
Vol.50 ネットワンシステムズ株式会社
東京都品川区勝島1-5-13 グランロジテラス品川
ネットワンシステムズ株式会社は情報インフラの分野において、先駆的な取り組みを重ねながら業界を牽引してきました。同社が新たに拠点として選んだのは、グランロジテラス品川の“倉庫”というユニークな空間。その1階から7階までを活用し、イノベーションセンター「netone valley」を開設しました。

受付は“valley(渓谷)”をイメージした、石や木を取り入れたデザイン

従来のオフィスの枠を超え、技術・人・アイデアが交差する場として構想された本拠点について、管理本部 総務部 ファシリティチームの阿部様にお話を伺いました。

管理本部 総務部 ファシリティチーム 阿部 崇之様

情報インフラ機能の集結拠点
――御社の事業内容について教えてください。
弊社は、ネットワーク環境の構築を主軸に、情報インフラの分野で事業を展開しています。世界的な技術トレンドを取り入れた情報インフラを設計・構築し、そのサービスの運用・保守サービスの提供までを一貫して行っている点が特徴です。
また、システムの導入にとどまらず、お客様それぞれの課題や目的に応じたICTの利活用を実現するためのサポートにも注力しています。社内において実践と検証を重ね、その中で得られた知見や課題をお客様にノウハウとして還元しています。時には、お客様と一緒に検証や実践を行いながら、ノウハウの醸成を行っています。


――新拠点・ netone valley を開設された背景や、拠点としての位置づけを教えてください。
本拠点は、これまで分散していた複数の機能を一つに集約することから構想が始まりました。
以前は、東京モノレール沿線にバックオフィス機能(天王洲アイル)、技術検証機能(大井競馬場前)、物流機能(流通センター)と、拠点がそれぞれ異なる場所に点在しており、オフィス・検証・物流という3つの機能が3駅にまたがる状態となっていました。この状況を見直し、これらの機能を一つの建物に統合することで、これまで分断されていた人の交流や組織間の相互理解を促すことが、当初の開設目的でした。


5F 会議室エリア
その後、プロジェクトを進める中でコロナ禍を経験し、人の往来が制限され、人間関係の希薄化を実感しました。こうした経験を通じて、「人の交流こそが最も重要である」という認識が改めて社内で強まり、netone valleyの役割を、“働く場”から、“人と出会い、チャレンジする場”へと大きくシフトチェンジさせました。
日々の業務を行うだけでなく、多様な人との交流を通じて新しい知識やスキルを身につける。そのような場として、現在は活用されています。

価値を生み出す挑戦の場
――オフィスのコンセプトを教えてください。
コンセプトは「新しい価値を創造し豊かな未来を切り拓くチャレンジの場」です。ここでは一人で黙々と業務をするのではなく、社内外での関わりを通じて一緒にチャレンジする場を目指しています。

1F コワーキング・エントランスエリア

チャレンジというのも仕事だけに限らず、人間関係やスポーツ、新しい趣味など、さまざまなことに挑戦することで、自分自身を少しずつ成長させていく。その積み重ねが、仕事面だけでなく、人としての成長にもつながると考えています。
こうした想いから、本拠点は可能性を広げる場として、このコンセプトを掲げています。

エントランススペースにはバスケットコートも。

トレーニングマシン・ヨガスタジオ

ゴルフシミュレーター

ダーツ・ビリヤード
――開設にあたり、倉庫を拠点に選ばれた理由を教えてください。
本拠点では開設にあたり、物流や技術検証としての機能を取り入れる目的があったので、一般的なオフィスビルでは実現が難しく、倉庫という選択に至りました。
オフィスの観点から見ても、倉庫はオフィスビルと比べて平面的に広く、天井も高いため、空間に余白が生まれ、ゆったりとした働き方が可能になるほか、同一のフロア内で異なるコンセプトのレイアウトを実現することも可能です。


