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オフィス移転企業インタビュー オフィス移転の目的やその効果を企業経営者に徹底取材!

藪ノ 賢次 様

クックビズ株式会社

代表取締役 藪ノ 賢次

  • 移転しようと決めた際、まず相談させていただきました。
    情報はとことん調べてくれて、押し付けではない、ニュートラルな営業が良かったです。
  • 企業URL http://cookbiz.jp/
  • 移転先 オーエックス梅田ビル新館

大阪市北区梅田。梅田から南に位置する難波を中心とした一帯を「ミナミ」と呼ぶのに対し、JR大阪駅や梅田駅を中心としたこのエリアは「キタ」といわれ、各路線の駅やホテル、百貨店、オフィスビルが集積している。主要道路の下には堂島地区とも結合した広大な地下街が形成されており、大阪を代表する繁華街の一つだ。

JR大阪駅より北側の「北梅田」はヨドバシ梅田をはじめとした商業施設が並び、人通りが多く、昼夜問わずに賑わいをみせている。

またこの地区の各所では再開発が進み、今後は大阪駅前に広大な駅前広場と大きなシンボル軸、賑わい軸が建設され、結ばれる予定となっている。

今回は、そのような「これから最も発展の期待できる地域、北梅田」に移転されたクックビズ株式会社様をたずねた。




クックビズ株式会社について


― クックビズ様は「食産業に特化した人材紹介」を行われていますが、具体的にはどのような事業内容なのでしょうか。

既存のコア事業としてあるのが、転職者と求人企業をマッチングする「人材紹介サービス」です。2006年創業、2007年に会社を設立して11月で丸5年になります。また、今年の7月に参入した中途採用をメインにした求人広告サービスの2つの事業を行っております。


― 「転職サイト cook+biz (http://cookbiz.jp/) 」を拝見して、とても活気あるHPだと感じました。HPの作成においてこだわりがあればお聞かせいただけますか。

社内に2名のライターがおりまして、可能な限り企業を訪問し、訪問が難しい場合は人事担当者に直接電話取材をして、オリジナルのコンテンツを積極的に作成しています。クックビズでは各ページに掲載される企業の紹介文を非常に大事にしております。取材でいただいたキーワードをもとに、求職者が働きたくなるような、より現場のイメージが伝わるような文章を書いています。

― この掲載数を2名のライターさんで…。すごいですね。ほとんどの求人に「クックビズからの一言」が入っている等、内容の細やかさが他社サイトと違うと感じました。

ライターは2名ともパートなので出勤は週に3~5日ほど、所属している企画編集部は企業紹介のページだけでなく、サイト全般のコンテンツ作りや、その他の山ほどある雑務も担当してくれています。ですので、彼女たちの仕事はとても早いですね。ライターに限らず、質の高い仕事を早くこなせるのがクックビズスタッフの特徴です。





― わずか12名のスタッフで企画、運営、コンサルティング、営業etc全てを行われています ―


― 積極的にオリジナルのコンテンツを掲載されているとのことですが、どのようなことをポイントに取材されているのでしょうか。

求人企業は紹介ページに掲載する情報を、自社がPRしたい内容を中心に考えます。けれど、クックビズのユーザーは基本的に「求職者」なので、事実、彼らが知りたい内容を中心に構成していきます。

人材紹介のステップすべてがネット上で完結するモデルも効率的には良いのでしょうが、人材ビジネスの意味は「人と組織の成長を促進させる」ところにあると僕は思うので…。我々は、ただ求人サイト運営しているのではなく、面談ブースを使ってキャリアアドバイザーが転職希望者に会い、毎日のように「求人企業のここが知りたい」という要望を浴びています。クックビズではそのように、生身の人間と直接会い、彼らの口から聞いた「知りたい情報」をもとに作られた質問項目を企業側へ投げているのです。キャリアアドバイザーと企画編集部の部署は違いますが、同じフロアにあるので情報の共有がしやすく、転職希望者のリアルの声を活かしたコンテンツ作りができていますね。

クックビズでは本社に営業、キャリアアドバイザー、企画編集、全社WEB戦略室の機能がそろっているので各部署の情報の共有がスムーズで、それらを反映したサイト運営ができております。これは非常にありがたいことですね。自社メディアで人材サービスを行っている大きなメリットだと思います。




「広告をうたない」という戦略

また、クックビズの非常に重要な事業戦略に「広告を打たないこと」があります。積極的に求人タウン誌に出稿して、転職登録者数を集める人材紹介会社もありますが、当社はそのようなことをしていません。5年前からずっと自社の求人サイトのみを集客のツールとしていることが1つの特徴です。

