居抜きオフィスは自社にあわせて現在も進化中――株式会社ノーマーク

 

株式会社ノーマーク

https://nmrk.co.jp/

東京都渋谷区宇田川町10-2 いちご渋谷宇田川町ビル7F

規模:約50坪

渋谷駅からセンター街の喧騒を抜け、少し歩いた一角に、株式会社ノーマークのグループ会社でご利用されているオフィスがあります。前入居者様の内装を引き継いで「居抜き」で入居すことになった経緯、そして働き方の変化に伴うオフィスの変遷について、上級執行役員の山岡様にお話をうかがいました。

 

神谷町から渋谷へ 事業部を移転

――本社は別の場所に構えておられますが、ご契約いただいた渋谷のオフィスはどのような用途でお探しになられていましたか?

弊社のグループ会社に、クライアントから依頼をうけた商品を、セミナーを開催してお客様に実際にご紹介・体験していただき、申込のサポートまで行っている事業部があります。クライアントからの依頼の多くは美容関連の商品やサービスで、お客様は100%女性です。そのセミナー会場、兼オフィスという用途で探していました。

――なぜ渋谷へのご移転を検討されたのでしょうか?

この事業部の拠点はもともと神谷町にありましたが、神谷町駅は日比谷線1本しか路線が通っておらず、もう少しお客様にお越しいただきやすい場所をということで複数路線が利用できるターミナル駅・渋谷への移転を検討することになりました。
大阪や名古屋支社も同様の事業をおこなっており、お客様にお越しいただけるよう駅から近く、何回も角を曲がる必要がないというのが本来セミナー会場の必須条件なのですが、渋谷はその条件から多少外れても大丈夫だろうと考えました。
同じ時間歩くにしても神谷町と渋谷では感じ方が異なります。
もともと渋谷は観光地ということもあり、多少駅から離れても、ビルに来るまでの道のりも楽しいですし、目印になるものも多いですからね。

――どのような条件を重視してお探しでしたか?

土日もセミナーを開催するので、ビルのエントランスが土日も開放されていること、また、セミナーに来るお客様も対応するスタッフも100%女性だったので、女性が入るのをためらわないきれいなエントランスやエレベーターであることを重視しました。
このビルはまだリニューアルされたばかりだったので、特に印象がよかったですね。

 

グッドタイミングが重なり「居抜き」での入居へ

――今回、前入居者様の内装・造作を引き継いだ「居抜き」でのご入居となりましたが、当初「居抜き」という選択肢はありましたか?

居抜きという概念は知っていましたが、どちらかというと飲食店などの店舗のイメージが強く、オフィスでは一般的ではないと思っていました。
退去する側も、次に使ってくれる方がいるなら検討されるでしょうが、基本的には原状回復しないといけない契約になっているでしょうし、絶対居抜きは認めないというビルオーナーもいるでしょうから、今回居抜きで入居できることになったのは本当にタイミングがよかったと感じています。

――物件の決め手、気に入ったポイントを教えてください。

契約した区画は、もともと不動産のセミナーを開催されている企業様が使用されており、内見させていただいた時はまだ入居中で空き予定の状況でした。
30~40名用のセミナールームがあり、可動式パーティションで3つの個室に区切ることもできたのが魅力で、同じくセミナーを開催する私たちにとっては、ビルオーナー様に相談の上、これらの内装を引き継いで入居できることになったことが一番の決め手となりました。
まだ使用されて2年もたっていなかったため、室内はとても綺麗な状態でした。

可動式パーティションで分割可能なセミナールーム

――通常のオフィスの移転と比べて居抜き入居で大きく異なった点を教えてください。

いままでいくつかオフィスを借りていますが、居抜きでの入居は初めてのケースでした。ビルオーナー様、管理会社様、前入居者様、次に入居する私たちと、それぞれ異なる立場の方々がいて、みんな納得しないと前に進みませんので誰を交渉相手にしてすすめたらよいのか難しかったですね。
最初から居抜きOKの物件として募集されていたわけではなく、管理会社様も居抜きでの入居は前例がなかったため、調整が大変だったと思いますが、オフィスナビの山下さんがそれぞれに根回しし、居抜きで入居できるようサポートしてくれました。
今回の移転で学んだことは、前入居者様と、次の入居者の利害が一致すればとても早く進むということが分かったことです。
前入居者様の契約満了日から間をあけずに契約を開始し、空室期間をなくすことで、オーナー様にもメリットを感じていただくことができました。
今回の契約では、本当によい偶然、よいタイミングが重なって、居抜き入居を実現できたと思います。

――契約締結後、前入居者様とのやりとりはスムーズにすすみましたか?

