Vol.41 ARアドバンストテクノロジ株式会社
東京都渋谷区渋谷2-17-1 渋谷アクシュ 18階
2010年に創業し、クラウドやデータ・AI活用などを強みとしたシステムインテグレーションをメインに展開するARアドバンストテクノロジ株式会社。2023年には東証グロース市場に上場し、現在はグループ全体で社員数約600名規模に成長中。2024年9月の渋谷本社オフィス移転について、プロジェクトを統括された IT総務部の荒(あら)様にお話を伺いました。
成長するDXソリューション事業
――御社の事業内容や働き方について教えてください。
クラウド技術とデータ・AI活用という2つの柱を基軸に、DXソリューション事業を展開しています。自社で開発した3つのプロダクトも展開中です。コンサルティングからシステムの設計・導入、保守・運用、内製化まで一気通貫で支援しています。社員の8割がエンジニアであることが組織の特徴です。会社として最低出社日数は設けていないため、オフィスで働くか自宅で働くかは自由です。
分散していた前オフィス
――ご移転の背景について教えてください。
弊社は東京・名古屋・大阪に拠点があるのですが、そのうち本社機能を含む東京拠点は渋谷駅周辺で移転や増床をしてきました。そのため、以前の東京拠点はオフィスが2物件3フロアに分かれており、エンジニアと管理部門、そしてグループ会社のメンバーが顔を合わせてコミュニケーションをとるにはフロアや拠点を移動する必要がありました。加えて、入居していた物件が宮益坂再開発プロジェクトのエリア内であり、ビル建て替えによる立ち退きのお話も出たことから、オフィスを1ヵ所に統合することで前述の課題を解決したいという想いもありました。
――どのような条件でオフィスをお探しになりましたか?
弊社は創業以来、渋谷駅から徒歩5分以内の立地を重視してオフィスを選定してきましたので、今回も他エリアの選択肢はありませんでした。同じく、渋谷駅から近く皆が通勤しやすい立地を重視しました。築年数に関わらず10件ほどは内見しました。
――渋谷アクシュに決めた理由を教えてください。
これまでは新築ビルに入居したことがありませんでしたが、会社が成長してきたこともあり、思い切ってチャレンジしてみようという気持ちで渋谷アクシュへの入居を決めました。またJRだけではなく東京メトロ銀座線や半蔵門線へのアクセスの良さも魅力でした。
――エンジニアの方々から特に多かった要望はありますか?
「集中できるスペースを確保してほしい」という要望は多くのメンバーから寄せられました。オープンな執務エリアのデスクだと、お互いのオンライン会議の声や話し声が入ってしまい、エンジニアにとって集中できない環境となるため、それらを解決したいと考えていました。また、これまでも情報セキュリティの強化には努めてきましたが、上場したことでさらに輪をかけてIRの情報をどう守るかという点も検討することになりました。社員のコミュニケーションを促進できるスペース、リフレッシュできるスペースにも配慮しました。
――意外なご要望はありましたか?
有線のLANケーブルは必要ないと言われたことですね。これまでのオフィスは各デスクに有線LANを引くことが多かったのですが、Wi-Fiしか使っておらずLANケーブルをデスクの下で束ねると邪魔になるから不要とのことでした。実際そのようにしたところ、足元がすっきりして動きやすくWi-Fiで問題ないと好評です。特殊な案件で有線LANでの接続が必要な部署以外は、Wi-Fiに接続して業務しています。
エンジニアファーストのオフィスづくり
――新しくなった本社オフィスのコンセプトについて教えてください。
エンジニアがオフィスでも集中して滞りなく仕事ができ、コミュニケーションやリフレッシュがしやすいことを重視しました。以前のオフィスもデスクと休憩スペースは分かれていましたが、今回は特に1人で集中できるブースを設置したり、会議用Webブースでリモートワークをしやすいようにしたり、ダブルモニターを設置してノートPCを含めるとトリプルで利用できるようにして作業時の切替を減らすなど、エンジニアが快適に勤務できるよう工夫しました。
――上場されてからオフィスに求めるものは変わりましたか?
IR情報などを含む機密情報に容易にアクセスできないように、管理部門の中でも壁に囲まれている席とオープンな席を設けました。情報の取り扱いはこれまでも厳重にしてきましたが、さらに注意するようになりました。また、執務室への入退室をカードの利用ログで管理するようになりました。これまでは、入室時にはカードをかざして、退出時にはカードをかざさなくても出られましたが、退出時にもカードをかざす仕様にしました。誰が入室して誰が退出したかが自動で記録されるので、年1回あるISMS認証の更新審査時に、これまでのようにアナログで提出書類を作成する必要がなく、そのままログを提出できるようになり、業務効率が上がりました。
――今回の本社オフィスから導入されたものや運用が始まったことはありますか?
エントランスに大型モニターを設置して会議室の予約状況が確認できるようになりました。社内の動画や癒しの画像を投影するなど、遊び心を持ちながら試験的に運用中です。また、総務で管理している備品がたくさんあるため、見えない収納スペースをたくさん確保しました。皆がくつろいでいる椅子の下が収納になっていたり、壁が一部開けられて中が収納できるようになっていたりと、工夫しました。
社内コミュニケーションを事業成長に繋げる
――今後、オフィスをどのように活用していきたいですか?
これまでオフィスが分散していたことによって感じていたコミュニケーションのとりづらさが移転してから解消され、1フロアの良さを皆ひしひしと感じています。前オフィスではあまり交流がなかったメンバー同士が雑談する光景が増え、より発想力が高まるオフィスになったと感じます。
移転直後は出社率が2~3割でしたが、最近では4~5割に増えてきているのも、集中しやすいブースやリフレッシュスペースが整い、安心して働けるオフィスになったからだと思います。本社オフィスで社内コミュニケーションから生まれるシナジー効果を事業に結び付けられるように活用していきます。
――この度は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
編集後記
18階ならではの眺望が楽しめるデスクから1人でこもれる集中ブースまで、オフィス内に様々なタイプのスペースがあり、業務内容に合わせて快適な場所を選択できる楽しさがあるオフィスでした。出社しているメンバーとコミュニケーションをとりながらメリハリをつけて働くことができる点が、出社義務がなくても4~5割の方が本社オフィスで働いている理由なのだと感じました。
インタビュー・編集/服部
撮影/平井