居抜きオフィス×定期借家契約は成長ベンチャーの味方?! 株式会社Zehitomo

Vol.9 株式会社Zehitomo

東京都千代田区有楽町1-12-1 新有楽町ビル5F

https://www.zehitomo.com/

フリーランスや中小企業向けの集客プラットフォームを運営する、株式会社Zehitomo。成長を加速する同社のオフィス移転について、CSO 三浦雄一郎様にお話を伺いました。

株式会社Zehitomo CSO 取締役 最高戦略責任者 三浦雄一郎様

 

自分に合ったプロに出会えるプラットフォーム「Zehitomo」

――御社では個人からの依頼を「プロ」とマッチングされていますが、どのようなジャンルのご依頼が多いのでしょうか。

Zehitomoには、全部で500種類以上のサービスカテゴリがありますが、依頼の傾向は大きく3つほどに分かれています。
まず1つ目は、家回りのリフォームか修理です。例えば、屋根や外壁の塗装、内装工事や電気工事、エアコンクリーニングなどです。2つ目は、私たちがラーニングと呼んでいるカテゴリで、オンライン・オフラインを問わず習い事やトレーニングのご依頼が多いです。ピアノやギター、トランペットからオカリナまであらゆる楽器を習ったり、ダンスや語学も学ぶことができます。トレーニング系ではパーソナルトレーニングやヨガを受講することができます。3つ目はイベント関連で、結婚式の司会者の依頼や、七五三や運動会を撮影するカメラマンの依頼などです。

――コロナ禍でオンラインでの習い事の需要は確かに増えていますよね。

はい、オンラインでの習い事やトレーニングの需要は確実に増加しました。また、在宅勤務が増えたため、自宅の間取りを少し変更して、小さくてもよいので自宅に働ける場所を作りたいというリフォームの依頼が増えたのもコロナ禍での変化の特徴です。

建て替え予定のビルならではの恩恵

――今回のオフィス移転の背景や経緯について教えてください。

前オフィスの入居していたビルが、今秋に建て壊しが決まっていたことが第一の理由です。しかし、組織が急速に拡大していく中でスペースが手狭になってきたことも大きな理由としてありました。また、これを機に、私達のミッションを実現するために最適なオフィス環境を整えたい。そんな思いで物件探しを始めましたね。

――新オフィスはどのようなエリアでお探しになられましたか。

前オフィスは半蔵門でJRから乗り換えないといけないため、社員の通勤にとっては少々不便なエリアでした。そこで、アクセスが良く90%以上の社員が通勤時間を短縮することが可能な、渋谷駅周辺や東京駅周辺を候補としました。
ベンチャー企業が集積する渋谷は魅力的でしたが、コロナ禍でも賃料の水準が非常に高額です。コスト面で難しかったため、最終的には東京駅や日本橋方面の物件に絞り込みました。

――新オフィスの決め手となったポイントについて教えてください。

さまざまな条件が合致して、今回のオフィスに決めました。
実は、今回移転した新有楽町ビルも建て替え予定があり、約1年半の定期借家契約です。そのため、有楽町駅直結というアクセスの良さや今までの倍以上の面積がありながら、賃料はとてもリーズナブル。前のテナント企業様の設備を引き継ぐ形で入居したのですが、コミュニケーション導線が考えられた作りで、私たちが求めるオフィスの条件とぴったりでした。
また、コロナ禍での出社体制も、事業の拡大スピードも、まだ見えない部分が多いです。そのため、短期間で態勢を変えていけるフレキシビリティの高さもメリットと感じました。

扉を開ける前から奥行きを感じられるエントランス

社内アンケートから要望をキャッチアップ

――ご移転前に働き方や新オフィスについての社内アンケートをとられたそうですが、主な質問内容や回答結果についてお聞かせいただけますか。

私たちは、社員の意見に耳を傾けることを大切にしています。2020年11月に社員に対して、働き方や新オフィスへの要望を聞くアンケート調査を実施しました。コロナ禍やアフターコロナの希望出社頻度とその理由、新オフィスに求めるものは何かという設問を設けました。
コロナ禍の出社希望頻度の質問に対しては約7割の社員が、週1回の出社が良いと回答しました。弊社では緊急事態宣言発令中以外は、チームごとに週1日の出社推奨日を決めているのですが、アフターコロナでは出社推奨日以外に+1~2日は出社したいという回答が目立ち、チームメンバーだけではなく他部署のメンバーとも交流したいという意見が見られました。また、新オフィスに求めるものは?という質問に対しては、皆が集まれるスペースやカフェバーといったコラボレーションスペースへの要望が一番多く、次いでフォンブースや各種会議室への要望が多く見受けられました。

