コロナ禍で再注目! 創造性を高める「クリエイティブオフィス」とは

いい仕事にクリエイティビティは大事とはわかっていても、社員の創造性を高めるために具体的にどうすればいいか悩んでいませんか? 今回は、“場” から創造性を刺激するための「クリエイティブオフィス」という考え方をご紹介します。

コロナ禍で再注目!? 「クリエイティブオフィス」って?

『クリエイティブオフィス? またおしゃれなオフィスの新しい呼び方か……』
いいえ! 「クリエイティブオフィス」という概念が初めて提唱されたのは、さかのぼること15年ほど前。それに、ただおしゃれな内装デザインを施したオフィスのことを指すわけではありません。
当時、この概念の普及を推進した経済産業省は、「クリエイティブオフィス」を次のように定義しています。
知識創造行動を誘発する、空間・ICTツール・ワーカーへのはたらきかけと、組織の目標とプロジェクトのゴールに向けたマネジメントの双方を備え、組織の創造性を最大限に発揮するための働き方に適した “場”」
……少しかみ砕くと、社員が創造性を発揮しながら働くことができる環境が整ったオフィスのこと。コロナ禍でリモートワークが普及し、オフィスの意義が問われるようになった今、再注目されている考え方なんです。

 

創造性を高めるヒミツは「知識創造行動」にあり!

では、「クリエイティブオフィス」が誘発する「知識創造行動」とは何でしょう? これは「SECIモデル」という経営学の概念で定義されているので、簡単にご説明しますね。

図:筆者作成

「SECIモデル」とは、12の知識創造行動をまとめた4項目のアルファベットの頭文字を取ったものです。具体的には、個人のデスクを中心として、このような行動が発生することが社員の創造性を高めるとされています。

①Socialization(共同化)

ふらふらと歩いたり、人と人が接したり、視線を交しあったりすること。

②Externalization(表出化)

軽く会話を交したり、ワイワイガヤガヤ/ブレストしたりといったコミュニケーションに加えて、絵で表現したり何かに例えたりすること。

③Combination(連結化)

試したり、実践したり、理解を深めたりすること。

④Intermalization(内面化)

「調べる・分析する・編集する・蓄積する」といった行動に加えて、真剣な討議をしたり、人に意見を聴いてもらったりすること。

なるほど。クリエイティブオフィスを創るには、気軽なコミュニケーションと濃密なコミュニケーションに加えて、ひとりで集中して思考を深められる空間が大事なんですね!

 

クリエイティブオフィスを実現する3つのポイント

1.空間設計

クリエイティブオフィスを実現するには、まずは何と言ってもオフィスの中にシチュエーションに応じた空間を用意する必要があります。ここでは、上記の「知識創造行動」が生まれるかどうかを意識しましょう。たとえば……

  • フリーアドレスを導入し、部署を超えたコミュニケーションを生まれやすくする
  • コーヒーを飲みながら雑談ができるキッチン/カフェスペースを設ける
  • 気軽に利用できる会議室を増やし、議論を交わしやすくする
  • ひとりで作業に集中しやすい個室ブースを用意する
  • オフィス全体が見渡せるような構造にする

こんなふうに、目的にあわせた空間づくりができるといいですね。

 

2.ICTツールの活用

社員が仕事の目的に合わせた場所で気軽に働けるよう、ICTツールの活用も不可欠です。ネットワーク環境の整備やペーパーレス化など、空間設計がきちんと機能するように調整することも忘れないようにしましょう。

3.社員への意識付け

クリエイティブオフィスを整備しても、社員の意識が伴わないことには思ったような効果は生まれません。クリエイティブオフィスの意義やそこで求められる行動が浸透するように、社員への意識付けもあわせて行う必要があります。

ここまで見てきたように、クリエイティブオフィスは社員の創造性や生産性を高め、企業を成長させます。それだけでなく、企業ブランディングや採用力の強化にもつながるので、オフィスのコンセプトづくりの参考にしてみてくださいね。

 

とはいえ、イチからクリエイティブオフィスを創り上げるのは結構大変! 「居抜きオフィスナビ」でご紹介している物件には、この考え方を取り入れた空間設計をしているものもたくさんあります。興味のある方は、ぜひ一度ご覧ください。