再生可能エネルギーと社員の学びがめぐる新拠点 自律型組織を支えるオフィスづくり

Vol.54 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ

東京都港区虎ノ門二丁目4番7号 T-LITE 15階

https://igrid.co.jp/

再生可能エネルギーをより身近な選択肢として拡げているアイ・グリッド・ソリューションズ。虎ノ門に構えた新オフィスには、事業の姿勢とも重なる「人や知恵がめぐる場」への想いが込められています。社員が自然に集まり、学び合い、前向きに挑戦できる場所を目指した新オフィスについて、移転の背景やプロジェクトに込めた想いをHR・コミュニケーション部 部長の大﨑様に伺いました。

HR・コミュニケーション部 部長 大﨑 亜紀様

グリーンエネルギーがめぐる社会へ

――御社の主力事業と特徴的な取り組みについてお聞かせください。

当社はビジョンとして「グリーンエネルギーがめぐる世界の実現」を掲げ、再生可能エネルギー(以下、再エネ)をつくる・届ける・活かす仕組みを一体で提供しています。GX(グリーントランスフォーメーション)領域において、企業や地域が再エネをより身近に活用できる社会の実現を目指しています。

主力事業の一つが、施設の屋根に太陽光発電設備を設置する「オンサイトPPA」です。お客さまは初期投資を抑えながら再エネを活用でき、発電した電力を施設内で使うことで、環境負荷の低減や電力コストの安定化につなげることができます。地域と連携しながら、グリーンエネルギーを日常のインフラとして広げていくことを目指しています。

また、分散型のエネルギー資源を統合的に活用するプラットフォームの開発・運営に加え、蓄電池やEV関連サービス、電力供給(循環型電力)事業なども展開しています。太陽光発電設備を設置して終わりではなく、発電した電力を地域や暮らしの中でどう活かし、循環させていくかまでを見据えている点が当社の特徴です。発電から供給、活用までを一貫して支えることで、再エネの最大化ひいてはGXの推進を目指しています。

当社は現在、全国47都道府県に発電所開発の実績があります。その中でも一貫して大切にしているのが、「自然を傷つけない」という考え方です。新たに山林を切り開くのではなく、企業の屋根や既存施設など、すでにある場所を活かして再エネを広げていく。この姿勢こそが、当社ならではの強みだと考えています。

光の三原色がデザインされたオリジナルプリントのカーテン

自律型組織への環境づくり

――移転に至った背景を教えてください。

当社は“今の世の中にまだないものを新しく作る”ことを目指して事業を展開しています。そのため、一人ひとりが自ら考え、起点となり、周囲を巻き込みながら変革を起こしていく組織でありたいと考えています。私たちはそれを「自律型組織」と表現しており、今回の移転では、その考え方や事業コンセプトに沿った当社らしさを感じるオフィス環境に整えたいという想いがありました。

また、ここ数年で組織規模が拡大する中で、従来のオフィスでは手狭になっていたことも移転のきっかけの一つです。組織の成長と今後のビジョンを見据え、移転を決断しました。

――移転前のオフィスに対し、どのような課題感がありましたか。

働き方という観点では、現在も出社と在宅勤務を組み合わせたハイブリッドワークを採用しており、そのスタイルは移転に伴って大きく変えたものではありません。

一方で、以前のオフィスは築40年以上の建物で、天井の低さや空間の圧迫感が課題でした。スペースにも余裕がなかったため、社員同士が自然にコミュニケーションを取りやすい環境とは言い難い状況でした。
働き方そのものに大きな課題があったわけではありませんが、より活発なコミュニケーションや学び合いが生まれる環境を整える必要性を感じていました。

――今回の移転にあたり、特にオフィス作りで重視された条件を教えてください。

まず重視したのは、オフィスで働く社員が快適と感じられることで、一人ひとりがゆとりを持って働けるスペースを確保したいと考えました。以前のオフィスに感じていた課題感も踏まえ、新オフィスではより快適な環境で仕事ができることを意識しました。

加えて、当社が目指す「自律型組織」に向けた環境づくりも重要なテーマでした。創業当初から「学び」を大切な価値観としており、誰かの経験や知見が別の誰かの挑戦を後押しし、その学びがまた組織に還元されていく循環を大切にしています。
その学びが自然に循環するようなオフィスにしたいと考えていました。

