もしも明日、災害が起こったら…… あなたの会社は、100%の対応ができますか?
災害による被害を最小化するために、内閣府では政策のひとつとして「企業防災(オフィス防災)」を推進しています。オフィス防災の目的は2つ。災害による被害を最小化する防災、そして企業回復の維持と早期回復を目指す事業継続(BC)です。
今回は、企業防災(オフィス防災)と、災害に強いオフィスビルの選び方をご紹介します。
オフィスで起こりうる災害とは?
地震
日本はいわゆる “地震大国” 。世界で発生するマグニチュード6以上の約2割が、日本で発生しています。直接的な被害を受けない地域でも、余震の恐れがある場合や、公共交通機関の機能がストップしてしまった際には、オフィスで帰宅困難者を支援する必要があります。
そのほかの自然災害
発生確率は低いものの、「水害」や「落雷」が発生した場合の被害は甚大となります。地震と同じく、ゲリラ豪雨や大雨・洪水が頻発している日本では、予期しない事態が起こることも……「まさか起こらないだろう」という考えで対策を怠るのはNGです。
火災
火を使用する機会の少ないオフィスは、火災とは無縁に思えるかもしれません。しかし、使用方法を誤ったシュレッダーやコンセント、プラグ、コード類からの発火を原因とする火災が発生する場合があります。
オフィスでできる地震対策・防災
「天災」はいつ起こるか予測不可能です。しかし、被害を最小限に留め、社員の不安を軽減するための「防災」はできるはずです。社員が安全に帰宅できるまでオフィスで待機させなければいけない事態や、災害発生後の事業継続を考慮すると、必要な対策が見えてきます。
備蓄品の準備・管理
飲料水・食料・簡易トイレ・毛布は、最低でも社員1人あたり3日分の用意が必要と言われています。賞味期限切れによる買い足しや人事異動による引き継ぎなどであやふやにならないよう、備蓄品の内容や収納場所はきちんと管理しておきましょう。
最近では、管理コストのかからない個人用の備蓄セット配布を提供するサービスもあります。これから備蓄品を用意する場合や、入れ替え・見直しを検討する場合は、一考の価値がありそうです。
パソコン(PC)やオフィス家具の転倒防止
デスクトップPCやモニターを使用している場合、転倒の対策は不可欠です。耐震マットやストッパーは安価で購入できるため、災害発生後のデータ復旧や再購入の必要を考えた場合、費用対効果の高い対策と言えます。
また、東京消防庁が実施したアンケートによると、東日本大震災後、都内の中高層建物に入居する20%のオフィスで家具類の転倒・落下・移動が発生しました。これらの発生を防ぐには、床・壁・天井と家具をボルトで固定する、左右の家具と連結して安定化を図るなどの対策が有効です。
出典:東京消防庁「オフィス家具類の転倒・落下・移動防止対策」
安否確認方法・緊急時のコミュニケーションの整備
社員の安否をすぐに確認し、企業の方針を伝達できるよう、災害発生時の連絡のとり方を決めておきましょう。普段の業務で使用しているコミュニケーションツールを活用し、混乱を最小限に抑えることが重要です。
リモートワーク(在宅勤務)や時差出勤導入時のオフィス防災
新型コロナウイルス感染症の流行に伴って、オフィス防災には変化がありました。
リモートワークや時差出勤を推奨している企業では、災害発生時、社員がどこにいるか分かりません。直接的に社員を守ることは難しいため、外部専門家による研修や訓練、啓発活動を実施するなど、普段から防災教育の徹底や防災マインドの醸成に努めましょう。
また、完全出社勤務の会社であっても、出勤前や退勤後、休日に災害が起こった場合の対応策については検討の上で周知しておくと安心ですね。
災害に強いオフィスビルの選び方
新耐震基準に適合しているか
新耐震基準とは、1981年(昭和56年)6月1日に施行された耐震基準であり、震度6強から7程度の地震でも建物が倒壊しないとされる構造基準です。ちなみに震度6強から7程度とは、東日本大震災で大きな被害が及んだ宮城県から岩手県で観測された震度です。
ただし、建築工事は建築確認を受けた後に着工するため、施行日以降だからといってすべてのビルが新耐震基準を満たしているわけではありません。また、法改正前の旧耐震基準の時代に建てられたビルでも、耐震補強工事を実施することで、現行法に適合したものもあります。
物件を探す上では担当のエージェントと相談し、竣工年だけにこだわりすぎないようにしましょう。
ハザードマップに指定されていないか
ハザードマップとは、自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図化したものです。各地域のハザードマップは、国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」で検索できます。オフィスの所在地がハザードマップに指定されていないか確認するとともに、必要があれば移転のときのチェック項目に加えましょう。
事業継続計画(BCP)や防災対策完備のビル
近年竣工した大規模オフィスビルの中には、ビル全体で、事業継続・復旧を目指すための設備やシステム、関連会社とのネットワークを敷いているものもあります。また、近年竣工の大型ビルでは、停電時に備えて、非常用発電機を設置しているビルや二系統受電対応のビルもございます。もちろんオフィスナビでもご紹介できるので、お気軽にご相談くださいね。
特集ページもあるので、ぜひ覗いてみてください。