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オフィス移転企業インタビュー オフィス移転の目的やその効果を企業経営者に徹底取材!

柴山 慶太 様

株式会社ビューポイントコミュニケーションズ

代表 柴山 慶太

名古屋市名駅。近年の再開発により次々と超高層ビルが建設されるこのエリアは、栄と並んだ名古屋の代表的ビジネス街である。

地名の「名駅(めいえき)」は「名古屋駅」の略称。JRをはじめとした各路線が停車し、中部地方最大のターミナル駅として機能している。 また、広大な売り場面積を持つ駅ビルの「JRセントラルタワーズ」はその利便性を生かして多大な集客力を誇り、名古屋のランドマークとなっている。



この発達目覚ましい名古屋駅から歩いて6分の場所に、新しく「うつ病再発予防トレーニングセンター」がオープンした。既に同市内の千種と岐阜県で発達障害の方々に向けた就労支援センターを運営されている、株式会社ビューポイントコミュニケーションズ様を訪問した。








VPCと柴山社長について


― 事業内容についてお伺いできますか。

事業内容は主に二つです。一つはうつ病により休職や離職をされている方へ再発を予防するリハビリセンターの運営、もう一つは発達障害を持たれている成人の方への就労支援事業です。後者の事務所は千種と岐阜にあり、どちらもオフィスナビさんに仲介していただきました。

― いつも本当にありがとうございます。

とんでもないです。創業時からずっとお願いしていて、今回の名駅でもお世話になりました。物件としては四つ目ですね。

― ありがとうございます。御社のHPから柴山社長の経歴を拝見して、非常にユニークだと感じました。大学在学中に「学生」という就労を支援される立場でありながら、既に就労支援団体を立ち上げていらっしゃったんですね。

はい。今から思えばその頃から問題意識があったのかもしれません。当時の就職活動は、企業の情報はほとんど無い状態で就職サイトから応募する方法が一般的でした。僕はそれを不便に感じて。就職活動をしている時、企業について何かしら教えてもらえると助かるのになぁ、と思いました。その後、自分は就職活動を終えていたこともあり、後輩に向けて何か出来ないかということで団体を立ち上げました。



― (株)ビューポイントコミュニケーションズ 代表 柴山様 ―

内容は今では普通のことですが、どちらかの企業の内定者を呼んで、三年時にしていた就職活動の内容を聞いたり質疑応答する場を設けるというものでした。

― なるほど。アルバイト等ではなく卒業後の就職に対するサポートをされていたのですね。

そうですね。名古屋では割と有名な私立の大学でしたので、大手企業へ進んだ人もいましたし、独特なところではベンチャーに入社した人もいました。そういう活動が就労支援としては始まりだったように思います。


― そして卒業後は人材サービス会社に入社され、その後、障害を持つ方の就労支援事業へと転職されたのですね。

そうですね。

― 在学中は経営学部とのこと。今の事業とは異なる内容かと思いますが、何故 障害者支援の道へ進まれたのでしょうか。

初めて入社した会社ではIT系の転職支援を経験しました。応募される方が発達障害というケースが多々ありましたし、業種的にうつ病になる人も多かったです。

提携先の企業から報酬をもらうので、会社としてこのような方々を紹介するのは難しいのですが、「働きたい」相談者さんは困っている。そこを何とかしたいと思い転職をしました。仕事を探す中で、障害を持っている方を対象にした就職支援の会社があることを知り、株式会社でこのような事業を行っているところを見つけたので、それではと東京の会社に就職しました。

ですから経営学部だから人材系を選んだ訳では無いんですよ。当初は起業すら考えてはいませんでした。経営がやりたかった訳ではなく、問題意識に沿って動いてきた感じです。

― その後ビューポイントコミュニケーションズを設立する前にも、障害者の方々以外に就労支援を行われましたが、それらの活動を通して感じたことはありましたか。

二社目に勤めた会社は障害者の就労支援を行っていました。そこでは、今 僕たちが支援しているような方々は対象からこぼれていたので、彼らに対しても支援する必要があると感じました。