明るい窓際でミーティングもはかどりそう。

――最近の出社率やどのような方が出社されているか教えてください。

正社員約60名に対して出社が10~15名程度ですので、出社率は約20~25%程度です。夫婦共働きだったり、会社の方が作業しやすいというメンバーは出社の頻度が高いですね。それ以外のメンバーも週1日くらいは出社しようとしており、出社時にはオンライン会議ではしにくいディスカッションをしたり、部署を超えて意見交換したりと、リアルならではのコミュニケーションが取れていると思います。

執務室内にはスタジアム式のスペースも。

――在宅勤務が増え、オフィス不要論も一部の企業ではみられましたが、御社にとってオフィスはどのような位置づけでしょうか。

”働く場所”という意味だけでのオフィスはだんだん要らなくなっていくと思います。DINKsで1LDKに住んでいて2人が同時に在宅勤務するのが難しいといったケースでは働く場所としてのオフィスも必要かもしれませんが、多くの方にとってはオフィスが働く場所というよりは、人と人が会う場所という考えに変わってきていると思います。私たちは、オフィスは個人と個人が会う場所でもあり、個人と組織が会う場所だと考えているため、オフィスで企業のカルチャーやチームワークを育んでいくということも今回の新オフィスでは重視しています。

 

前オフィスとの共通点は ”空間の余白”

――新オフィスのコンセプトについてお聞かせください。

社員アンケートを基に社内で検討し、「Great place to work」、「Collaboration and communication」、「Safety」という3つのコンセプトを掲げました。

まず、「Great place to work」は、働くのに最適な環境や設備を表しています。執務スペースは、前オフィスと変わらず、フリーアドレス制を採用し、大小さまざまなタイプの会議室やスタンディングデスク、集中ブースなど、その時の気分に合わせて業務が可能です。

エントランスから執務室への導線に最も広いガラス張りの会議室

テイストの異なる完全個室の会議室が5か所

次に、「Collaboration and communication」ですが、社員からの要望を随所に反映し、社内外のコミュニケーションが活発になるよう、共有スペースを広く設けています。バーカウンターやエクササイズスタジオなども併設されているため、社内だけではなく、今後、事業者様とのコラボレーションイベントにも活用できればと考えています。

ヘルスケア系の前入居者様が造作されたキッチンカウンターをコラボレーションエリアとして活用

最後は「Safety」です。執務室入り口には、顔認識セキュリティシステムを設置しています。同時に体温測定もできるため、コロナ対策としても有効です。安心して働ける環境が、生産性の向上につながると考えています。

――広々としたオフィス内に、スペースの多様性がありますね。

リラックスして皆が集まれる場所を作っているのは前オフィスからの共通点になります。前オフィスでも約150坪の貸室の3分の1のスペースはコラボレーションスペースで、18時以降はアルコールも含めてフリードリンク・フリースナックにしていました。そのシステムは新オフィスでも継続しています。これからのオフィスを考えると机をびっしりと並べて働くイメージはしにくいですよね。その結果、とてもゆったり広々とした空間のオフィスになりました。現在は正社員とインターン含めて約70名の従業員がいます。年内には110名規模にしたいという採用計画はありますが、全員が一度に出社することはほとんどないと思いますので当分はスペースを贅沢に活用できそうです。

鏡付のスタジオスペースも前入居者様の居抜き

 

目指すは「やりたいことを当たり前にできる社会の実現」

――今後のオフィスの在り方や事業の展望を教えてください。

今後も世の中の動きやタイミングによって、オフィスに求められるものは変化すると思います。その時求められるものをしなやかにキャッチアップし、オフィス作りに活かしていくことが大切になるのではないでしょうか。
私たちのサービスは、現在は月間約3万件の依頼があり、約8万件のマッチングをしていますが、その100倍はサービスを拡大しなくてはなりません。
タウンページには約1,000職種が掲載されているのですが、Zehitomoは現在約550職種をカバーしており、あと450職種は未着手です。将来的には少しずつジャンルを増やしていき、皆様にとってライフスタイルのインフラになることを目指しています。
「依頼したいことがある…そうだ、Zehitomoに依頼しよう!」、そんな風に思ってもらえるよう、これからもサービス作りをしていきたいです。

――この度は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

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編集後記

定期借家契約や居抜きオフィス限定でオフィスをお探しになられたわけではありませんが、定期借家契約ならでは、居抜きオフィスならではのメリットが感じられるオフィス移転でした。Zehitomo様では、何か大きなイベントや決めるべき事がある際には、Google Forms等を利用して社員にアンケートをとる企業風土があるそうです。社員の想いが移転先のオフィスに反映されることで、新オフィスや組織への愛着もさらに増していくのだと思います。今後オフィス移転をされる企業様のご参考になれば幸いです。

インタビュー・編集/服部
撮影/平井