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オフィス移転企業インタビュー オフィス移転の目的やその効果を企業経営者に徹底取材!

神田 剛志  様

株式会社十十(jitto)

取締役/VFXスーパーバイザー 神田 剛志

  • 探していたのは“見たことがないような物件”
    天井高5mのオフィスは元・美術館。
  • 企業URL http://jitto.jp/
  • 移転先 松岡田村町ビル
  • 住所 東京都港区新橋5-22-10
  • 移転時期 2017年12月
  • 移転規模 約30坪→約135坪

 今回、ご移転をお手伝いさせていただいた株式会社十十(jitto)様は、数々の有名なCM、映画、ミュージックビデオ、某大河ドラマのオープニングムービーなどのCG、VFX(※)を手がけておられます。
株式会社十十様の公式TwitterやFacebookには携わられた作品がずらりと並び、きっと皆様も目にしたことがあるCMや映像がたくさんあると思います。
一風変わった物件を求めて、弊社にお問い合わせをいただいた取締役/VFXスーパーバイザー 神田様に、今回のご移転についてお話をうかがいました。
※VFX:視覚効果を意味するビジュアル・エフェクツの略で、現実には見ることのできない画面効果を実現するための技術のことを指す。

― ◆御社の事業内容を教えていただけますか?



一言でいうと、主にCM・映画・ミュージックビデオなどのCG、VFXを担う会社で、特撮など、普通では撮れないような映像を仕上げるのが仕事です。
何も撮影してない状況に対して0からモデリングして、CGを作成したり、撮影した役者や背景に対して、例えば手が伸びる、火が出る、背景を砂漠にする等のエフェクト的な要素をCGで足して加工したりします。
コンピューターで映像を細かく作りこみ、色調整をするのはもちろんのこと、撮影する前にこういった手法・仕掛けで撮影しましょうと監督やカメラマンに提案したり、撮影の現場で、ゴールとなる映像を見据えて、仕掛け(SFX)を考えたり、カメラでの撮影方法を提案したり、役者さんに希望の動きの指示を出すのも私たちの仕事です。


・職人集団の皆様が各自のプロジェクトに集中されています。


― ◆どのようにお仕事の依頼がくるのでしょうか。

企業様がCMを作られる場合、広告代理店が決まった後に、どの監督で撮るかが決まります。
私たちは監督さんの指名で声をかけられるので、監督さんが決まった時点で、カメラマン、照明、美術、ヘアメイク、スタイリスト、編集、CGなどのスタッフが集められていき、編集とCGは私たちというように指名がきます。
これがテレビとは少し違うところなのですが、私たちが手掛けているCMの方は、昔の映画の名残といいますか、映画で三谷組とか山崎組とかいわれるように、監督さんの組という感じですね。
プロデューサーがスタッフを決めることもありえるのですが、最近、CMのプロデューサーの場合は予算管理やクライアント様とのやりとりをメインにすることが多く、現場の物づくりは監督さんに任せることが主流で、監督さんが一緒にやりたいスタッフが集められることが多いですね。

― ◆技術が進化していくにつれ、ずっと勉強しつづけていかないといけなさそうですね。

私は、この業界ではかなり長い方なので、たくさん案件を担当して、たくさん現場を経験して、スキルは伸びていくとは思うのですが、歳を重ねていくと若い人がカッコいい、カワイイと感じる感覚とは絶対離れていくというのは一番の壁ですね。
映像をかっこいいと判断する人が25歳~35歳くらいとすると、その感覚がずれてくるとどうにもならないので、若い人がつくった映像を見るとか、若い人が好きそうなコンテンツを見るとか、ファッションや音楽も含めてアンテナをはるように心掛けています。