――オフィスを「T-LITE(トライト)/虎ノ門」に構えられた決め手を教えてください。

物件選定の際には、30件ほどの候補を比較検討しました。そのうち半数以上は実際に現地へ足を運び、空間を肌で感じながら選定を進めました。

検討する中で意識していたのは、働く環境の快適さを念頭に置いた、「社員がより通いやすく、通いたくなるオフィスとは何か」という視点です。駅直結を希望する声も多く寄せられていましたし、一人あたりのスペースや天井高、利便性、明るさといった執務環境も重視していました。

当社が目指す「自律型組織」に向けた環境作りをするうえで、十分なスペースの確保に加え 、コミュニケーションが自然に 窮屈感なく生まれる環境をイメージし、天井の高さや採光、開放感といった要素も、オフィス選定における重要な判断基準に取り入れました。

そうした条件を総合的に比較した結果、最も理想に近かったのが本拠点でした。利便性や快適性といった機能面に加え、明るく開放的な空間に入ったときに、ここなら社員が前向きな気持ちで集まり、自然に会話や学びが生まれるのではないかと感じられたことも大きな決め手でした。

緩やかにゾーニングされた空間。

社員全員の居場所となるオフィス

――自分たちでオフィスを育てる「新オフィス盛り上げプロジェクト」について、発足された経緯を教えてください。

当社にはオフィス移転をゼロから経験したメンバーがほとんどいませんでした。私自身も事業部での経験が長く、HRやコミュニケーション領域に携わり始めて1年ほどのタイミングで移転プロジェクトの責任者を務めることになりました。当初は何から始めればよいのか、どのような基準で判断すればよいのかも分からず、まさに手探りの状態でした。

その中で、責任者として一番大切にしたかったのが、このオフィスを社員にとって自分ごととして捉えられる空間にすることです。オフィスは社員が1日の大半を過ごす場所だからこそ、“会社から与えられたオフィス”ではなく、社員一人ひとりが考え、関わり、使いながら育てていく場所にしたいと考えていました。

ただ、移転プロジェクトでは決めるべきことが非常に多く、スケジュールもタイトであったため、全社員の意見を都度反映しながら進めることは現実的ではありませんでした。そのため、各部署から有志メンバーを募る形で「新オフィス盛り上げプロジェクト」を新たに立ち上げ、移転プロジェクトの盛り上げ役として参画してもらいました。
新オフィスを「会社のオフィス」ではなく「自分たちのオフィス」として捉え、移転後も主体的に関わってもらえる環境づくりを目指しました。

――実際にプロジェクトを進める中で、特に大変だった点や印象に残っているエピソードを教えてください。

全社横断のプロジェクトという形で進められたことで、さまざまな立場の視点を取り入れながら検討できたのは大きな実りでした。私一人では気付けなかったような意見や発想を数多く反映できたと思っています。
私が最後までこだわったのは、「このオフィスは私たち社員全員のもの」という意識づくりです。意識醸成に向け、「新オフィスツアー」や「移転イベント」を実施しました。

オフィスの移転日の前に3〜5回ほど社員に向けた「新オフィスツアー」の機会を設け、見学ツアーを実施しました。私自身がツアーガイドのように、オフィスが出来上がっていく様子を案内しながら、各エリアのコンセプトや設計を説明して回りました。
その結果、移転当日も大きな混乱はなく、社員は迷うことなく新オフィスに馴染み、スムーズに荷解きや業務準備を進めることができました。

また移転当日は、業務よりもまず新しいオフィスや周辺環境を知ってもらうことを優先し、オフィス移転のイベントを開催しました。単に新しい場所へ移るのではなく、社員同士が空間を体験し、会話しながら、新オフィスを自分たちの場所として受け止める時間にしたいと考えたためです。午前中は荷解きや部署ごとの整理を行い、その後は新オフィス盛り上げプロジェクトのメンバーが中心となり、オフィス内を巡る企画、昼食時には虎ノ門エリアを散策するシャッフルランチ、夕方からはオフィス全体を活用した交流の場を設けた全社イベントとなりました。

私たちは既存の価値観にとらわれず、新しい価値を生み出していく事業を展開しています。だからこそ、オフィスについても社員一人ひとりが自由な発想で関わっていけるようにしたいと考えていました。
「このオフィスはみんなが使うものであり、みんなで育てていきましょう」というメッセージと共に、移転後も実際に使いながら、より気持ちよく働ける環境を全社で育てていける意識を持ってもらうきっかけになればという思いを込めて、プロジェクトやイベントを実施しました。