何故かというと、我々は手数料ビジネスなので…。積極的に広告を打つと、その分、紹介料が高くなりますし、かといって安価な紹介料だと今度は逆に自社の利益が出ない体質になります。加えて、すでに大手の人材サービスが広告を出しているような媒体では、効果が得にくいでしょう。そのような点から、やはり広告はなるべく出さないことが重要だと思います。ですので、広告でクックビズを知ったという方は少ないと思います。他の媒体で見たことはないけれど、飲食の求人系のキーワードで探すうちに当社のページにたどり着き、そこからゆっくり内容を見てエントリーされた、という流れがほとんどでしょうね。

― 「独立支援制度あり」「カフェ・喫茶の求人」「ブライダル業界求人特集」 etc  魅力的なオリジナルコンテンツが特徴です。―

事業戦略における「cook+biz」というサイトは、サービスやブランドを認知していただく、当社で転職先を見つけたい転職者の数を増やすという2つの役割を担っています。当社でもリスティング広告に関しては、比較的積極的に行いますが、それはリンク先がクックビズになるからです。

他社が運営する媒体に広告を出すと、当社のサイトへ来る前に、その媒体の中でエントリーする等のアクションをして完結してしまうんですね。「転職登録者が増える」点に限って効果はありますが、目的はそれだけでなく、求職者にまずクックビズサイトを見て求人を探してもらい、相談のために来社していただく、弊社の対応や入社までのサポートに評価頂き、ブランドとして認知していただく(口コミやリピートに繋がる)、というのが我々の狙いです。

何故そのようなことをするかと言いますと、飲食業界において、転職支援というサービスはまだまだ認知さていないからなんです。


― そうなのですか?

はい。飲食業界で仕事を探すときは、求人誌や求人サイト、同じ飲食人の紹介で探す方が圧倒的に多く、「転職相談に来社されませんか?」と言ってもイメージが沸きにくいんです。そのような方々が、実際に来社されるには、「気になる求人情報があるから相談に来る」という流れが1番スムーズで。我々は、出来る限り多くの求人情報を転職者に公開し、それを理由に当社への来社動機を高めて欲しいと考えています。そのためにも、飲食業界で働く人々が来社の理由に掲げるくらい、魅力的なコンテンツを掲載することが非常に大事だと思っています。



― クックビズ様の「良い店作りは、良い人づくりから」というコンセプトは、ただ「仕事を紹介して完結」ではなく、人を作るという…。人材紹介を超えたものだと感じました

そうですね。どうしても僕たちは、転職相談をさせていただいた方の行く末が気になります。面談時にはその方の家族構成や人生観など色々なことを聞くのでやはり感情移入をしますし、短い付き会いの中でも、それぞれ相手に対する想いを持って接します。クックビズでは転職をより良い暮らしのためにする、前向きなものだと思っているので、担当した方のその後が「より良い状態」になっているかは、面談を担当したキャリアアドバイザーなら必ず気になるはずです。

我々も新しい職場に勤務する初日や、開始から1週間、1ヶ月、3ヶ月…と定期的に電話をするオペレーションを組んでおりますが、そういう風に「自分のことを気にしてくれる人がいる」というのは、非常に大切だと思います。転職者と企業がマッチングした時点で売上げが立つので、営業としてはそこで終了しても良いのですが…。システマチックにマッチングを成立させることだけが人材紹介ではないと考えているので。

転職を希望される皆さんは、より良い生活がしたい、よりやりがいを持って働きたいという気持ちで相談に来られます。「現職ではそれを成し得ないがために転職する」ということを考えると、マッチングの成立は終わりではなくてスタートのはずですよね。ポジティブ、ネガティブ、理由は皆さん様々ですが、一貫して言えるのは、やはり「今よりもっと良くなりたい」という気持ちなので、それが転職によって達成したかというのが非常に重要だと思います。そこに対する関心の薄い人材紹介会社があることも気になりますね。


反対に企業側からしても、今よりもっと組織を成長させるために採用は行われるのだと思います。

他でどれだけキャリアを積まれていても、入社した時点でその組織にマッチングしている方はまずいませんし、どのような方でも、組織の中で成長する道を自ら選ばないと、組織への貢献は果たせません。
転職した先で個人がさらなる成長を求め、その成長が組織の成長、売上げ向上、さらには利益向上につながることが企業側の目的で、そこで転職者との利害が一致しているはずなんですよね。

