【後編】シェアリングサービスで境界を超えるガイアックス ――”Nagatacho GRiD”の心地よい曖昧さの正体

Power of the OFFICE Vol.2は、株式会社ガイアックス。
前編では、「シェア」という概念に基づいて存在するガイアックスのオフィス「Nagatacho GRiD」について、オフィスプランニングの視点から聞きました。後編では、自分の人生の実現に向けて複数の場所で働くガイアックスのメンバーにインタビュー。ガイアックスでの働き方について迫ります。

※本記事は、前編と後編で構成されています。記事の前編は、こちらからお読みいただけます。

 

 

会社というよりも、「出会える場所」。

――”自分の力を発揮できる場所であり、自分がだれかのために力を注げる場所であり、あたらしい人に出会えて、自分が一緒に仕事をしたい人を見つける場所。”

 

株式会社ガイアックス GRID事業部 コミュニケーター  山口 若葉さま

 

―― 山口さんは、ガイアックスを含め、どういった働き方をされているのでしょうか。

「自分が尊敬する人たちの働きやすい環境をつくる」を自分の中のテーマとして、尊敬する人を見つける仕事とその人たちの働きやすい環境づくり、2つの仕事をしています。

「尊敬する人を見つける」という部分では、編集・ライター業に携わっています。私は映画やアニメがすごく好きなのですが、その分野で活躍されているけれどまだあまり外に情報が出ていないという方々に対して、企画・取材、ライティングや編集などを通して形にして発信をしています。

 

 

もうひとつの「働きやすい環境をつくる」という部分では、みんながのびのびと仕事ができる環境を目指して、企業に対するコンサルティングをお手伝いしています。Nagatacho GRiDで働いているのも、この「働きやすい環境をつくる」ということの一環です。

ガイアックスでは週4日間しか働いていないのですが、自分のポジションで責任ある範囲に関しては、決裁権をもって仕事をすることができています。

 

 

―― ガイアックスのメンバーとして、「フリー・フラット・オープン」のカルチャーを肌で感じるのはどんなときですか。

“フリー”の部分では、たとえば新卒メンバーが「こういうことをやりたい」と提案したときに、「まずは成果を出してから」と退けるのではなく、やってみてもいいと思わせてくれる風土があります。”フラット・オープン”でいえば、仕事の中でなにかアイディアを投げかけたときに、事業部ないしは社内/社外を超えて意見をもらうことができ、それが垣根なく取り入れられる環境があります。毎日のようにこういったコミュニケーションが発生していて、そのたびに”フリー・フラット・オープン”のカルチャーを肌で感じています。

 

Nagatacho GRiDは、ビル全体がコミュニケーションのためのスペースのように思える。人が集まりやすい場の雰囲気がガイアックスという企業のカルチャーを醸成し、それがまたコミュニティにも良い影響を与えるというポジティブな循環を生んでいるのだろう。

 

 

―― リモートでもお仕事ができる中で、出社のモチベーションはどんなところに感じますか。

 

 

GRiD事業部という立場では、「業務としての出社」をしています。みんなが働きやすいビルというハードの部分を保たなければいけないという責任感です。

一方で、モラルやルールを守るのであれば使い方は利用者におまかせするというGRiDの特性上、「何が起こるかワクワクしながら出社する」というモチベーションもあります。今日は、まぐろの解体ショーがしたいという相談がありました(笑)。2Fの共用スペースの壁に絵を描くというあたらしい使い方に対しても、「ここに絵を描くんだ、しかもみんなで描くんだ、すごい楽しいじゃん!」と感じました。日々、こういう感じの面白さを体感しに来ています。

 

 

―― ちなみに、山口さんのお気に入りのワークスペースは?

 

 

いまの時期は屋上ですね! ランチタイムなんか居るだけで気持ちいいですし、こだわりがいっぱい詰まっているんです。最近では、屋上に野草を生やしてみたりとか、みんなでウッドデッキを張ってみたりとか、”職人”を感じられる瞬間があってすごく好きです。

 

 

―― 屋上を拝見しましたが、晴れている日は最高ですよね。

 

 

最高ですね! 私が映画好きということもあり、入居しているメンバーと「屋上で映画会をやりたいね」と話していたのですが、クラウドファンディングで共感してくれる人もたくさんいたので、この夏に実行するんです(「グリッド・ルーフトップ・シネマ」)。それもあり、屋上に対してますます愛着が湧いてきています。

 

この夏、Nagatacho GRiDの屋上は映画館に。夜風を感じながら映画を観たあと、考えたことについてごはんを食べつつ語り合ってみたい。

 

■「グリッド・ルーフトップ・シネマ」について

セレクションする映画のテーマは、”ethical(倫理的)”。食、宗教、LGBTQ、内戦など、普段じっくりと話さない問題について、夏の夜風が気持ちいい空間で一緒に話すことができる。イベントのときだけ現れるルーフトップ・バーでは、毎回料理人が作品にインスパイアを受けてメニューを考案したオーガニックな映画ごはん「FARM TO CINEMA(ファーム・トゥ・シネマ)」が販売されるというのも楽しみだ。

 

 

―― いま、会社と自分の関係性を、どのように捉えていますか。

 

 

「会社」という捉え方は、あまりしていないかもしれません。なんというか、「出会える場所」という感じですね。自分の力を発揮できる場所であり、自分がだれかのために力を注げる場所であり、あたらしい人に出会えて、自分が一緒に仕事をしたい人を見つける場所。社内/社外という感覚も、ほぼありません。GRiD事業部という私の立ち位置からすると、ガイアックスもひとつのテナントですし、入居するほかの会社と同じなんですよね。だから、ガイアックスを贔屓するわけではないし、ほかの会社と一緒にどうやって同じ水準で仲良くしてもらえるかっていうのを考えているので、特にそういうふうに思うのかもしれません。

 

 

一棟のビルの中でここまで「シェア」の概念が徹底されている事実は、ガイアックスという社名の由来になっている「地球はひとつの生命体」という考え方の一直線上にあるのがわかります。オフィスという場所に囲われて排他的になるのではなく、逆にその場が開放されることで、みんなで持ち寄った知識や経験やアイディアの恩恵をみんなが受けることができる。知っている人と知らない人の境界線が曖昧で、初めて訪れたときも疎外感なくそこにいることができたのが、Nagatacho GRiDという空間でした。

ガイアックスのメンバーとして働く人と会社の関係性も、被雇用/雇用という二項対立ではなく、もっと自由で曖昧なものとして捉えられます。この取材を通して、地球に生きる自分の人生の雇い主は自分なのだと感じることができました。

SNSの流行で「シェアする」ということばが一般的になりましたが、承認欲求や損得勘定ではない、ただ友人にするのと同じような意味でなにかを差し出す感覚の「シェア」が、永田町GRiDにはあふれているように思いました。これからも、この場所に共感する人たちが集まり、つながり、ハードとソフトの相互作用によって永田町GRiDがより良い空気で満ちていくのが楽しみです。

 

(インタビュー:山下・軽部、編集:軽部、撮影:平井)

 

■Nagatacho GRiD
NagatachoGRiDは働きやすい環境と様々なバックグラウンドを持つ人々を引きつけるコンテンツを提供しているコミュニティビルです。

■Gaiax Community
NagatachoGRiDを運営するガイアックスが提供するコミュニティ。メンバーは無料でイベント情報が受け取れるだけでなく、会場のコワーキングスペースなどが無料で利用できるようになります。