コロナ禍で注目! 「健康経営」って?

コロナ禍により、在宅勤務(リモートワーク)を実施する企業が増えました。慣れない在宅勤務が、運動不足や睡眠不足、長時間労働の増加に伴う従業員の身体的なストレスや、社内コミュニケーションの減少による精神的なストレスをもたらすことも多くなっています。

非対面で業務をすることが多くなった企業はもちろん、従業員の健康を維持するのは、出社していても難しいこと。でも、社員の健康管理を戦略的に考えることが、企業に大きなメリットをもたらすってご存知でしたか?

今回の記事では、「健康経営」のメリットや、効果的な手法について解説します。

「健康経営」とは

 

「健康経営」とは、従業員の健康管理を経営課題とし、戦略的に取り組む経営手法のこと。

「たかが健康管理、従業員一人ひとりに任せておけばいい」とあなどることなかれ! 健康経営に対して企業が真剣に取り組むことは、想像以上のポジティブな効果があるのです。

 

健康経営に投資すると3倍のリターンがある!?

 

J&Jグループが世界250社に健康教育プログラムを提供し、その投資にどれだけのリターンがあったかを調査した結果によると、健康経営に対する投資を1ドルとしたとき3ドルのリターンがあったとされています。

具体的には……

① 業績アップ

従業員が健康を維持した状態であれば、そうでない場合と比較して、パフォーマンスやモチベーションが上がります。従業員の健康状態は、企業の健康状態に直結すると言っても過言ではないのです。

② リスク回避

健康経営は、ポジティブな結果をもたらすだけでなく、ネガティブな影響を回避することにも役立ちます。たとえば、従業員の離職率や欠勤率の低下に直結するほかにも、入院や死亡による人材確保の時間的・金銭的コストの抑止につながります。

③ 企業イメージの向上

健康経営に対して積極的に取り組み、公的機関から認定を受けることによって、企業イメージが向上するという効果も見過ごせません。日本では、健康経営に取り組む企業に対して、下記のような制度があります。

  • 健康経営銘柄

経済産業省と東京証券取引所が共同で、健康経営に取り組んでいる上場企業を選定・公表する取り組み。

  • 健康経営優良法人認定制度

健康経営に対する取り組みを認定する制度のひとつ。

経済産業省が定める要件を満たす必要があり、大規模法人部門における上位500法人を「ホワイト500」、中小規模法人部門における上位500法人を「ブライト500」として認定しています。

このような認定を受けることにより、「従業員の健康を考えて実践する企業」として評価されやすくなります。たとえば、求職者へのアピールにつながり人材を採用しやすくなったり、上場企業であれば、投資家から評価されることで株価の上昇が期待できることも

「健康管理は従業員の仕事」ではなく、企業が取り組むべき課題のひとつなのです。

 

あなたの会社は? 健康経営に取り組むべき企業をチェック!

① ストレスチェックの結果が悪い企業

 2015年12月から、従業員数が50名以上の企業ではストレスチェック制度が義務化されました。

これは年1回以上、定期的に行わなければならないもので、労働者自身のストレスへの気付きを促進することと、ストレスの原因となる職場環境の改善につなげることを制度の主な目的としています。

ストレスチェックの結果、高レベルのストレスを抱えている従業員が多いとわかった企業は、従業員のメンタルヘルスの悪化を防ぐためにも健康経営が必要です。

② 長時間労働や休日出勤が常態化している企業

長時間労働や休日出勤は、精神的・肉体的なストレスをもたらします。また、体調が悪いのにもかかわらず時間がないために通院ができず、病気が慢性化しているおそれも。

このような企業では、長時間労働・休日出勤に対する抜本的な見直しとともに、健康経営により、健康な状態を持続できるような取り組みがなされるべきです。

③ 中高年の従業員が多い企業

若年層の主な死因は自殺や不慮の事故が大半を占めている一方、中高年の主な死因は、がんや心疾患、脳血管疾患などの疾病によるものです。

特に30代後半を過ぎるとこれらの原因で死亡する人が増加するため、この年代以降の従業員を多く抱える企業では、健康経営を視野に入れることで、従業員の突然の入院や死亡を未然に防ぐことができます。

カンタンにできる! 健康経営の導入事例

産業医の選任

健康経営の第一歩は、医学に関する専門的な知識を持った産業医を選任すること。

「産業医」とは、​​労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事ができるように、専門的な立場から指導・助言を行う医師のことで、厚生労働省令で定める要件を備えた人を指します。

専門の産業医がいることによって、従業員が気軽に健康について気になることを相談できるようになるほかにも、前述したストレスチェックで高ストレスに該当した従業員への面談を行うことができます。

健康管理システムの導入

「健康経営をしたいが、何から始めたらいいかよくわからない」という企業で効果的なのが、健康管理システムの導入。

健康診断の予約や結果の管理など、煩雑な業務をオンラインで代行してくれるサービスもあるので、在宅勤務の従業員が多い企業では特に検討の価値がありそうです。

福利厚生の充実

逆に出社がメインの企業であれば、「食」の面から従業員の健康を考えることもできます。こちらの記事では、オフィスに導入できる人気の福利厚生サービスをまとめているので、参考にしてみてくださいね。

 

オフィス環境の整備

産業医の業務として「労働環境の確認」があるほど、従業員の健康管理を考える上で、働く場は重要な要素です。

オフィスをただの仕事場ではなく、「従業員の精神的な健康を維持する場」と捉え直すことも、健康経営につながります。無機質な執務スペースだけでなく、従業員のパフォーマンスやモチベーションを上げるようなオフィスづくりをするのも、健康経営の手法のひとつです。

たとえば……

(1)ストレス解消やリフレッシュのために

パフォーマンスを発揮するには、働く時間だけでなく、休憩する時間も重要です。

予算上の問題で、執務スペースの隅にテーブルを置いて休憩スペースを兼ねているという企業も多いかもしれません。しかし、オフィス内に快適なリフレッシュスペースを設けることで、よりメリハリのついた働き方を目指すことができます。

▲オフィスナビ東京本社のリフレッシュスペース

また、30分程度の短い仮眠は「パワーナップ」とも呼ばれ、ビジネスパーソンのパフォーマンス向上に効果があると言われています。GoogleやNASAなど海外企業がオフィス内に仮眠室を設置しているのは有名な話ですよね。従業員が気兼ねすることなく仮眠できるスペースの導入も、従業員の健康維持に効果的です。

上記のようなリフレッシュスペースとあわせて、アートやグリーンのレンタルサービスを導入して、視覚から癒しを取り入れるのもいいでしょう。クリエイティブな雰囲気づくりをすることで、創造性向上にも期待できるかもしれません。

(2)身体の負担軽減や運動不足の解消のために

長時間座って仕事をするような業種では、肩こりや腰痛など身体的な不調を抱えている従業員も多いもの。

特に毎日使うオフィス家具は、健康状態に直結します。家具はリーズナブルさで選定することもあるかと思いますが、身体の痛みを訴える従業員が多い場合は、上質なオフィスチェアの導入を検討する余地がありそうです。

また、高さを変えられる昇降式デスクやスタンディングデスクを導入すると、長時間座りっぱなしの状況を避けられます。軽い運動やトレーニングができるスペースを設けて、積極的に身体を動かすことを促す企業もありますよ。

『でも、オフィスの内装を一新したり、新しい家具を購入したりするのは費用がかかるし……』と思った方もいらっしゃると思います。「居抜きオフィスナビ」では、そんなオフィスを多数ご紹介しています。

ぜひ参考にして、健康経営の取り組みのひとつに取り入れてみてくださいね!