【保存版】オフィス内装工事マニュアル|費用や事例も紹介

この記事では、オフィス移転のタイミングで内装工事をすることを検討されている企業に向けて、オフィス内装のコンセプトの決め方や費用感、工事の流れや留意点について、実際の事例を交えてご紹介します。移転担当者の方は参考にしていただけたら幸いです。

オフィス内装コンセプトの決め方ーーヒントが見つかる事例集

オフィスの内装工事を検討している場合、まず最初に行いたいのが内装コンセプトの決定。でも、いきなり内装コンセプトを決めると言っても、どのように考えたらいいか分からないですよね。

この章では、いくつかの事例とともに、考え方のヒントをご紹介します。ぜひ自社のオフィス内装に活かせそうな事例を見つけてみてください。

企業のビジョンを取り入れた事例

ギフトにリンクしたデザイン オフィスとアートの心地よい関係
https://www.office-navi.jp/media/interview/202110/entry3378/

ーー誰かを思いやるキモチが循環するような社会にしたいという考えから「キモチが循環する社会へ」というタグラインに最近刷新しました。そのタグラインやビジョンをオフィスのデザインコンセプトにも取り入れています。ラッピングペーパーをエントランスに設置して社員や来客の方が自由に持ち帰れるようにしたり、執務室の壁にギフトを連想するペイントを施しました。またコーポレートカラーであるコーラルをオフィスの配色に取り入れています。
こちらは、企業のビジョンや扱っている商材をオフィスの内装デザインに取り入れた事例。

コーポレートカラーを取り入れた配色だけでなく、観葉植物の葉っぱの形ひとつ取っても会社のカルチャーや雰囲気にあわせて選ぶなどのこだわりは、企業ビジョンをオフィスに反映させたい場合の参考になります。

企業ブランディングを徹底したい場合には、この事例のように、オフィスを企業の顔と位置付けて内装のコンセプトを決める方法がおすすめ。

社員に企業ビジョンを浸透させる効果があることはもちろん、対外的に企業のカラーを打ち出していくための広報的な意義もあります。また、求職者の面接をオフィスで行うことで、採用の強化につながりますよ。

このように多くのポジティブな効果を得られる一方、それなりの費用的・時間的なコストが発生することは考慮しておきましょう。この考え方で内装コンセプトを決定する場合、全体的な印象はもちろん、細部までこだわる必要があります。また、自社の意図を汲み取って設計やデザインに起こしてくれるパートナーと出会うための内装会社探しもひと苦労。

物件探しに加えて内装会社との緻密なコミュニケーションが必要となると、1名の担当者のみでは対応しきれないことも。必要に応じて、数名で協力しながら進められるような体制を敷いておきたいところです。

働き方の課題から考えた事例

コロナ禍にマーケット拡大へのチャレンジ 機動力とくつろぎが同居するナツウェブの新オフィス
https://www.office-navi.jp/media/interview/202009/entry2065/

ーー物件を決定してレイアウトを考えているときに小上がりを作ろうという話になりました。社内に従業員がくつろげるスペースがないので以前からつくりたいとは思ってはいたのですが、女性の社員も増えてきたのでこの移転の機会につくろうと決めました。
こちらは、『従業員がくつろげるスペースがない』という課題感を、オフィス移転のタイミングで内装によって解決した事例。小上がりを設けることで、執務スペースと休憩スペースのふたつの空間が緩やかに分かれて、リラックスした雰囲気の中でランチ休憩を取ることができるようになったそう。

ほかにも、『社員間のコミュニケーションが希薄だ』『集中して作業をできる環境がない』など、働き方の課題はさまざま。社員が現状の働き方に課題を感じている場合には、その課題を解決する方法を模索するところから内装コンセプトを考えてみるという方法があります。

この考え方では、課題に応じて全体よりも部分的な機能に注目するため、予算にあわせて希望の内装を施工できることが特長。ご紹介した事例でも、天井までの壁を建てることなく空間を分けているため、部分的にDIYしながら比較的リーズナブルに施工することが可能でした。

業務内容から考えた事例

食で喜びを届けるNadiaのキッチン重視のオフィス探し
https://www.office-navi.jp/media/interview/202107/entry2970/

ーー弊社は、レシピサイト運営以外に、イベント開催や料理関連の撮影も多数ありますので、そのような業務に対応し得るキッチンスタジオをオフィスに併設したいというのが移転の主な理由でした。日本橋の前オフィスのキッチンも素晴らしかったのですが、今回のオフィス移転では、①業務用の対応ができるキッチン、②自然光が入る、③おしゃれな空間で社員や来る人のモチベーションがあがる、という条件で検討をしていました。
こちらは、業務内容からオフィスのメインテーマを決定した事例。『キッチンスタジオをオフィスに併設したい』という想いから、キッチンを中心にしつつ、社員や来客のモチベーションが上がる明るいオフィスが生まれました。

同様に、『ショールームを兼ねたオフィスにしたい』『商品の撮影をするためのスペースが必要』など、内装が業務内容に制約される場合があります。この場合は物件探しや契約の面で苦戦しやすいため、やりたいことをたくさん詰め込もうとするのは危険。上記の事例のように、優先順位を付けて内装を決めましょう。

 

オフィス内装の費用感

オフィスの内装工事にかかる費用は、一般的な相場で1坪あたり10〜30万円程度。ただし、入居するビルのグレードや専有面積、会議室の数やデザインなどによって大きく差が出ることも。

ここでは、オフィスナビの東京オフィスと大阪オフィスを事例に挙げて、おおよその費用感をご紹介します。

東京都千代田区 / 約101坪 / 会議室2つと休憩スペースを設けた場合

総施工費:約1,200万円(内装約650万円、家具約550万円)
※通信工事等除く。物件の状況や要望によって金額は変動します。

▲会議室

▲休憩スペース

大阪府大阪市北区 / 約74坪 / 会議室3つと休憩スペースを設けた場合

総施工費:約900万円(内装約600万円、家具約300万円)
※通信工事等除く。物件の状況や要望によって金額は変動します。

▲執務スペース

▲会議室
では、オフィス内装にかかる費用を上手に抑えるにはどうしたらいいのでしょうか?

