Vol.13 株式会社ギフティ
東京都品川区東五反田2-10-2 東五反田スクエア 12F
eギフトの発行から流通まで一気通貫で提供するeギフトプラットフォーム事業を展開し急成長をとげる株式会社ギフティ。eギフトを通じて人・企業・街に様々な縁を育むことで温かなキモチが循環する社会の実現を目指す同社では、自社のビジョンをオフィス戦略にも反映されています。これまでのオフィスの変遷や2021年6月にご移転された新オフィスについて代表取締役 太田 睦様にお話を伺いました。
急増するeギフト需要と商品の多様化
――コロナ禍で御社のeギフトプラットフォーム事業やマーケットに変化があればお聞かせください。
コロナ禍で特に個人間のeギフトのやりとりは増加しています。人と会う機会が減ってしまったため、今まで直接会って渡していた誕生日プレゼントや結婚祝などを弊社のeギフト販売サービス「giftee」を利用して贈っていただく機会が増え、会員数は前年比16.1%増加、173万人(2021年6月末時点)に達しました。コロナ禍以前は「ありがとう」や「おつかれさま」といった日常のコミュニケーションの手段としてコンビニのコーヒー1杯100円や大手コーヒーチェーンのドリンクチケット500円など、カジュアルな価格帯のギフトを贈っていただくシーンが多かったのですが、コロナ禍以降はそれに加えて今までリアルで渡していた比較的高価格帯のギフトもeギフトに変わってきています。3,000~5,000円の利用も多く、単価も800円(2020年4月末時点)から1,300円(2021年4月末時点)と1.6倍になっています。ご利用いただく商品の内容も、オンライン動画視聴サービス数ヵ月分やフードデリバリーサービスなど、コロナ禍ならではの家の中で楽しめる巣ごもり需要が伸びています。2020年12月のサービスリニューアル時にリリースした新機能では、オンライン動画視聴サービスとフードデリバリーサービスといった異なるブランドのギフトをセットにして贈ることもできるようになりました。また、弊社では配送型のギフトも取り扱っており、お肉やスイーツ詰め合わせ、プレミアムビールなどのeギフトも帰省暮ニーズにマッチしたこともあり売れ行きも好調です。
giftee for Business(法人向けサービス)も前年同期比64.3%(2021年6月末時点)と売上を伸ばしています。コロナ禍で企業活動のDXが推進され、キャンペーンやセミナー、イベントなどオンライン化が進んだこともあり、景品やアンケートの謝礼としてeギフトの利用が増加しています。また、企業から在宅で勤務する社員に福利厚生の一環として贈っていただいています。
――eギフトや各種ポイントを受け取ったユーザーが自由に選べるサービスを新たにローンチしたということですが?
いままではeギフトを贈る企業に商品やサービスをあらかじめ決めていただいていたのですが、最近ローンチしたgiftee Boxというサービスでは、企業からインセンティブを受け取ったユーザーが、受け取ったギフトポイントをgiftee Box内の最大100ブランド500種類以上のラインナップのeギフトと交換することができるようになりました。ラインナップには、d払いや楽天Payといったシェア率の高いQR決済サービスで利用できるポイントなども含まれていますので、普段よく使っているポイントサービスにチャージしたり、よく行くお店で商品に交換したりすることができ、複雑化・多様化する顧客ニーズに対応しています。
オフィスの変遷
――御社は2021年6月に新オフィスにご移転されましたが、これまでご入居されてきたオフィスについてお聞かせください。
弊社は2010年に創業後、しばらくはシェアオフィス等を活用していましたが、2012年に恵比寿のマンションの1室を正式にオフィスとして借りました。約1年後に不動前のオフィスビルに移転、同ビル内で増床しました。その後2017年に五反田の3フロア合計約250坪のオフィスに移転し、約4年間入居しました。今回の新オフィスは同じく五反田で、1.5フロア合計で約500坪を賃貸しているため2倍くらいの広さになりました。山手線を少しずつ南下してきていますね。
――今回のご移転の理由や目的について教えてください。
もともと、新型コロナウイルスの感染拡大が始まる以前からオフィス移転は検討しており、物件を探していました。社員数増加に伴い、以前のオフィスでは1人1席の確保ができなくなってきたためというのが移転の大きな理由です。弊社は積極的な採用を続けており、昨年度1年間で40名近く採用し、今期も同程度の採用を計画しています。
また、オフィス出社時には社員間のコミュニケーションをより活性化させたいという目的もありました。弊社単体でみると日本国内で約150名の社員がいますが、150名規模にしてはかなり多くのサービスやソリューションを展開しています。これらの各サービスやソリューションは単独で成立するサービスではなく重なりあう領域が多いため、事業部の垣根を越えたコミュニケーションが重要です。そのため、職務スペースを1フロアとすることを重視していました。一方で、コロナ禍でリモートワークも浸透し、その良さも理解することはできたので、今後出社可能になったらリモートと出社を併用しながら、社内でのコミュニケーションも重視していきたいと考えています。
――新オフィスに求めた条件を教えてください。
前オフィスから五反田におり、居心地がよかったということもありますし、社員の多くが五反田周辺に住んでいるため、全く異なるエリアに移転するということは考えていませんでした。また、コミュニケーションを活性化させるためにも社員全員が同じフロアで働く状況を目指したかったので、ある程度まとまった面積が1フロアで確保できるオフィスビルを希望しました。渋谷・恵比寿方面にいくと賃料がかなり上がってしまうため、五反田駅~品川駅間で探し、ちょうど私たちが求める条件に合致したのが東五反田スクエアでした。
――移転先が決定してからオフィスの内装完成まではどのように進められましたか?