僕は、すでに誰かが行っていることは、改めてやらなくても良いと思っています。

一社目で人材派遣会社の営業をしたとき、仕事は嫌ではないけれど、これをするのは自分でなくても良いし、本当はもっと他にやるべきことがあるのでは、と感じる機会が多くありました。

そうして転職したのですが、障害者の支援事業をしている団体は他にもあったので、同じことを二社目でも感じて。もっと困っている人はいるよね、と。

障害者支援サービスがあっても対象から外れてしまう方はいらっしゃるので、そこに対して仕組みを作りたいと思い、ビューポイントコミュニケーションズを立ち上げました。 東海地方で発達障害の方を専門に支援しているのはおそらく当社だけです。うつ病患者に関しても、広く浅くという団体はあるのですが、専門にしているのは全国的に見て少ないと思います。


― 支援の対象から外れてしまう方々を対象にした事業ですね。

はい。これまで他の人が扱っていなかったゾーンには、色々なビジネスの可能性があると思います。特に障害や疾病には顕著に感じました。


就業支援を通して、今 感じること


― 今現在も大学や医療機関で精力的に公演等をされておりますが、多くの方に呼びかける中で感じることはございますか。

そうですね。強く思うのは、医療や福祉といった支援する側にはそれぞれの文化があり、そこに固執している部分があるので、もう少し歩み寄れれば良いと思います。僕も最初は二つの違いが分からなかったのですが、ふたを開けてみると、これらは全く別のものでした。

医療は「何故、人はこうなったか」という視点から治療をしますが、福祉は「地域にどう繋いでいくか」を考えます。これらの連携が上手く出来ていないんです。

加えて、二つの間には上下関係のような意識があるように感じます。就労支援を行う際はお互いに未経験の部分を補い合うことが出来るので、仲良くやれれば良いのですが文化が違うために共通言語が少なくて。
その辺りが難しいと感じます。

特に名古屋は双方の繋がりが少ないですね。医者、精神保健福祉士、一般企業の人事の方々等の交流会を頻繁に設けていますが、まだまだ足りないです。それぞれの支援が別々で、面からの支援が出来ていないように感じます。


― そうですか…。難しいのですね。

難しいですね。はじめから全ての方が理解しあうことは無理なので、まずは理解を示してくれるところから歩み寄れれば良いなと思います。

― 医療側にも連携して支援できるよう活動されている方はいらっしゃるのですね。

はい。いらっしゃるので最初はそこからです。企業に関しても同様で、うつ病で休職されている方に対してその時点で解雇という会社や、支援団体と連携してご本人をサポートしていこうという会社があります。前者に対していきなり理解を求めることは難しいでしょうが、後者のような理解のあるところから、まずは実績を作っていくことが重要だと思います。



― 食事会の他にも連携を取るためにされていることはありますか。

ベーシックな食事会の他に、今後は「皆が共通した何か」を行う方法も取り入れていく予定です。その一つとして、今はフットサルを企画しています。特にうつ病の方に対して、企業側は本当に大丈夫かと不安に感じる部分があると思います。ですから、企業の人事や一般の市民の方、当社のスタッフ等でとりあえず一緒に何かをして、普通の人たちだと理解していただきたいですね。

フットサルのような活動は仕事ではないので、当社に通っている方や人事の方々も楽しめるし、そういうニュートラルな交流ができればと思います。

― ヒーローに仮装してゴミ拾い。新聞で大きく紹介されました! ―

その他に最近ですと、メディアにも取り上げられましたが、ヒーローに仮装してゴミ拾いをしました。当事者の方々の中には自己肯定感が低い方も多いので、仮装をして相手に顔が見られないことが良かったようです。

相手に顔は見えないけれど、ゴミ拾いをしているので感謝され、ヒーローの格好なので子供たちにも好評で。そういう活動を企業の人事の方々と一緒に出来ると良いですね。

― 問題から少し離れたところで信頼関係を作り、風通しの良い状態にしているのですね。

そうですね。企業に対していきなり採用をお願いしてもハードルが高いと思いますし、まずは知ることから始めるのが双方にとって良いと思います。

相容れられないのは、お互いのことを知らないから当然です。当事者側も企業は自分に対してマイナスイメージを持っていると思い込んでいる場合があるので、実際に話してみるのが解決策だと思います。