エネルギーと学びがめぐる場所

――今回のオフィスに込めた「ヒト・コト・モノ循環」のコンセプトについて教えてください。

このコンセプトの根底にあるのが、先にも述べた通り、当社が創業当初から大切にしてきた「学び」です。
人から学び、それを仕事や経験に活かし、知識やノウハウとして蓄積する。そして、その蓄積されたものが再び人へ還元されていく。こうした学びの循環は、再生可能エネルギーを社会に循環させていく当社の事業姿勢とも重なります。人の知恵や経験がめぐることで新しい価値が生まれるオフィスにしたいという想いから、「ヒト・コト・モノ循環」というコンセプトを掲げました。

例えば、自分の経験を隣の人に共有することで、話した本人も理解が深まりますし、聞いた側にも新たな学びが生まれます。その内容を本で調べたり実践したりすることで、さらに知識が定着していきます。また、人同士の会話を偶然耳にすることで新たな気付きが生まれることもあります。そうした学びのサイクルが、オフィスの至るところで回り続ける状態を目指しました。

レイアウトやABW(Activity Based Working)の考え方にも、このコンセプトを反映しています。その日の業務内容に応じて最適な場所を選べる環境を整え、ゾーンごとに雰囲気や家具、椅子などを変えることで、多様な働き方に対応しています。

毎日同じ席に座るのではなく、さまざまな場所で仕事をすることで自然と接点が増え、会話や学びも生まれる。そうした日常のコミュニケーションを通じて、ヒト・コト・モノの循環が自然に生まれる空間を目指しました。

――レイアウトやゾーニングを決めていくにあたって、社内の様々な人が関わっていく中で、寄せられた声などはありましたか。

当社ではWebでの会議や商談を行う社員も多く、モニター付きの席を増やしてほしいという声がよく上がっていたので、できるだけ叶えられるレイアウトになるよう意識しました。
また、社員の声から、web会議や電話など、声を出して作業したい人と、静かに仕事に集中したい人の両方に配慮できるオフィスにしたいと考えていました。ABWのコンセプトを意識し、集中作業向けのゾーンを設けるとともに、個室型のフォンブースも6台設置しました。

個人で使える集中ゾーン

――事業内容やビジョンを、デザインやゾーニングにどのように反映されたのでしょうか。

ゾーニングの名称は、当社のビジョンである「R.E.A.L.New Energy」の中の頭文字をもとに設定しています。この名称は、先ほどお話しした新オフィス盛り上げプロジェクトのメンバーを中心に、各部署から意見を募りながら決定しました。

まず「Relationゾーン」では、エントランスに位置するゾーンです。社内外の人が自然に交わり、社員とお客さまをはじめ、さまざまな人のエネルギーが交わる場になればという想いを込めています。
このエリアは私たちが「ラウンジ」と呼んでいる空間です。お客さまが最初に訪れる場所だからこそ、大きな窓から差し込む自然光を活かし、開放感のある空間づくりを意識しました。光も一つのエネルギーだと捉え、時間帯によって表情を変える自然光を取り入れることで、心地よさや温かさを感じられる空間を目指しています。
また、香りの演出も取り入れ、社内外を問わず、この空間を訪れるすべての方に心地よく過ごしていただけるよう工夫しています。

zone R リレーションのゾーン

続いて「Energyゾーン」は、窓際を中心とした空間です。一番日あたりが良いサンルームエリアは、図書コーナーを設置し、自由に本を手に取ったり休憩したりできる場所になっています。食事や休息を通じてエネルギーを補給し、新たな活力を生み出す場として位置付けています。

zone E エネルギーのゾーン

「Activeゾーン」は、執務スペースの中心に配置した最も広いエリアで、長時間の業務にも適した環境を整えています。社員同士の会話や打ち合わせ、Web会議なども行えるエリアで、日常的なコミュニケーションが活発に生まれることを想定しています。

zone A アクティブワークのゾーン

最後の「Libraryゾーン」では、一人で集中して業務に取り組みたいときのためのエリアとして、会話や電話、会議は原則禁止としています。静かに思考を深められる環境を整えています。

zone L ライブラリーのゾーン

社員にとってのマザーシップに

――御社ではオフィスをどのような場所として位置付けていますか。

一言で表現するなら、「社員が戻ってくる場所」と位置付けています。
当社は出社と在宅勤務を組み合わせたハイブリッドワークを採用しているため、社員は日々さまざまな場所で働いています。取引先へ訪問する機会の多い職種もありますし、全員が常にオフィスにいるわけではありません。