― なるほど。今までは入社後のケアのお話でしたが、「人づくり」は入社前にも行われているのでしょうか。

そうですね。我々のようなサービスを利用する方には大きく2パターンいらっしゃいまして、1つは既にご自身のネットワークで情報収集されていて、そこにも出てこないような、より質の高い案件を求めている方です。

もう一方は、「とにかくなんとかして欲しい」という方で、こちらも意外と多くいらっしゃいます。慢性的な人材不足にある飲食業界とはいえ、数年前のように希望者であれば誰でも受かるという状況から、企業を成長させる人材かどうかという、伸びしろの部分を考慮した採用が始まっているんですね。国内の市場が伸び悩み、外食も不況ですから最もだと思います。そこでご自身を上手くプレゼンテーションできない方は、なかなか決まらないです。

飲食業界には職人さんも多いのですが、特に彼らは制作物や調理物に自信があっても、面接で本来の自分の良さを伝えることは苦手という方が多いので、そのような方に向けて面接トレーニング等を行っています。人材紹介の1番の魅力は、そのようなことを通して、自分で気づかない自分の良さを第三者から発見してもらったり、自力では知りえない求人情報、企業の特徴を得られることではないでしょうか。

あとは、志望する企業の選択を間違えている方も割りと多くいらっしゃいますよ。

― 各メディアで注目を集めていらっしゃいます ―


― そのようなこともあるのですか。

はい。人によっては、同じ間違いを繰り返す傾向があります。現職に抱く問題を解決させるための転職なのに、「現状から抜け出したい」という部分が先行して、同じような企業を選んでしまうんですね。今の企業とマッチしなかった原因を追究せずに、同じようなキャラクターの企業に入り、ミスマッチにつながるというケースは往々にしてあります。あとは、1人で悩んでしまったときに選択ミスは起こりがちです。

僕は、転職にプロはいないと思っています。転職は数年に1回、人生の中でも片手で数えるほどしか経験しないものですから。でも僕らは転職者と毎日対峙しています。そして、それこそが僕らの存在意義だと思っています。実際に人に会い、数多くの成功事例、失敗事例を見ているし、ウェブだけでは知りえない体験を目の当たりにしているので、そこから伝えられるアドバイスというものは非常に有効だと考えています。

― そうなりますと、「キャリアアドバイザー」が非常に重要な役割になりますね。こちらは社員の方々ですか?

重要ですね。業務を営業に限定するのなら契約社員でも可能ですが、キャリアアドバイザーはやはり社員にしか任せられません。当社でキャリアアドバイザーは一番最後に任される職域でして、数年間 営業を経験した者でもまだまだキャリアアドバイザーとしては未成熟なので、転職者と直接は対峙させてもらえないという場合もあります。マッチング業務はスペックだけ合わせれば良いというものではなく、個人を理解して企業も理解して、その気持ちを汲み取りながら、正しい選択を一緒に導き出さなくてはいけません。様々な要素を必要とされる、非常にハードな業務だと思います。

― 今は何名ほどいらっしゃるのでしょうか?

キャリアアドバイザーと営業を兼任する形で5名です。「人材ビジネスは、在庫を持たずに仕事を人に紹介するだけだから簡単だね。」という声がありますが、とんでもないですね(笑)。人の人生に関わるからとても重要ですし、求職者の気持ちを汲み取ることができない場合は、その職を剥奪されるくらいシビアな職域です。

けれど、誰かが「社長」を代わってくれるのなら僕がやりたいくらい、やりがいある仕事だと思います。僕たちは転職の当事者になれないけれども、当事者以上に考え抜きます。できるだけ多くチャンスをセッティングし、最終的に一社に決定する際に必要な有益な情報を、より多く伝えられるよう努めます。このように状況を判断しながら進めていくところは、非常にやりがいのある仕事だと思いますね。



起業は、逃げた結果


― 「就職をされずに起業された」という藪ノ社長にとても興味があります(笑)。起業に向けて、学生時代から何らかの活動をされていたのでしょうか。

いや、していないですね。僕が起業した理由は、一言で言うと「就職から逃げるため」でした(笑)。

我が家は比較的教育熱心な家庭でしたので、僕も一生懸命に勉強をして、南大阪では割と有名な高校に入学しました。けれど、やはり自分より優秀な人間はたくさんいるんですよね。そこで1番になるのはなかなか難しくて、次第に勉強からドロップアウトしていきました。それでも高校を卒業して、大学に進学したのですが、勉強という感じにはなれなくて。僕が大学にいたころは、学歴社会が崩壊して今後は実力主義に変わっていく…というような、パラダイムシフトが起こるタイミングでした。加えて就職氷河期ということもあり、有名大学に進学したからといって、必ずしも良い企業に入れる保証は無いという時代の変化もありました。