6F 執務エリア
以前のオフィスでは複数のフロアに分かれていたため、どうしても人の動きが限定され、交流が生まれにくい側面がありました。その一方、平面的に広がる本拠点の空間では、空気感を共有しやすく、誰がどこにいるのかも自然と把握できるので、こうした一体感のある空間を実現できる点も、倉庫を選んだ理由の一つです。
物流やラボの機能をオフィスと一体化し、人の流れと機能が交わる拠点をつくるためには、倉庫という物件が最適でした。



――イノベーションを生み出すために、内装やレイアウトで工夫した点を教えてください。
オフィスとしての設計の中でも、倉庫であるという特性をあえて活かす工夫をしています。
床には建築当時の地墨と呼ばれる目印の線が残っており、それをあえてそのまま倉庫の雰囲気として残しているので、そうした無機質な部分と、自然も多く取り入れているので本来相反するもの同士を融合して調和させる。そういったものを今回、デザインの一つとして取り入れています。



また、同じ空間内にオンとオフが交じり合う空間を創っています。
集中する場所、リラックスする場所を完全に分けるのではなく、そこの明確なラインをあえてつくらないことで、集中するタイミングと休むタイミングを、その時々で自分に合わせてどう過ごすかを決められるようなレイアウトにしています。


左側はラウンジエリア、右側はワーキングエリア。


チームディスカッション・ソロワーク・休憩など使い方は様々。
人が交わる空間を
――空間づくりの構想は、どのくらい前から考えられていたのでしょうか。
意匠設計については、プロジェクト開始から本格化させていく中で約3年かけて検討を進めました。一方でそのベースとなる構想は、10年近く前から少しずつ育ててきたものになります。


サステナブルな廃材絵の具を使用したnetone valleyコンセプトアート。
「これからのオフィスはどうあるべきか」「人が集まる意味とは何か」といった問いについて、かなり長い時間をかけて考え続けていました。コンセプトの策定においても、最初から何か明確な完成形を持っていたわけではなく、むしろ思想を持ち続けていたことから生まれたものだと思っています。
いくつもの複合的な課題や、目指すべき方向性をそれぞれ考え、重ね合わせていく中で、「人が交流を重ね、挑戦できる場」としての在り方が、一つのオフィスの存在価値として大切なのではないかという考えに至りました。


システムを体感できる Innovation Showcase
社員起点で生まれる交流
――各エリアの使われ方について教えてください。
基本的に、総務部として厳格なルールは設けていません。1から10まで細かく決めるというよりは、あえて自由に使える”余白”をかなり残しています。というのも、社員一人ひとりが「この場所をどう使うのか」を主体的に考え、その過程自体を楽しんでほしいという思いがあるからです。


本を通じて、情報の「つなぐ・むすぶ・かわる」という循環を表現した空間。

その結果、当初は想定していなかった使い方が生まれることも多くあります。「ここでこんなことをしても良いですか?」と相談を受けることも多く、柔軟に運用を行う中で私たち自身も「こんな使い方があるのか」と気付かされることも多いですね。
例えば5階の階段下は、執務スペースではあるのですが、お客様と一緒に働くコラボレーションエリアとして機能しています。お客様を巻き込みながら、セミナーや発表会を社員が行う場として活用されています。

什器は可動式で、レイアウトを自由に変えながら会話できる仕組み。

倉庫は電源の増設が難しいため、各所にポータブル電源を置いて利用。

また、ラウンジやカフェでは、お酒を飲んでの懇親会での利用は当初から想定していたものですが、ディスプレイが備わっていることもあり、ゲーム機を持ち込んでeスポーツを楽しむといった新たな使われ方も広がっています。
それも部署やチーム、プロジェクトといった枠を超え、時には社員かどうかも関係なく、人が集まってゲームやスポーツを通して人間関係を築いていく。社員自らが起点となってこうした交流の場をつくり出す、そんな場所として運営しています。