そうした中でオフィスは、社員一人ひとりが安心して戻ってこられる場所であり、いわばアイ・グリッドの「マザーシップ」のような存在だと思っています。外で得た経験や知見を持ち帰り、仲間と共有し、また次の挑戦へ向かっていくための拠点です。だからこそ、帰ってきたときにほっとできる空間であってほしいですし、光や温かさを感じられる場所であってほしいと思っています。

また社員にとって「行かなければならない場所」ではなく、自発的に「行きたくなる場所」となるように、オフィスづくりに取り組んでいます。
少し気分転換をしたいときや、誰かに相談したいとき、「オフィスへ行こう」と自然に思える場所。困ったときに誰かがいて、話をすることで前に進めたり、何かが解決したりする場所。オフィスが社員にとってそんな存在になれれば素敵だなと思います。

――移転から1年ほど経過する中で、現在のオフィスづくりや取り組みとして意識されていることはありますか。

移転当初から「オフィスはみんなで育てていくもの」という考え方を伝えてきましたが、その意識は少しずつ社内にも浸透してきていると感じています。使う人自身がより良い状態を考え、気づいたことを声に出し、行動に移していく。その積み重ねが、オフィスを単なる働く場所ではなく、文化を育てる場にしているのだと思います。

例えばオフィスの使い方や環境改善についても、誰かに言われるのではなく、社員同士で自然に声を掛け合いながら良い状態を維持できるようになってきました。オフィス美化への意識も高まっていると思います。

また、この1年間は、Relationゾーンのラウンジを中心にさまざまな人が交流できる環境づくりに力を入れてきました。毎月必ず1回は社内イベントを実施しており、その代表例が「ウェルカムランチ」です。現在、毎月新しい仲間を迎えていることもあり、新入社員を歓迎する場としてケータリングを用意し、交流する機会を設けています。

さらに、取締役と社員が気軽に交流できる場として、バーイベントも開催しています。業務後にお酒や軽食を囲みながら、普段はなかなか話す機会のないメンバー同士が交流できる時間として、みんなで楽しんでいます。そして、このバーイベントには社外のお客様にご参加いただくこともあります。
Relationゾーンが当初目指していた通り、社内外の人や情報、エネルギーが自然に交わる場所へと育ってきているのではないかと感じています。

シャッフルランチの様子。

――今後の事業の展望とオフィスに期待する役割を教えてください。

事業としては、「グリーンエネルギーがめぐる世界の実現」というビジョンのもと、今後も事業領域を広げていきたいと考えています。そのためには、新しい技術や仕組みを生み出すだけでなく、社員一人ひとりが学び合い、挑戦し続けられる組織であることが欠かせません。オフィスは、その挑戦を支える基盤の一つだと捉えています。

当社の事業構想の「GX City」もその一つです。地域と連携しながら再エネの循環を生み出し、その取り組みをさらに広げていきたいと思っています。自然環境と共生しながら持続可能な社会を実現するために、再エネやGXの普及を牽引する存在であり続けたいと考えています。

一方でオフィスについては、会社そのものと同じく、一人ではつくれないものだと思っています。会社は人が集まり、関わり合いながら形成されるものであり、それが企業文化につながっていきます。オフィスもまた、その企業文化を形づくる重要な要素の一つです。

私たちは自律型組織を目指しているからこそ、その考え方が空間にも表れ、社員一人ひとりが主体的に行動できる環境であり続けてほしいと思っています。
また、「ヒト・コト・モノ」の学びのサイクルが本当の意味で循環し、一人ひとりがその価値を実感できる空間にしていきたいですね。グリーンエネルギーを社会にめぐらせていく当社だからこそ、社内でも人の知恵や想いがめぐり、新しい挑戦が生まれ続ける場所でありたい。このオフィスも、事業の発展や新しいアイデアが生まれる源泉として、社員全員で育て続けていきたいと考えています。

――この度は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

編集後記

事業で大切にされている「循環」という考え方が、オフィスづくりにも落とし込まれていることが印象的でした。社員の皆さんが自ら関わり、使いながら育てていくことで、オフィスが“自分たちの場所”になっているように感じます。
光や開放感のある空間には、学びや会話が生まれるきっかけが随所に散りばめられているように感じました。

写真だけでは伝えきれないオフィスの様子やこだわりは、ぜひYoutubeのオフィスツアーでご覧ください!

【オフィスツアー】働き方自由自在!株式会社アイ・グリッド・ソリューションズのABWとは?

インタビュー・編集/志野
撮影/平井(一部画像提供:アイ・グリッド・ソリューションズ)