―◆移転前のオフィスについて教えていただけますか?また今回ご移転されることになった経緯についても教えてください。

麻布十番の30坪くらいのオフィスに約7年いましたが、今思い返しても、かっこいい愛すべきオフィスでした。
VFX業界は、昔のテレビの編集室・調整室が生い立ちになっているので、オフィスに関してもそのようなイメージの会社が多いのですが、私は、来客にも居心地がよく、働く人も気持ちのよい、CG・VFXの会社のオフィスに見えないようなオフィスにしたいと思っていました。
日本には少ないですが海外では、遊び心のある素敵なスタジオは多いです。
内装も僕らのことをよくわかっている知り合いの美術さんに手掛けてもらい、家具も作っていただきました。
少し形はいびつでしたが、一番天井が高いところは4m近くあったので、それも気持ち良かったですね。
移転に至った一番の理由は手狭になってきたからです。
いくら格好いいオフィスでも、人が満員になってくるとあまり格好良くみえなくなってくるといいますか、それでこの機会に移転を考えました。
また、もう一方で、私たちのような会社がある事を、学生や社会に知ってもらいたいという想いもありました。
CGやコンピューターを勉強している学生さん達にとっては、今、景気のよいIT・WEB関連やゲーム関連の企業の方が、未来があって魅力的に映ると思うのです。
私たちが携わっているCMは、昔に比べると広告予算がWEBにまわされるようになってきて、そこまでアッパーな業界に見えないかもしれませんが、将来を考える学生が「こんな会社もあるのか!」、「こんなオフィスで働きたい」「この業界も楽しそう」と思ってもらえるようなオフィスをこの移転の機会に作ろうと考えました。
社員が7年間頑張ってくれたおかげで、日本の映像業界での私たちの会社の地位は、技術面では確立できたと思います。
+αとして、私たちのお客様はこんな場所で働くのは好きかなと考えてオフィスに反映できれば、私たちにとっても営業ツールにもなりますし、こんなオフィスを構えているので、粗悪な作品を作るわけには行かないですからね。


― ◆オフィスを探される際に重視していたポイントは何でしょうか?

営業担当さん泣かせかもしれませんが、一言でいうと、「見たことのないような物件」がよかったですね。
ロンドン・ロサンゼルス・ニュージーランドなど、海外のプロダクションを見ると、飲み屋なのか美容院なのかガレージなのか分からないようなところにコンピューターをおいて映像をつくっていて、「これはいい!」と思ったのです。
日本には内装にこだわっている企業はいくつかありますが、元の箱自体も特殊な物件はほとんどないですよね。
私がこの会社を立ち上げる前に、ニューヨーク、ブルックリン区のダンボ地区に訪れた際、倉庫街の中にいい感じのカフェや本屋さんがあってとてもいいイメージを持ちました。
日本で都心から離れずにそのような場所があるかなと考えながら、“都心”、なおかつ“一風変わった物件”という点を重視して探し続けました。


― ◆松岡田村町ビルのご入居に至るまでの経緯を教えていただけますか?

とにかく山のような物件が見たいけれど、疲れてきた頃に、オフィスナビさんのサイトを見て、検索がしやすかったので、ブログに掲載されていた物件で問い合わせをしました。
私が、変わった物件を探していることを伝えると、野村さんから、松岡田村町ビルも提案されたのですが、このビルは、募集がはじまった当初から実は知っていて、元・美術館で天井高も5m近くあり、理想的だなと思っていました。
その当時は募集賃料がとても高くて、手が届かないと思っていたのですが、問い合わせたタイミングの少し前に募集賃料が大幅に下がったということを聞いて、実際に内見することになりました。
具体的に社内で話し合って、現在の経営状況や返済の見通しなどを考慮すると、がんばればなんとかいけるのではないかということになり、すぐに申込をしました


・松岡田村町ビル 外観

・開放感のあるビルエントランス


ところが、募集賃料が下がったタイミングだったため、なんと他の会社からも2社、先に申込が入ってしまって3番手になってしまったのです。
おそらく1~2番手の会社で成約してしまいそうと言われていたことに加え、ビルのエントランスも平日18時以降と土日終日、鍵を開けられないということが私たちの業種では致命的だったこともあり、一度はあきらめて他の物件ですすめようとしました。
ところが、申込から半月くらいたった頃に、先にはいった申込が流れたと連絡をうけ、エントランスの問題も、野村さんに交渉をお願いし、貸主様のご協力により夜間や休日はインターホンで室内から解錠を可能にしていただけることになったので、急展開で契約まで進めることになりました。
私がつくりたいオフィスの方向性と貸主様が入居してほしいオフィスのイメージがたまたまマッチしたようで、貸主様にも気に入っていただけたことが契約をすすめる上で非常に大きな後押しとなりました。


― ◆内装のコンセプトやこだわりを教えていただけますか?