― 確かにそうですね。活動を通して企業側の受け入れ態勢を実感できれば、当事者の方々は安心して就職できますね。


VPCのスタッフ


― ビューポイントコミュニケーションズ様についてお伺いします。スタッフはどのような方が多いのでしょうか。

ほぼ九割が中途で、約1/3が医療や福祉の世界で働いた経験があり、看護師や社会福祉士といった資格を持っています。あとの1/3は僕のように一般の就労支援の企業で人材紹介や転職支援をしていました。残りの1/3は地域のNPO等で働いていた職員です。
一般的に就労支援団体には、医療・福祉と一般企業経験者の混合したタイプ、もしくはどちらか一方というタイプが多いので、当社の内訳は珍しいと思います。

どちらか一方に偏ってしまうと、福祉、医療に詳しくても企業とのコミュニケーションが上手くいかなかったり、極端にビジネス寄りになってしまうことが起きるかと思います。当社に関しては縁あってNPO経験者もいるので、バラエティに富んでいますね。加えて、発達障害を持った方も働いています。

― 一つの物事を様々な角度から見られる状態なんですね。

そうですね。まとめる方は少し大変なんですけど(笑)。色々な人がいて多様性があります。平均年齢は36歳、上は65歳から下は24歳と年齢層も幅広いです。人数は正社員と短時間正社員で17名、パート、アルバイトで3名です。

「ビューポイントコミュニケーションズ」という社名には、色々な視点があり、それらがコミュニケーションをして新しいものが生まれるという意味があります。僕は答えを一つにしてしまうのは違うと思っていて。「まぁ、こういう人もいるよね。」というスタンスでありたいです。







― HPで求める人物像を拝見して、職員の皆さまは自分を客観視できる方が多いのでは、という印象を受けました。

そうですね。うつ病の方が一番イメージしやすいと思いますが、一直線の方が多いんです。良い意味では真面目で、主観のカメラをしっかりと持っているのですが、視野を広げることは少し苦手で。
ですから職員側は新しい視点を伝えるためにも、客観的なカメラを持っている必要があります。当事者と同様の目線しか持てないと改善の変化はあまり起きませんし、職場に復帰しても再発する可能性があります。

職員は当事者に対して新しい視点を強制するのではなく、少しでも「そうかもしれないな」と思ってもらえるよう話をします。
例えばバリバリ働くことだけが正義ではない、当社のように週四日でも「短時間正社員」という形で正社員と同じ待遇で働ける、という事実を伝えるとします。
そのためには客観視が出来ないと難しいんです。

あとは主観的な視点だけだと相手の状態に飲み込まれてしまいますし、精神的に自立していない可能性もあります。とはいえ客観視が出来るだけでは信念が無くなってしまい、それもまた問題なんですけどね。要は主観があり冷静に客観もできるバランスですね。


2つのサービス


― 個人向けと法人向けのサービスがありますが、まずは個人向けサービスについてお伺いできますか。

個人向けサービスには「ビューズコース」と「ストレングスコース」があります。「ビューズコース」は主にうつ病の方向けのサービスです。機能の一つに病院から診断が出て休職されている方や、休職後に退職されて働く意思はあるけれど動けずに自宅療養している方に対して、まずはこちらへ週に五回通所していただき、生活のリズムを整えてもらいます。

二つ目に、うつ病という疾病の理解を深めていくことが挙げられます。精神科によってはうつ病の詳細を説明してくれないところもあるので、当社の方でそちらをしたり、コミュニケーションのリハビリを行います。

こちらに関しては実際に自分で体験する方が理解しやすいですから、方法の一つとして、ロールプレイやロジカルシンキングの研修をグループで行います。
ロールプレイでは相手の行動に自分を重ねて客観視出来るので、気づきは多いようですね。

テーマに対して論理だてながら答えを推測していくロジカルシンキングは、仕事から離れてあまり使っていなかった頭をリハビリできます。

グループワークなので一人が全てを分からなくても大丈夫ですし、他の人の意見を聞くことで新しい発見もあるようです。こういった内容は病院で行っていないので、当社の特徴ですね。あとはオプションで再就職に向けたインターン先の紹介、就労先の案内を行っています。


