定期借家契約と普通借家契約の違いは?オフィスで定借が設定される理由などを解説!

オフィスを探している時に、募集資料に「普通借家契約」「定期借家契約」という表記を見たことはありますか?これらがどのような契約なのか、どんなところに注意すればよいかをこの記事で解説していきます。

目次

物件の契約形態には、普通借家契約定期借家契約の2種類があります。下記でそれぞれ詳しくご説明します。

普通借家契約とは

契約期間毎に更新が可能な契約のことをいいます。一般的なオフィスはほとんどはこの借り方です。

更新されることが前提ですが、借主からは解約予告期間を守れば中途解約をすることが出来ます。ただ、貸主からは借主保護の観点から正当な事由がないと解約や更新拒絶はできないです。

地域特性や使用用途、貸主の要望にもよりますが、新賃料1ヵ月分の更新料がかかる物件もあれば更新料なしの物件もあります。オフィスの契約期間に関しては2年契約が多く店舗の場合は3年以上の契約が多い傾向があります。

 

定期借家契約とは

定められた契約期間が満了すると同時に契約が終了し、借主は物件を明け渡さなくてはならない契約形態です。定借(ていしゃく)と呼ばれることもあります。

契約更新という概念はないですが、貸主・借主ともに入居延長の意向があり、契約条件が合意できれば、新たな賃貸借契約を締結する(再契約する)ことが出来ます。その場合、契約条件が変更になる場合や再契約料が発生するケースもあります。

定期借家契約には重要な規則がいくつかあるので、合わせて紹介します。

定期借家契約は書面で締結しなければならない

貸主は定期借家契約である旨を事前に説明しなければならない

貸主は契約満了日の1年前から6ヵ月前までの期間に契約が終了する旨を通知する必要がある

これら義務を怠ると定期借家契約の効果が正しく発生しなくなり、明け渡しを強制することが難しくなります。

 

定期借家契約が設定されるケース

ここでは、オフィスを借りる際に具体的にどのようなケースで定期借家契約が設定されるか見てみましょう。

①建て替え予定や再開発の予定がある場合
近い将来、ビル建て替えや再開発の予定が決まっている場合は、借主に退去してもらう必要があるため、定期借家契約で募集をします。

②貸主側で将来的に使用する計画がある
将来的に子会社の統合や分室等を検討している場合に期間が決められる時があります。

③事前のトラブル回避を想定している
過去に滞納や退去時期でトラブルになったことがある貸主は、次回以降に慎重になる場合があるため、事前にトラブルにならないように定期借家契約にする場合があります。

④貸主が大手ビルオーナーの場合
景気や周辺相場にあわせて契約条件や入居テナントを見直せるように所有物件すべてを定期借家契約で統一しているビルオーナーがいます。定期借家契約で定められた期間内は途中解約ができません。万が一借主の都合で解約・契約解除となった場合は、契約期間満了までの賃料・共益費相当額の支払いが発生するのが一般的です。

 

定期借家契約のメリット・デメリット

借主

メリット
→期間内の賃料変動がないため先々の見通しが立てやすいことと、建て替え等による期間限定募集時の賃料の割安さが魅力になります。加えて、建て替え予定があるビルでは退去時の原状回復義務が免除になるケースもあります。

デメリット
→入居を継続したい場合でも貸主との条件等が折り合わなければ、退去しなければなりません。

 

貸主

メリット
→借主の明け渡しがスムーズに進むため、トラブルで悩むことが少なくなります。

デメリット
→定期借家契約を嫌がる借主もいるため、入居を検討する借主が少ないことが考えられます。そのため普通借家契約より条件を緩和しないと成約に至りにくいケースがあります。

 

まとめ

定期借家契約で募集されている理由はさまざまあるため、同条件で再契約できるかは確約できませんが、再契約できるケースもあるということです。

契約期間が決まっていてもすぐに移転する計画がある場合や数年間限定でも、賃料が相場より安い物件に入居したい企業は、定期借家契約のビルも移転先の選択肢として魅力があると思います。

ただし、一定期間は解約できないなどの縛りや途中退去の違約金が特約で付加される場合があるため、必ず契約内容をしっかりと把握し、定期借家契約である旨を了承した上で入居するようにしましょう。