その頃は僕もサラリーマンを目指す学生の1人で、自分で会社を経営するという考えには1ミリも触れていませんでしたね。自分の原点には「より良い企業に入り、より良い暮らしをしたい」というものがあるので、高みを目指す点では同じですが、今とは全く違いました。 大学には優秀な大学院があり、そのまま進学する選択もありましたし、教員免許も取れそうだったので教師になることも可能でしたが…。最終的にはどちらも選びませんでした。進学するほど勉強が好きではなく、大卒では一流企業に行けなさそうでしたので就職活動もやる気になれなかった。そのように自ら全ての道を閉ざし、最終的に僕は卒業証書だけを持って卒業してしまったんです。

だから僕は大きな志を持って独立したのではなく、最終的にたどり着いたのがこの形だったんです(苦笑)。スタートアップ系のイベントで「僕にとって起業は逃げだった」という話をよくしますが、「起業は色々なことから逃げた結果」、まさにその通りだと思いますね。

僕が起業した2005年ごろはインターネットが既に普及しており、検索すれば様々な情報が得られる時代になってきていました。それはとても良かったと思います。



― そうだったのですね。「逃げた結果」…意外でした!クックビズ様は、食産業に特化した人材紹介を行われておりますが、なぜ食産業を選ばれたのでしょうか?

ある食の専門学校から、「学校では就職活動のサポートはしているが、在学中のアルバイトに関して手厚いサポートが出来ていない」という話を聞いたんです。そのことを知ったとき、その分野でアウトソーシングの可能性を感じ、ふつふつと人材ビジネスをやりたいという想いが沸いてきました。当時は派遣が大盛況な一方、様々な問題も提起されていた時でして。今後は人材紹介が注目されるのではないか、という考えが僕にはあったんですよね。


クックビズの誕生

起業に関する本の多くに、起業時には大手企業のような「何でも屋さん」を行うと成功しにくいので、まずはターゲットを絞ること、お客様を限定することが、いろはの「い」として書かれています。僕の場合は、求人情報が「求人紙」から「求人サイト」で公開されるように切り替わっていた時期で、人材紹介はターゲットとしてこれから面白い分野だと感じました。ちなみに、同じ求人でも「求人広告」はメディア事業なので非常にコストがかかります。既に大手企業が億単位の資金を投下してビジネスを展開している市場ですので、起業時にそこへ挑むのはなかなか厳しい挑戦になると思いました。

当時、人材紹介はまだまだニッチなビジネスでした。ヘッドハンティングやハイエンドに向けての人材紹介はありましたが、年収500万円以下の層に対してビジネスを行っている企業は少なく、マーケットとしてぽっかり空いていたんです。ですから、「人材紹介という今後伸びていくであろう市場」で「年収500万円以下の層をターゲットにする」、僕はここで勝負をしようと考えたのです。

2006年に専門学校へ企画を出したところ、そちらがスムーズに通り「クックビズ」はスタートしました。独立したのが2005年なので、その1年後です。当初は在学中のアルバイトサポートという形をとっており、学校のある地域の求人情報を僕たちが集め、学生に案内をしてマッチングするという学校限定のサービスだったんですよ。

クックビズ、マッチングのルーツ

クックビズでは学生一人ひとりを面談して、将来につながるアルバイト先を紹介していきました。

例えばパティシエになりたい学生がいたとします。パティシエは本来専門職なので、卒業後に正社員としてしか働けません。けれども在学中に出来ることとして、「アルバイトを通してお客様のニーズをつかめるのでは」とパティスリーの販売員を紹介することが出来ます。


実技を磨きたいのであれば、「同様の調理器具を扱う」ということで、レストラン等のキッチンを紹介します。お店によってはデザートを出すところもあるので、そこでパティシエにつながる何かを学ぶ機会があるかもしれません。

このように、面談を通して数ある飲食アルバイトの中から、その方の将来につながる仕事を紹介していきました。「本当に飲食業界へ就職したいのか?」と自らの意思を確認する意味でも、このような期間は必要であるという仮説で動いたところ、それがニーズとして受け入れられたのですね。