― それでは「ストレングスコース」はどうでしょうか。

発達障害の「ストレングスコース」は、若者無業者や大学を卒業したものの発達障害のために就職出来なかった方、勤労経験の少ない方を対象にしています。「働く」 という経験が無いのでまずは実習に行ったり、インターンを体験させていただける企業を探してそのコーディネートをします。
二つ目に「ビューズコース」と同様、発達障害の疾病を理解する内容があり、三つ目に就労にあたってのビジネスマナーやPCトレーニングを行います。

「ビューズコース」と「ストレングスコース」は似ていますが、失業者と無業者という勤労経験の有無で、多少内容が変わります。うつ病の方の中には元経営者や高いキャリアの方もいるのでレベルは高いですね。それぞれのコースに共通して言えるのは、障害者手帳を持っている方は半数ほど、あとの方は診断書のみになります。


― 「グレーゾーン」と呼ばれる方達ですね。

そうですね、グレーゾーンの方が多いです。障害者手帳を持っていると「障害者」という位置づけになります。うつ病もしくは発達障害という診断は出ていても障害者手帳を取れない方たちが「グレーゾーン」に入ります。

その方達は最初に申し上げた通り、支援制度の対象から落ちてしまうんです。障害者施設へ行くことに抵抗はあるけれど、健康な人と同じかと言えばそうではない。そのような間にいる方達を上手くサポートする必要性があると思います。


― そうですよね。見た目は多くの方と変わらないから、だからこそ辛いんですよね。

辛いと思います。めちゃくちゃつらいと思います。

― コースにある「疾病を理解する」という内容は、当事者の方がとても助かるのではないかと思いました。

そうですね。そこで一番大きいのは、当事者同士で気づき合えることのようです。
こちらには毎日20名ほどの方が通所されます。その方達でディスカッションをすると、同じ悩みを抱えている人の中にも自分とは違う考えがあり、そういう人の話を聞くことで、新しい視点に気づける方が多いように感じます。
職員からお話しさせていただくよりも、そちらの方が良い気づきがある場合も多々あります。

妊婦さんの産後うつを予防するサークルがあるのと同じで、やはりうつ病の方も一人でずっと家にいて悩みの吐き出し口の無い状態が続くと、身体や感情がどんどん弱り、ネガティブになります。
何かしら感情の出口を持てればそれは防げることなので、今後は農業やスポーツといった活動を検討しています。

― 活動を通した気づきをシェアすることで新しい発見も ―




うつ病、発達障害とは


― 「うつ病」と耳にする機会は増えましたが、私も含め、イメージが先行して実際はどのような状態なのか分からない方も多いと思います。

新型うつを除くと、うつ病の問題の一つに、ご自身や家族、企業が疾病をあまりまだ理解されていないことが言えると思います。まずは自分が理解していないと、相手にきちんと伝えられませんよね。
さらに家族、企業のような周囲も知らないので適切な対応が出来ず、せっかく仕事に復帰しても上手く働けなくて、やっぱりうつ病はダメだというイメージが定着しているように感じます。

うつ病の症状はインターネットを見れば分かるのですが、おそらく「理解すること」の仕組みは今まで無くて。その状況がマイナスイメージを作り、悪い先入観を植え付けているのでしょうね。
企業側に置き換えて考えると、うつ病で休職している人がいる環境をマイナスに受け取る会社もあると思います。

実際にそのような社員がいた場合、どのような対応が良いのか解らないし、人によっては身体的に不自然な症状が現れる方もいるので。働くことは無理だと思われるのでしょう。僕だったら身体的な症状は薬の種類や量が適切なのかと考えたり、休息の必要性を検討するのですが…。

うつ病になった当初というのはかなりヘビーな状態で、そこから休職等を経て緩やかに回復し、もう大丈夫だろうという段階にまでなった方は、ある程度は働けます。

けれど現状は、多くの人がうつ病をひと括りで認識されているので、回復してきた際も初期の悪いイメージと同じように受け取られています。そういう理解不足が問題の根本にあるのだと思います。