・8Fでエレベーターを下りると扉の向こうに広がる空間に期待が高まります。

・室内に足を踏み入れると大きなコンテナが目に飛び込んできます。


野村さんからの提案で2社の内装会社さんにコンペを依頼することになりました。
両社とも過去にてがけられてきた内装実績が素晴らしい企業だったので、弊社の要望やテーマを細かく伝えすぎず、どのような提案をしていただけるのかコンペ当日まで楽しみに待とうと考えていました。
「とはいえ、何かテーマはありませんか?」と両社から聞かれたので、「私たちは、広告会社や芸能プロダクションほど華やかなイメージではないので派手すぎない感じでと」と伝えました。
どちらかというと私たちは職人集団だと思っているので“工場”とか“工房”などのイメージが理想でした。ラグジュアリーさやバブリーさが出過ぎるといやらしくなるので、その点はですぎないように配慮しました。


・天井高を活かしてコンテナが3ヵ所配置されています。


私はスーパー民主主義で、自分が全てきめるのではなく、家具や壁の色のチョイスも新人にまで意見を聞こうとするタイプなので、内装業者のご担当者も大変だったと思います(笑)。
物件がきまれば野村さんとのお仕事は終わりかと思っていましたが、内装業者さんとの進め方にも色々とアドバイスをいただけて、とてもありがたかったです。


― ◆オフィス移転をして皆様の反応はいかがでしたか?

・コンテナの上にはこたつが置かれていました。


私のまわりにもオフィスにこだわりのある方はいますが、ご来社いただくと皆様、非常に驚かれますし、想像以上の反応でした。クライアント様がご来社されると、「私もこんなオフィスで働きたい」とおっしゃいます。 採用の面では、色々な企業をみているインターンの学生さんにも、他の企業とは相当様子が違うので印象に残るとは思いますね。


・2ヵ所のコンテナ内は試写室に

・編集された映像は試写室でチェックが行われます。


― ◆今後もしオフィスを移転されることになれば、ますますハードルがあがって大変ですね。

・キッチンカウンター付のリフレッシュスペース


倉庫は天井高もあって面白いですが、倉庫は都心にはなかなかないんですよね。
時々、目黒区とかでも見ますが、材木を積んだトラックがそのまま入っていく家みたいなところとかがそのまま空かないかぁと気になりますね(笑)。
私が最初、会社をつくったときには、鎌倉に建物を建てて、コンピューターを並べて、例えばサーフィンをする人は早く来てサーフィンをして、シャワーあびて仮眠をとってもらっている間に私たちが出社して仕事をはじめる・・・みたいなことをイメージしていたのですが、その当時はちょっと時代が早すぎるなと思って(笑)。
まだ私たちの業界は、テレビ局や広告代理店が都心にあって、それに紐づくプロダクションも近くにないと仕事にならないという現実がありますので、今は仕方なく都心にいますが、さらにネットワークが発展して、どこにいても仕事ができるようになれば、将来的には創業当時に描いていたイメージに近づかせたいですね。


・ロゴ入りのマットはお客様がプレゼントしてくださったそうです。

・オープンスペースのソファー席


― ◆この度はインタビューさせていただきありがとうございました。

・オフィスナビ野村(左)とjitto神田様(右)




◆担当営業(野村)より


この度はご移転のサポートをさせて頂き、誠にありがとうございました。
神田様から株式会社十十(jitto)様が手掛ける仕事、オフィスへのこだわりや社員への想いを伺うにつれ、私自身もいつの間にか、とてもワクワクしておりました。
松岡田村町ビルの当区画は、天井高5m以上、元美術館ということもあり、業界でも有名なビルで、絶対に自分が決めたいと思っていたビルだったので、神田様にご興味をもって頂けたときはとても嬉しかったです。
紆余曲折ありましたが、株式会社十十(jitto)様であったからこそ、あの魅力的な空間を活かすことが出来たと思います。
物件選定や内装の詳細についても、社員皆様の意見をとても大切にされており、会社・社員に対する愛情をいつもとても強く感じておりました。
あの空間から生み出される株式会社十十(jitto)様の愛のある作品をこれからも楽しみにしております。
進化し続けるオフィスにまた遊びに行かせて頂きます!

◆編集後記

エレベーターでビルの8Fに到着した瞬間、驚きや高揚感を非常に感じるオフィスでした。
天井高5mの希少な空間が最大限活かされており、デザインが持つ力を感じることができました。
3番手の申込からの大逆転というドラマチックな展開のご移転でしたね。
貸主様も大変喜んでくださったと聞いております。
“職人”や“工房”をテーマにしたこの空間から、また素晴らしい作品がはばたいていくことを楽しみにしております。

営業担当:野村
インタビュー:服部
写真撮影:平井

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