学生の中には情報がなかった故に、コンビニでアルバイトをしている方もいたのですが、同じアルバイトでも飲食の仕事があるから、そこで働きながら学ばないか、と斡旋したら非常に喜ばれて。「飲食は大変だけれどやりがいがあります。」という感想をもらうこともありました。その後、サポートした方の就職が決まると僕たちも嬉しかったし、面白かったです。

授業への意欲度においては、習っていることが放課後に行う実践で活きているので高まったようです。自分のしていることが何の役に立つか実感することは、非常に重要だと思います。僕は大学で数学を専攻していましたが、それが将来、職業とどのように繋がるのかいまいち不明瞭で、勉強へのモチベーションを保つのに苦労しました。こちらの学生はせっかく調理やサービスという、アルバイトでも経験できる内容を学んでいるのですから、ぜひ在学中に試して欲しいし、自分がこの業界に適性があるかどうか見極める上でも、非常に良い時間の使い方ではないかと考え、提案していました。

「世界とつなぐポータル役」を目指す


― 今後の展開として、海外を視野に入れていらっしゃるとのことですが…。藪ノ社長の考える「日本の食文化の魅力」とは何でしょうか。

―「人」を大切にしたマッチングを行われています ―

おそらく多くの方が海外に行って感じると思うのですが、日本人のサービスはきめ細かいですね。日本にはチップがないし、仕事への対価は固定で決まっていてインセンティブもつかないから、いい加減なサービスをされても不思議ではないのに。

この奉仕精神は、日本人の勤勉さ・真面目さから来ていると思うので、非常に素晴らしいと思います。同じ食事代・サービス料でより良い体験をしていただきたい、と心底思えるのは日本人ぐらいでないかと僕は思います。

― その日本人のサービス精神を輸出されたいと。

そうですね。サービスもそうですし、調理技術もです。日本人は手先が器用ですよね。サッカーを例に挙げますと、これまで日本人は、技術は超一流でもゴール前で狡猾さがなかったり、クラブチームとのパイプがない等で海外に行けませんでした。今はインフラが整い、日本人が本来持っている技術力や利他主義、真摯的な精神が海外でも評価されて、スカウトされるようになってきました。


僕は食に関しても同様だと思います。日本人の持つホスピタリティ精神と、手先の器用さから始まる調理技術の高さは、海外で充分に評価されるものだと思っています。事実、ミシュランの星の数ではフランスと並ぶくらい日本は多く、調理技術やサービス精神で非常に国際競争力があると考えています。

ちなみに、海外のレストランで日本人は、リーダーとしては魅力に欠けるけれど、セコンドとしては最高の仕事をすると言われています。調理技術も確かで、チームのために貢献する。技術的にもマインド的にも非常に良いものを持っているんです。以前、転職登録者の方で、日本国内の飲食店では役職に就いたことがなかったのに、海外に渡ってからわずか1年でセコンドにまで上りつめた…というケースがありました。海外において、この層はやはり日本人の方が厚いと思います。

― なるほど。

今はアジアが伸びておりますが、今後、先進国になっていく新興国は、より質の良い食べ物を楽しみとして求めるようになります。自国に商材がなければ、やはり海外から輸入するでしょう。それに伴い、今後はもっと日本の企業が現地で飲食業を展開したり、海の向こうからこちらに調理技術や接客を学びにきたり…という流れが加速していくと思われます。今、クックビズはその時期に向かって国内の流動性を高めている状態で、最終的な出口は海外を考えています。

日本でキャリアを高めた方が、最終的に国内でキャリアアップが出来なくなったとき、活躍の場を海外に移すとか、逆に国内で成熟した技術・ノウハウを海外の方が学んで持ち帰り、自国でよりレベルの高い食文化を形成していくという部分で、日本は世界の役に立てると思います。クックビズは、そのような場面をつなぐポータルになりたいと考えています。

― そうなりますと、今以上に飲食業界へ夢が持てますね。

そうですね。僕は、海外の方が日本を旅行する楽しみの一つは、たぶん食だと思っていて。日本には様々な種類の食べ物がありますし、食文化におけるホスピタリティ精神にも魅力を感じていらっしゃると思うんです。


―「人」を大切にしたマッチングを行われています ―

そのように魅力的な日本の食ですが、僕らが飲食業界の方たちと話して感じるのは、国内にはネガティブなイメージが蔓延している、ということですね。海外から見た日本の食に関する魅力と、国内で実際に働いている方たちがこの業界に抱いている不安感、危機感、閉塞感…。大きなギャップがあるんです。