― なるほど。

ですから働けるところまで回復した方達が誤解されないために、当社は社会で成果を出し、うつ病の方がもう一度、職場で出発できるような仕組みを作っています。他にも色々と問題意識はあって、やった方が良いことはたくさんあるんですけどね。

― 壁は大きいですね。

壁は大きすぎて強いなぁ、みたいな感じです(笑)。

― 法人への働きかけも非常に重要ですね。企業に向けた受入れ体制のご提案は、当事者の方々にとって心強い事業かと思います。どのような企業がサービスに興味を持たれるのでしょうか。

こちらは労働基準外各所の外郭である、労働基準協会と連携をとって運営しています。
お問い合わせをいただく中には大企業もありますし、名古屋で顕著なのはシステム開発といったIT系です。他には住宅関係の営業等が多いように感じますね。

今はまだ実際の件数が少ないのですが、すでに困られている企業様は多くあるようで、特にIT系の企業ではうつ病になった社員さんが多いと聞きます。


― 本棚に並ぶ関連書籍 ―

― 発達障害についてもお伺いできますか。

先天性の障害ですが、人によっては全く生き辛さを抱えていない方もいて、そういう場合は障害に含まれません。

当然僕にも得意不得意がありますし、人には皆、能力の高い部分と低い部分があります。発達障害とはその差の問題だと思います。その差によって支障の出るケースが発達障害だと思います。

当社には200ページ以上ある厚い本を、2時間足らずでワードに完璧に要約できる職員がいます。才能ですよね。彼女はほぼ全てのジャンル、医療のような難しい本でも要約することが出来ますが、人の顔を覚えるのは苦手です。極論ですが、一般企業で社長に向かって「貴方は誰ですか?」と聞きかねないくらいです(笑)。


そのような得手不得手を上手くコーディネートしていくこと、得意分野を伸ばしていくことが当社の仕事です。加えて、不得意分野を支障のない状態にまで持っていくことや対策を伝えることが出来れば、あとは強みが残ります。

中には強みの無い方もいますよ。
発達障害というと天才的な部分と問題のある部分のどちらか、というイメージがありますが、人によっては才能が見えない方もいます。けれどもそれは、今の社会で見出せていないだけだと思います。例えばエンジニアの方がIT企業で活躍されている今を数年前は想像できなかったように、 10年後の世の中では彼らが大活躍しているかもしれませんね。

― 職場側はどのように当事者の方々と向き合えば良いのでしょうか。

発達障害のケースだと、職歴の有無やスキルの高さにもよるのですが、皆さんに共通して言えるのは曖昧な表現が苦手なことです。例えば、「丸を書いてください」と伝えても、漢字の丸なのか図形の丸なのか、図形でも長細い丸なのか球体なのか分からないんです。
確かに「丸を書いてください」に対するアンサーは複数あるので、彼らの考えももっともですね。僕らはそのあたりを、温度感を読み取りながらやっているんですね。

ですからやるべき事は、目的を明確化することです。「デザイン会社に依頼するための丸を描いて」と伝えれば、おそらく漢字の丸ではなく図形の丸を描いてくれます。視覚で理解する方が多いので、ホワイトボードやメールに指示を書くのも良い方法です。
加えて、順番を指示することです。僕の場合、当社で働いている発達障害の職員への指示は目的、フロー、納期の3点を必ずメールで伝えるようにしています。


それさえ行っていれば最低限のコミュニケーションのズレは起きなくなります。これらは本来、ビジネスでは基本的なことですが、多くの人はあうんの呼吸で省く機会が多いと思います。 でも、発達障害の方に対してはきちんとそれを行わないと、今度は二次的にうつ病が発生する可能性があるので、やはり重要な方法です。

― なるほど。

診断を受けていなくても発達障害の傾向がある方は、今の社会に割と多いと思います。そういう方に対して企業側はどのように対処すれば良いのか困っている、という話も聞きますね。


― とてもナイーブな内容ですから、そのことをご本人に伝えることは難しいでしょうね。

はい、一番そこが難しいと思います。当社に来ている当事者の方の中で、「もしかしたら発達障害ではないか」と思いつつも病院には行かず、それでもやはり上手く働けないので仕事を退職。それから診断を受けてみたら、やはり発達障害だった、というケースがあります。

