本記事に書かれていること
- オフィス移転を成功させるために必要な準備と段取り
- 移転先の物件を選ぶ際に重視すべきチェック項目
- よくある失敗パターンと、今すぐ使える回避策
この記事はこんな人向け
- 初めてオフィス移転を任された管理職・担当者
- 社員の満足度もコストも両立した移転を実現したい経営者
- 信頼できる物件探しとパートナー選びに不安を感じている人
「初めてのオフィス移転、何から始めればいいのか全然わからない」
事業が軌道に乗り、いよいよオフィスを移す決断をしたものの、調べれば調べるほどやることが多くて途方に暮れる——そんな中小企業の担当者の声をよく聞きます。
そこでこの記事では、移転プロジェクトを成功に導くために押さえるべきポイントを、現場経験を踏まえて整理しました。
読み終える頃には、今あなたが「何を」「どんな順番で」「どうやって」進めるべきかがはっきりし、動き出せるようになります。
オフィス移転を成功させるために知っておきたい基本知識
オフィス移転は、実は引越しだけでは終わりません。
プロジェクトの全体像には、物件選び、契約、内装・通信インフラ工事、原状回復、引越し、備品手配、住所変更手続きまで多くの工程が含まれます。
まずは何のためにオフィス移転をするのかという目的を明確にするところから始めましょう。
人が増えて狭い、建物が老朽化している、会議室が足りないなど、現在のオフィスでの課題や従業員からの要望などから目的を明確化することが大切です。
たとえば以下のように目的によってオフィス選びで重視すべきポイントが変わります。
- 採用強化 → 駅チカ・ブランド力のあるエリア
- コスト削減 → 坪単価の見直し、フリーレント付き物件
- 業務効率化 → ワンフロア化・動線の短縮
準備期間は最低6ヶ月、理想は8ヶ月〜12ヶ月。 原状回復義務を見込んで、現オフィスの退去条件(契約終了通知期間など)も早めに確認しておきましょう。
費用の主な内訳例(50坪・都内想定)
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- 原状回復費用:約250~500万円
- 引越し費用:約30〜60万円
- 内装工事費:約500万~1500万
- ネット・電話環境整備:約20〜40万円
- 仲介手数料:賃料1ヶ月分
- 保証金・敷金:賃料3〜12ヶ月分(エリアによって増減がある)
※これらの費用は物量や仕様時期によって大幅に増減します
移転にかかるトータル費用を見積もることで、物件選びの判断軸がぶれません。
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コラム:フリーレントとは何か?
「フリーレント(Free Rent)」とは、その名の通り一定期間の賃料を無料とする契約条件のことです。
オフィスの解約には半年ほどかかることが多く、新しく入る物件と今の物件での二重家賃が発生しがちです。
フリーレントの設定されている物件では二重の賃料発生を抑えられる点で非常に有効で、特に、内装工事や設備投資がかさむタイミングでは、キャッシュフローの緩和策となります。
失敗しないオフィス探しのための5つのステップ
1. 条件の整理を徹底する
まずは「移転の目的に基づいた条件設定」が肝心です。 以下のような観点で必須条件・希望条件を表や文章化してドキュメントなどにまとめておくとスムーズです。
主な希望条件
- エリア(現在地からの移動距離、営業エリアとの関係)
- 面積(坪数、人数×3〜4坪が目安)
- 賃料(月額上限、共益費込みで設定)
- 駅距離(徒歩◯分圏内)
- 建物グレード(築年数、設備、耐震性など)
- 入居可能日(退去通知期間と調整)
条件が近い物件を比較する際に、こういった整理項目をまとめておくと非常に比較がしやすく、スムーズな物件選びにつながります。そのため物件情報について少しでも不明点があれば、移転業者や管理会社に連絡してみることをお勧めします。
2. 社内調整を早めに行う
移転は全社的なプロジェクトです。
営業部門はアクセスや車両搬入、管理部門はセキュリティ、開発部門はネット環境など、部門によって優先順位が異なります。