費用をかける部分とそうでない部分を分ける

オフィスの内装を考える上では、予算とやりたいことのバランスが重要。

たとえば、対外的なイメージを重視したい場合には、来客のあるスペース(エントランスや会議室など)の素材やデザインにこだわり、従業員のみが使用するエリアは予算を抑えるなどの工夫ができます。

このあたりはパートナーとなる仲介会社や内装会社のプロに相談し、予算内で理想のオフィスを創ることができる物件と内装デザインの落とし所を探りましょう。

セットアップオフィスへの入居を検討する

セットアップオフィスとは、あらかじめ内装が施工されている賃貸オフィスのこと。

「内装コンセプトの決め方」でチェックした「働き方の課題から考えた事例」のように、必ずしもオフィスで “自社らしさ” を全面に押し出す必要性がない場合には、この選択肢を視野に入れてみてもいいかもしれません。
セットアップオフィスという選択肢で、事業計画にあわせて賢く移転した事例をひとつご紹介します。

成長ベンチャー「ビズリンク」が選んだ事業計画にフィットしたセットアップオフィス
https://www.office-navi.jp/media/interview/202105/entry2926/

今のオフィスの決め手となったのは、オーナー様が弊社の事業計画に合った条件を提示してくださった点です。内見後、申込の上ご相談したところ、1年目と2年目以降の賃料設定を変えた段階賃料を提案してくださり、約1年後には社員数も売上も増え、提示賃料でも全く問題なく払える事業計画でしたので、弊社にとっては断る理由のないありがたい条件で入居できる運びとなりました。
セットアップオフィスについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

 

オフィス内装工事の流れと留意点


移転する物件の決定後、オフィスの内装工事は基本的には下記のような流れで進みます。パートナーとなる仲介会社や内装会社と相談しながら、必ず事前にスケジュールを作成しましょう。

① 内装コンセプトの決定:「内装コンセプトの決め方」を参照

② 内装会社の選定
内装の要望と予算のバランスを考慮した上で、内装会社を選定します。設計デザイン〜工事までを一括で請け負ってくれる会社もあるので、仲介会社に要望を伝えて、紹介を受けることもひとつの選択肢。

デザインにこだわりたい場合は、設計・デザインを実績のある専門会社に依頼し、工事は別の会社に発注するというパターンもあります。

チェックポイント・留意点
✔️ 得意分野や設計・施工事例を確認する

③ 内装デザイン・レイアウト設計
②で選定した内装会社から、内装コンセプトや契約予定の物件を踏まえた実際のデザインとレイアウトの提案を受けます。実際にオフィスを利用する社員の要望も吸い上げながら、納得できるように打ち合わせを重ねましょう。

チェックポイント・留意点
✔️ 各部署の業務内容に合わせたレイアウトにする
✔️ 並行して、旧オフィスの原状回復工事の手配をする

④ 新オフィスの引き渡し(契約開始)・インフラ工事・内装施工
新オフィスの賃貸借契約が開始し、いよいよ内装施工が始まります。言い換えれば、賃貸借契約が開始するまでは内装工事はできないため、新オフィスでの業務開始に間に合うようなスケジュールで契約を進めましょう。

チェックポイント・留意点
✔️ 入居するビルのルールを管理会社に確認する
✔️ 並行して、旧オフィスの明渡しの準備を進める

⑤ オフィス家具やOA機器の選定・発注・廃棄
内装施工が開始すれば、ようやくひと段落。順番が前後しても構いませんが、少し落ち着いているこの期間に、新オフィスで使用するオフィス家具の選定や発注を進めましょう。新規で購入するもの/リースするもの/廃棄するものをリストアップし、新規で発注するものについては相見積もりを依頼すると安心です。

チェックポイント・留意点
✔️ レイアウトに対して適切な形状・サイズの家具を選ぶ
✔️ 廃棄方法や費用を確認する(⑧の引越し業者に依頼できる場合も)

⑥ 引越し業者の選定・打ち合わせ
引越し業者を選定し、打ち合わせを進めます。内装会社によっては提携している引越し業者があり、リーズナブルに依頼できる場合も。住居の引越しと同様、繁忙期には高額になりやすいので、少しでもコストを抑えたいときには避けて移転計画を立てるといいですよ。

✔️ 複数の引越し業者に相見積もりを取る

⑦ 新オフィス完成
いよいよオフィスが完成! 新オフィスで業務を開始するのが楽しみですね。
広さや内装工事の内容によって変わるものの、一連のプロセスには3〜6ヶ月程度の期間を要します。このように、内装工事を伴うオフィス移転は意外と大変なプロジェクト。オフィスナビでは物件探しから内装施工までをワンストップで対応できるので、オフィス移転のタイミングで内装工事をお考えの場合は、ぜひ一度お問い合わせくださいね。