移転プロジェクト自体の進捗管理はコーポレートチームの総務担当が主導しました。また、内装・デザインは弊社のCCO(チーフクリエイティブオフィサー)の長谷川が中心となり進めてくれました。内装会社様に相談しながら、レイアウトの方向性決定や家具選定は彼がメインに行いました。デスクや椅子をはじめ内装の選択肢は無限にあるため、各メーカーのカタログから1つずつ選定していくのは本当に大変だったようです。植栽の葉っぱの形も会社のカルチャーや雰囲気にあわせ、刺々しいものより丸みを帯びたものを選ぶなど、随所にこだわりをもって選択してくれました。
アートや書籍からのインスピレーションを
――レイアウトや内装でこだわった点・工夫された点を教えてください。
ギフトはキモチを表現するコミュニケーション手段です。誰かを思いやるキモチが循環するような社会にしたいという考えから「キモチが循環する社会へ」というタグラインに最近刷新しました。そのタグラインやビジョンをオフィスのデザインコンセプトにも取り入れています。ラッピングペーパーをエントランスに設置して社員や来客の方が自由に持ち帰れるようにしたり、執務室の壁にギフトを連想するペイントを施しました。またコーポレートカラーであるコーラルをオフィスの配色に取り入れています。
リモートワークと出社の併用時にオフィスに求められるものって、化学反応やイノベーションが生まれやすい空間だと思うんです。自宅にいるよりオフィスに出社した方が新しい視点や発想が生まれやすいように、各部屋に本物のアート作品を1点ずつ飾ることで、普段アートにあまり触れる機会がない社員でもアートを身近に感じられるよう工夫をしています。また、弊社は蔵書の数がとても多いので、壁一面を本棚にして社員が自由に本を閲覧できるようにしています。これも社員のインスピレーションに刺激を与えられればいいなと思っての取り組みです。
お互いを理解する工夫
――新しい仲間がどんどん増えていく中で、新入社員とのコミュニケーションや社員同士の親睦において課題や工夫されている点はありますか?
各事業部から有志1名で結成されたイベント班があり、コミュニケーションの活性化をミッションに掲げて様々なイベントを企画してくれています。現在は月1回、定期的に「gifteeパーティー」と称したオンラインイベントを開催しています。多趣味な社員が非常に多いので、ゲームや筋トレなど各メンバーが没頭している趣味や特技についてその世界の魅力を発表してもらい、交流のきっかけにしています。新入社員は可能な限り参加してもらい、自己紹介の場にもしています。多い時には50名近くの社員が参加しています。
キモチが循環する社会の実現へ向けて
――今後の事業の展望を教えてください。
私たちは、商品がギフトとして流通しやすい仕組みを提供することに注力してきました。その結果、個人間での贈り物でご利用いただくことが増え、また法人ではキャンペーンや福利厚生、株主優待などにもご利用いただけるようになってきました。まだまだeギフト化したいものやコンテンツが世の中にはたくさんあり、どんな業界ともご一緒できる可能性があるため、「キモチが循環する社会」の実現へ向けて、触媒となるギフトの選択肢をさらに充実させていきたいと考えています。
――この度は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
編集後記
木材と観葉植物、そしてコーポレートカラーであるコーラルの使い方が素敵なナチュラルテイストのオフィスは、誰かを想う優しいキモチにさせてくれそうな空間でした。ラッピングペーパーやギフトを連想するペイントをデザインに取り入れたギフティ様のように、自社取扱商品やサービスならではのユニークなモノやそこから連想されるモノをオフィスデザインにリンクさせてみると、自社らしさが出て面白いのではないでしょうか。
インタビュー・編集/服部