従業員数が多い場合は対策として社内アンケートやヒアリングシートで要望を集めて可視化しましょう。 また、全社に移転の意図やスケジュールを伝える「社内説明資料」も早い段階で用意しておくと混乱を防げます。オフィス移転に関する移転一時費用をシミュレーションし、結果をPDF化できるようなツールなども試してみるといいかもしれません。
3. 情報収集は複数チャネルで
- 不動産仲介会社に一括でお問い合わせ(非公開物件などの情報も得られる)
- ポータルサイトで資料請求をする
- 実際に街中に出て、ビルを探してみる
複数チャネルから情報を取得し、交渉力と選択肢を持つことでより多くの情報を得ることができ、正確な判断を下せます。
4. 内見は比較しながら判断
1日で3件〜5件程度の物件を同じ基準で内見しましょう。内見での感想や疑問をメモすることやチェックリストを事前に作っておき、「点数化」して評価するなどすると、後々見返す際に便利です。
内見時に確認すべき資料・持ち物
- 図面・間取り図(内見後のレイアウト検討用)
- メジャー(サイズ確認)
- カメラ・スマホ(写真記録)
5. 契約から引越しまでを逆算して動く
契約日から入居希望日までにやることを「逆算スケジュール」にして見える化しましょう。
着手する時期の例(契約〜入居までの流れ)
- 内装・通信工事:2〜4カ月前
- 備品・什器手配:2〜3カ月前
- 引越し業者予約・社内アナウンス:1カ月以上前
- 法人登記・住所変更手続き・行政手続き:入居後すぐ
内見時にチェックすべき10のポイント
ではより具体的に内見をより良いものにするためにはどこを確認すべきなのでしょうか。 以下のチェックポイントを使えば、内見での見落としを防げます。
チェックポイント一覧
☑️ 天井高と開放感(2.4m以上が望ましい)
☑️ 空調方式と効き具合(個別空調の有無、ダクトの位置)
☑️ トイレの設備と清潔感(男女別か、共用か、個室の数は)
☑️ 共用部とエントランスの印象(来訪した人が見て不快な気分にならないか)
☑️ 採光と窓の位置(自然光の取り込み、太陽の方角)
☑️ 通信回線の対応状況(光回線、Wi-Fi工事の可否)
☑️ ビルの管理状態と清掃頻度(管理がきちんと行き届いているか)
☑️ ゴミ出しルールと搬出導線(24時間対応か、分別の厳しさ)
☑️ 近隣施設の充実度(ランチ環境、銀行、コンビニ、薬局など)
☑️ 新物件の退去時の原状回復条件(契約書や管理会社から確認)
実際によくある失敗事例
失敗例1:内見したものの細かいところを気にせずに契約してしまった
▶ 間取りが図面で見るよりも思ったよりも狭く、思ったようなレイアウトができない。空調や窓の位置について考えておらず昼間日が当たりオフィスが暑くなる。など様々な問題が発生する恐れがあるため、先ほどのチェックリストなども駆使して、内見はきちんとするべきです。
失敗例2:社員の通勤を考慮しなかった
▶ 立地やアクセスを考慮しなかった結果、エレベーターが混んでいて時間がとられる、近くにバス停がなく、雨の日でも歩かなければならないなど。駅地下直結かどうかやメインの交通手段が使えない場合にサブの交通手段があるかも確認しましょう。
失敗例3:スケジュールに余裕がなかった
▶ 工事が間に合わず二重家賃発生してしまう → 工程ごとの日数にバッファを持たせる。
失敗例4:現物件の原状回復費を見落としていた
▶ 退去後の請求で予算オーバー → 現オフィスの契約書を確認し、想定費用を見積もる。
まとめ:移転は「物件探し」だけじゃない。成功の鍵は準備力
オフィス移転は、働き方を変え、企業の未来を形作る大きなチャンスです。
「動きたいけど何から始めれば…」という段階でも、今日紹介したチェック項目やステップを元に整理していけば、確実に前進できます。
今のオフィスが本当に最適か? 5年後の事業を見据えた環境か?
そう考えるタイミングにこそ、正しい知識と信頼できるパートナーが必要です。
【オフィスナビ株式会社】では、全国の物件紹介から移転後のフォローまでトータルでサポートしています。