― 上手くできない理由を分からずにいるよりは、逆にラクになるのかもしれませんね。

まぁ、少し受け入れるのに時間はかかりますけれど、そうですね。


「働きたい人」が皆、仕事を選べるように


― 柴山社長ご自身の考えとして、うつ病や発達障害の方に限らず、今後「働くこと」がどのようなものになれば良いと思われますか。

「働くこと」に正解はありませんし、それは各々が決めることだと思うので、こうなって欲しいという答えはありませんね。ただ、「働きたい」と思っている人が仕事を選べないのはフェアじゃないと思います。
多くの方は人材紹介会社で転職支援を受けられますが、うつ病の方は出来ません。ですから、そういう方達も同様のサービスを受けられ、働けるようにしたいです。

最近ではコワーキングスペースが広まり、フリーランスや起業、兼業と働き方が多様化してきました。多くの人達と同じように、うつ病や発達障害の方も働き方を選べて良いと思います。

このようなサービスを提供する仕組みはおそらく誰も作らないと思うので、この「仕組み作り」が必要かと思います。

― 社会がそのように変わっていけば良いですね。

そうですね…。個人的に、社会は変わらないし変えられないと思います。
ただ、一人ひとりが意識していけば少しは良くなると思っています。いきなり僕一人で社会を変えることはたぶん難しいでしょうが、一人ひとりが問題と向きあい理解を深め、自分の半径10mぐらいの人達が良くなるように行動出来れば良いですね。


例えば家族がうつ病になったとき、接し方を少し意識したり当社のような支援に繋いであげられれば、その方は少なくとも自殺するような結果を避けられると思います。その分、社会は良くなると思いますし、同じような家族が増えればもっと良くなるのではないでしょうか。そうした中で、もしかしたらうつ病がゼロになるような技術や医療が生まれるかもしれません

実際問題、うつ病はなかなか無くならないと思いますが、そんな風にちょっと良くなるくらいに一人ひとりが意識すれば良いんじゃないかな、と僕は思います。


― 今後のVPC様の展開をお伺いできますか。

企業向けのサービスをしっかり作っていきたいです。今はBtoCで個人に向けてのトレーニングを提供していますが、そちらの結果が出始め、ノウハウも溜まり、職員の育成ができていることを考えると、そこですね。
今は「うつ病になった後にどうする」というサービスなので、当社はまだ課題の川下にいます。でも課題の根幹を叩きにいかないと課題は無くなりません。そのために、今後は理解を示してくれる企業さんにアプローチすることと、そこに提供するサービスの質をさらに上げていく必要があります。


― 今後のVPC様の展開をお伺いできますか。


― オフィス移転のお話をお伺いできればと思います。これまで当社で四件担当させていただきましたが、それぞれどのような経緯で移転されてきたのでしょうか。

千種のオフィスは創業してから約二ヶ月後に事務所をつくると決めたからです。ネットで検索をしていたらオフィスナビさんを見つけ、メールで問い合わせました。僕が結構忙しくしていたことと、仕事の途中に電話で集中力をそがれるのが嫌なので、やり取りは基本的にメールで行いたいと思っていました。

営業担当の野村さんは最初からメールで対応してくださいました。実は物件の契約日までお会いしなかったんですよ(笑)。慌ただしくしていたので、そのような対応はとても助かりました。

岐阜の方は、そちらから通っている職員が千種の事務所にいたので、そこにも出そうということになり、お声掛けしました。決めたのは最初に内見した物件でしたね。他にも色々と見ましたが、最終的には一件目で見た物件になりました。

こちらの名駅は、新しくうつ病のサービスを行うために少し広めの場所を、ということでお話を進めました。どちらの事務所も純粋に必要になったので依頼をした、という感じですね。

― オフィスを探す上で、重視されたのはどのような点だったのでしょうか。


名駅の事務所で言えば、名古屋市の規定を満たせる物件であることを前提に、一番に思ったのはオーナーさんでした。僕はオーナーさんに恵まれていて…。千種も岐阜も名駅も、とても良い方達です。3拠点ともいわゆるオフィス物件ではなく、住宅の一部を貸し出している個人の持ち主さんで、当社のような事業に共感してくださる方々です。