5F 撮影スタジオ

――交流を生むために、意識していることはありますか。
会社としては「場を用意する」「挑戦を支援する」ことに徹し、主役はあくまで社員自身と考えているので、やはり管理しすぎないことを意識しています。その結果として、自然発生的にコミュニティが生まれ、さらにそのコミュニティが新しいコミュニティへと広がっていく、そのような循環が生まれています。
実際に、開設から3年が経つ中で、イベントを開催したいという声は非常に多く寄せられています。社員だけでなく、お客様を招いたイベントや、社会貢献の一環として小学生の児童を招いた企画、障害者スポーツを体験するイベントなど、これまでにやったことのなかった取り組みにも挑戦しています。

屋上 SKY TERRACE

――こうして対外的に拠点・ netone valley を開くことに、どのような価値があるとお考えですか。
ビジネス上、あるいは社会的な課題の中には、やはり弊社だけでは解決できないものも多くあります。一方で、お客様が抱える課題や悩みに対して、私たちが答えを持っているケースも少なくありません。
そうした課題が、ビジネス上の会話だけで解決できれば理想ですが、実際には、こちらに来ていただき、同じ景色を見て、何かを感じながら時間を過ごすことで、さまざまな会話が生まれ、相互の課題解決につながっていくのではないかと考えています。

4F 検証エリア

社外との共同検証の場 Laas AREA


一緒に歩き、同じ空間で過ごすことで、相互に歩み寄ることができる。その中で相手の人となりを知り、そこからイノベーションが発生してほしいと思っています。
そのため、社内にも社外にも開かれており、さまざまな人が交流し、誰かが誰かを紹介し、誰かと誰かがつながり、そこからイノベーションが生まれる。制限は設けずに、ひとまずは集まり、ごちゃ混ぜになって何かを生み出す。そのための一つの方法として、社外の方とも一緒に本拠点で仕事をしたり、見て感じてもらったり、ヒントを得たりする、そうした運用の仕方に価値を感じています。

5F PARK フリーアドレス式のワーキングエリア


ワクワクを広げるコミュニケーション
――一方で社内に向けた働く環境づくりにおいて、大切にされている考え方を教えてください。
社内に向けては「Life and Work」という考え方を大切にしています。あえて「Work and Life」ではなく、人生をより豊かにするためには何が大切なのかを起点に考えていきたい、という想いを込めています。
仕事が人生の中心となるのではなく、家族や友人との関係、個人の健康といったものを含めて人生を捉える。その中で、ウェルネスエリア等でリフレッシュしながら、社員同士が自然と出会い、人脈を育てていく。本拠点は、そうした循環を生み出す場として活用しています。

ストレッチや立ちながらの会議ができるスペース。


瞑想ルーム
顔を知り、話したことがあるという関係性は心理的安全性を高め、その積み重ねがコミュニケーションの活性化や生産性向上につながっていくと考えています。例えば、一度会話をして顔が分かっている相手であれば、何か問い合わせをする際の心理的ハードルは大きく下がりますよね。そうした関係性が社員同士に広がることで、聞きやすい環境づくりが可能になります。
よく分からない人に聞くよりも、この前一緒に筋トレをした人、ビリヤードをした人に聞く方が、圧倒的に聞きやすい。そうした日常的なつながりを生み出す仕掛けとして、ウェルネスの要素は積極的に活用してほしいと考えています。
結果として、それが活発なコミュニケーションを生み、全体的な生産性の向上につながる。そういったところで、この考え方は自分の人生を豊かにするかつ、仕事を円滑に進めるためにも必要なキーなのだと考えております。