契約手続きが完了してからは、内装の引継ぎ以外に、テレビやプロジェクター、その他の什器・備品などについてどこまで引き継ぐか前の入居者様と直接やりとりさせていただき、多くの備品も無償譲渡していただきました。
先方も次のオフィスが決まっていて、余分なものは持っていきたくないし、こだわりをもってこちらの内装を作られていたので、内装を壊さずに済んでとても喜んでくださっていました。お互いの利害が一致し、気持ちよくコミュニケーションをとらせていただきました。

――移転後、事業にどのような効果がありましたか?

移転前と比較してお客様のセミナー来場者が約1.8倍に増え、スタッフが忙しくてランチを外に食べにいく時間がなくなるほど大盛況となりました。渋谷のパワーを感じましたね。
新卒採用も渋谷で行い、渋谷でお客様とともに学んで成長したスタッフが、経験を積んでから本社に異動するという流れもでてきました。
本社では、クライアントや各メディアとやりとりをしていますが、渋谷オフィスでお客様の声をよく理解した現場に詳しいスタッフの異動ということでスムーズに本社で人員異動の受け入れもできるようになりました。

変化する営業スタイル オフィスに求められる柔軟性

――新型コロナウイルス感染拡大防止にともない、働き方に変化はありましたか?

2ヵ月間の在宅勤務を経て、本社は交代制での出勤に現在はかわり、レイアウト変更を行いました。
渋谷のオフィスも6月から電話セミナーに切り替えました。いままでは実際にお客様にセミナーにお越しいただいて、クライアントから依頼をうけている商品の説明や申込のサポートを行っていたので、テレワークはできないかなと思っていたのですが、電話セミナーに切り替えたらどうなるか試してみたのです。普段だったらお約束していても電話に出ない方もいらっしゃるのですが、まだ6月はお客様も在宅の方が多く、電話がよくつながりました。スタッフと同じものをみながら1対1のやりとりをするので、通常3~4つしか申込されない方が、あれもこれも試して通常の倍くらい申込される方も多くなりました。
営業効率もアップし、現在は100%電話セミナーに切り替えたので、今後お客様にお越しいただくということはなくなると思います。
電話セミナーだと、路線にもこだわる必要がなく、東京にもこだわる必要がないので、どこでもできてしまうということになってしまうのですが、だからといってこの渋谷のオフィスは子会社の本社にもなっていますし、事業部の象徴的な場所でもあるので安易になくすということはまだ考えていません。
お客様が増え、すべてオンラインで手続きが完結するようになると、ミスが起こったときに致命的になりますので、事務手続きを強化する体制に移行するため、今年度中にレイアウト変更を検討しています。

電話セミナーへの移行でデスクの配置も変更

 

――今後オフィスに求められるものは変わりそうですか?

社会情勢がかわってきているので、今後は1社でいままでと同じようなスペースが果たして必要なのだろうかという考えはありますよね。
弊社もまだ模索中ですが、各企業、これからどうしようか考えていると思います。
エントランスやデザインなどにこだわることももちろん悪くないのですが、より求められるものは利便性だったり、機能性になっていくと思います。
もちろんビルはしっかりしていた方が良いのですが、室内は楽に改装ができるよう、柔軟性が重視されていくのではないでしょうか。
使用していない時の会議室はもったいないので、様々な用途に使えるスペースにしておく等、そのスペースは常設する必要があるのか、常時利用するものなのかどうかという考えのもとレイアウトを検討した方がよい気がします。
これからは一層、“多目的”に利用できるスペースが重宝されていくことでしょう。
一点、注意しないといけないのは、コロナ対策だけでオフィスのことを考えるのではなく、災害時の対策についても考慮しておく必要があると思います。
地震や台風など他の災害も十分起こり得るし、災害時に社員が安全なスペースを確保できるという点では、極端にオフィスを減らしすぎるのも怖いですね。
これからオフィスの概念が大きく変わっていきそうです。

営業担当:山下(写真左)より

当初「居抜きオフィス」をご提案する予定ではありませんでしたが、前入居者様のオフィスを見た際にノーマーク様が頭に浮かび、ご提案させて頂きました。オフィスの使用方法でマッチングしたことと、山岡様や前入居者様のご協力もあり契約に至ったのだと思います。やはり居抜きオフィスは関係各社様との関係性も大切だと私も学ばせて頂きました。
前入居者様も拡張移転された出世区画ですので今後もノーマーク様のご活躍・ご成長を心より願っております!

インタビュー・編集:服部 撮影:平井

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