物件を探している途中から、内見時にオーナーさんが立ち会われるのか野村さんに確認するくらいでしたよ(笑)。いらっしゃらない物件だと僕の場合、あまりご縁が無く、たとえ入居してもなかなか上手くいかないと思います。来て下さる物件なら行こうかな、という感じでした。

こうして、実際にお会いすると皆さんとても良い方たちでした。細かい条件を言えば価格や立地等々ありますが、探す上で一番重視した点はやはりそちらでした。



オフィスナビさんはご提案下さる際、「こんな方が貸主ですよ。」と教えてくださいました。もちろん他の物件も内見するのですが、野村さんや小林さんからアドバイスのある事務所に決める率が高かった気がします。他社さんにお願いするとこういったニュアンスを始めから伝えなくてはいけないし、なかなか伝わらないかと思います。

― メールで対応させていただいたことが良かったとのことですが、他に野村にお任せいただいて良かった点はございますか。

僕はけっこう相性の合わない人とは合わないのですが、野村さんや小林さんとは違和感がなかった点ですね。他の業者さんのお話で、問い合わせに対して物件を提案するというお返事をいただいてからその後、連絡の無いことがありました。
何のために依頼したのかとガッカリしましたが、野村さんにはそういうことがなくて。

約束を守ってくれるのはとても助かるので、その点でもお願いして良かったです。提案も早いですし、こちらからの要望に対してNOと言わず、「とりあえずやります」と言って下さいました。条件交渉のお願いも引き受けてくださり、とても助かりました。
オフィスを借りるのは初めてだったこと、創業当時は資金が少ないので必要以上に支払わされるのでは、という不安がありましたが、野村さんはこちら側に寄り添って話を聞いて下さったということも助かりました。

基本的なところですが、やはり信頼関係を築けたことですね。信頼関係は築くまでには時間がかかりますが、壊れやすいものです。僕も営業をしていたので、基本的なことを実行するのはなかなか難しいと知っていますが、野村さんはきちんとやっていました。それがすごく良かったと 思います。

― ありがとうございます。充分にお褒めいただいた後で恐縮ですが(笑)、最後に野村へ一言いただけますでしょうか。

これまで経験が無いのであれば、出来ればリーダーシップの勉強や話を聞いて欲しいと思います。もちろん今のマネジメントも重要ですが、そういう機会はあまり無いと思うので。僕も20代では経験していなかったと思います。
人を率いていく感じや、野村さんの人柄ですと周りの良さを活かせる素質があると思うので、そういったタイプのリーダーシップを経験して欲しいです。参考になればくらいの話ですが。


営業はとても出来る方なので、これからは「自分はある程度黒子に徹しながらそれぞれの良さを活かし、出るときは出る」といった立ち回りが出来ると、組織的にもより良くなると思います。皆の中心になって率いたり、性格やバランスでその人の良さを活かすとリーダーシップの形もだいぶ変わります。そういう使い分けができると良いですね。こういう内容で良かったのかな。

― 周りを活かすような立ち回りを、というのは彼の成長にとても重要なアドバイスです。野村に伝えます、ありがとうございました。

参考までに。少し変わった経営者なので(笑)。

― とんでもないです(笑)。今日はお忙しい中ありがとうございました。とても興味深いお話でした!



■ 株式会社ビューポイントコミュニケーションズ
┃ 本社・だれでも就労支援センター@千種(発達障害特性等の強みを活かす就労支援) :
 愛知県名古屋市千種区内山3-18-12 スズシンビル2F
┃ ビューズ@名駅(うつ病再発予防トレーニングセンター) :
愛知県名古屋市􀨧区名駅二丁目25 番21 号 ベルウッド名駅1階
┃ だれでも就労支援センター@尾張・岐阜(発達障害特性等の強みを活かす就労支援) :
岐阜県岐阜市加納栄町通一丁目6 番地 國枝ビル1 階
┃ 会社サイト: http://vpcoms.co.jp/

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