参考に冷静に交渉してみるのも一手です。
工事完了後の立ち会いでは、不備があれば即対処し、双方納得の上で引き渡すことで後日のトラブルを防げます。
万一自分たちだけでは対処が難しい場合は、早めに専門家へ相談することも検討してください。

オフィス移転はプロに相談を!オフィスナビの移転支援サポート

初めてのオフィス移転では分からないことも多く、不安や負担が大きくなりがちです。
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特に居抜きオフィスを活用した移転支援にも力を入れています。
「居抜きオフィス」とは、前の入居者が残した内装や設備をそのまま引き継いで入居する物件のことで、原状回復費用を大幅に省略できるケースがあります。
オフィスナビでは、居抜き物件に特化した「居抜きオフィスナビ」サイトを運営しており、希望に合う居抜きオフィスを見つけたり、自社の退去情報を掲載して次の入居テナントを募集したりといったマッチング支援も行っています。
居抜きを上手に活用できれば、原状回復費用の削減と新オフィスへの迅速な移行が同時に実現できるため、ぜひ専門家に相談してみてください。

このようにオフィスナビのサポートを活用すれば、原状回復から新オフィス選び、移転作業に至るまで安心して進めることができます。
オフィス退去や移転でお困りの際は、オフィスナビの無料相談に問い合わせてみましょう。きっと心強いアドバイザーとなってくれるはずです。