6F BRIDGE

役員層とのコミュニケーションを図るエリア。
――ネットワークのリーディングカンパニーとして、社員が誇れる仕事を実現するために大切にしていることを教えてください。
やはり大切にしているのは「ワクワクを広げる」ことですね。我々の行動指針の一つでもある「ワクワクを広げる」、そしてチャレンジすること、この二つが非常に重要だと考えています。
どんどんチャレンジしていく中で、当然失敗もあると思います。ただ、その失敗に対してめげるのではなく、バネにして自己成長につなげていくことが大事だと思っています。
成功ももちろん大切ですが、それ以上に、失敗したときの悔しさからどれだけ自分を伸ばせるかが重要だと感じています。そうした姿勢や環境づくりはとても大事にしているので、その意味でも、チャレンジすること自体が肯定される文化は、これからも大切にしていきたいですね。
また、ワクワクという要素も、仕事が楽しいとか、何かに対してワクワクできる気持ちがないと、どうしても疲れて長続きしなくなってしまうので、大切にしています。
一人でもワクワクしている人がいると、その前向きな空気は良い意味で周囲に伝播していくと思います。そういった人をきっかけに、新たな出会いを引き寄せ、個人が成長し、そして組織全体の成長へとつながっていく。
そうした積み重ねこそが、“誇れる仕事”を生み出すのではないかなと思っています。だからこそ我々としては、ワクワクを広げ、チャレンジできる場を用意し続けることが重要だと考えています。


PROJECT ROOMは、来訪者にも取り組みが伝わるガラス張りの空間。
――netone valleyに今後期待する役割を教えてください。
若手社員や外部の方にもよくお話ししているのですが、netone valleyに来て、一人で仕事をする、一人で黙々と見積書や資料を作るような作業は、必ずしもここでやらなくていいと思っています。
本拠点で求める役割は“誰かと話すこと”であり、極端な話、パソコンを開かずに一日中誰かと会話をし、ディスカッションして帰る日があってもいいと思っています。出会いや刺激を受け、考え方が変わる、そんな時間を過ごせる場所であってほしいと考えています。

コワーキングエリアの天高は7m以上!
だからこそ、テレワーク主体の働き方が進み、人間関係が希薄化・限定化している現在でも、誰かに紹介してもらったり、食事やスポーツを通して出会い、互いに刺激し合う。そのすべてを完結できる場所として本拠点が存在しているので、その目的を持って来て、活用してほしいと思っています。
――今後の事業展望と、働き方をどう進化させていくのかについて教えてください。
技術的にも、取り巻く環境も常に変わり続けているからこそ、事業として「今の姿が絶対の正」だとは考えず、常に前を向き続けることを大切にしていきたいと思います。予測不能な変化に対しても、柔軟に対応していける組織でありたいですね。

過去は過去として一つの事実として受け止めつつ、リーディングカンパニーとして常に前進し、視野を広げていくことが重要だと考えています。本拠点の開設も、あくまで一つの解にすぎません。3年前の時点では最適解だったかもしれませんが、5年後、10年後も同じであるとは限らないと思っています。
だからこそ、ここで満足することなく、足りないものや、逆にいらなくなったものは何かを常に問い続ける。さまざまな人の意見や社会情勢に目を向けながら、挑戦を重ねていきたいと考えています。「チャレンジの場」というコンセプトを大切にしながら、新しい価値を創造し、次のステップへと挑戦し続けていきたいですね。



――この度は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
編集後記
人と人が交流することで、ワクワクや挑戦が生まれ、新しい価値の創出へとつながっていくというプロセスを設計し、随所にその仕掛けをちりばめながら空間を運用している点に、オフィス構想からの一貫したこだわりが感じられました。
拠点を統合することで、社内だけではなく、社内外の交流を混ぜ合わせながら価値を生み出している点も、非常に印象的でした。
写真だけでは伝えきれないオフィスの様子やこだわりは、ぜひYoutubeのオフィスツアーでご覧ください!
【オフィスツアー】ネットワンシステムズの常識を覆す新拠点「netone valley」に潜入!
インタビュー・編集/志野
撮影/平井