実はこのギャップの穴埋めこそが、ビジネスチャンスだと思っています。

― 僕たちの仮説としては、日本の食産業は本来魅力と実力のあるものなんです。確かに国内マーケットは今後も縮小傾向だと思われるので、引き続き、前年割れが続いて非常に厳しいでしょうし、海外へ進出するにも、商習慣や人材といった様々な問題があり、展開していくことは難しいかもしれません。

でも先ほどの話にあったサッカー選手のように、インフラさえ整えば、海外でも充分に、日本の飲食関連企業が持っている本来の底力を、発揮できるはずなんです。そのインフラ整備の中には「人」も非常に重要な要素として含まれると思いますので、そこの部分はやはり我々が担いたいと考えています。

「クックビズを利用したから海外展開が上手くいった」という企業が一社でも多く現れてくれれば、当社の飲食業界への貢献度は非常に高いと思います。国内企業の海外進出は日本という国の広告にも繋がるので、ひいては国への貢献になります。外食や食産業は外貨が稼げるビジネスモデルだと僕は考えているので、もっと盛り上げたいと思いますし、それを実現させるのがクックビズであれば良いなと思っています。



― なるほど…。今後の展開がとてもたのしみですね。

たのしみですね!僕の中ではけっこうイメージが出来ていて…。いろいろな流れはあるでしょうが、クックビズを始めた当時から描いているイメージは少しずつ実現していますし、こちらも現実になると思います。まずは思って願って、足を動かさないと。

― 海外が今よりさらに近くなって、私たちが「外から見た日本」を知る機会が増えれば、日本人の自尊心は高まると思います。非常に楽しみです。

― 赤いオフィスカラーの赤がポイントのお洒落なエントランス ―


移転のこと

― 移転のことについてお伺いさせていただきます。今回 こちらのオフィスに移転された経緯をお聞かせいただけますか?

理由は2つあり、1つは手狭になったということ、もう1つは立地で移転をしました。

大阪で事業を展開するにあたり、増えてきたのが神戸や京都という、他府県からの転職相談でした。他府県の方にとって、前オフィスの場所は分かりにくいという声を前々から聞いていましたし、クックビズが日本国内のマーケットでナンバーワンになるためには、やはり大阪の中心である梅田にオフィスを構えることは必然の流れかなということで、ここに移転いたしました。

隣の梅北地区は新しく開発が進んでいますが、そのコンセプトの1つには海外と関西マーケットとのハブ役になることがあると思います。海外の企業を積極的に誘致して、国内企業とのリレーション作りや、国内企業が海外に進出する橋渡しの役割を目的にしていると思います。そのような梅北の隣に移転できて良かったですね。我々も再来年ぐらいにはあちらに移転することを次の目標としてがんばっています。

― 新しいオフィスになって、前オフィスでは出来なかったことが実現したことはございますか?

― エントランス右手には社員様も大好きな「クックビズおじさん」ご来社の際は是非ご覧ください ―

そうですね。まずは先ほどお話した相談者が来客しやすくなったこと。他に、前オフィスでは2部屋借りて、1部屋はフロント兼 面談ブース、もう一つはオフィスとしていたのですが、逐一往復することが大変なことに加え、もう片方の部屋の様子がまったく把握できませんでした。そのようにバラバラな状態を一部屋に集中できたことも移転したメリットですね。

あとは前のオフィスは非常に狭かったので、デスクの島が作れずスタッフ達は壁に向かって仕事をしていましたし、窓の外にはすぐ隣のビルの壁がある状態で、非常に圧迫感がありました。これまでは自然光の入りにくいオフィスでしたから、「ここは明るすぎて目が痛い」とみんなが冗談を言うくらいですよ(笑)。

特に企画担当や事務職のような、ずっとオフィス内でパソコンに向かって仕事をしているスタッフはとても喜んでいます。「快適すぎる!」って。


― こちらのオフィスはスタッフの皆さんにもご好評なのですね!やはり社内の雰囲気も変わりましたか?

そうですね。今回のオフィスは市販のパーテーション等で区切ったのではなく、一から壁を立てましたので見た目もきれいですし、みんなも嬉しそうです。当社のコーポレートカラーである赤が各所にちりばめられており、特にロゴの入った赤い壁と入り口のサインはウチにしかないものなので、気に入っています。あのロゴは社員もみんな気に入っているのですが、目立つところにデザインされているので、そのことが会社のアイデンティティを確立するのに役立っているのではないかなと思います。

また、こちらへ移転した5月以降、けっこうなスピードで採用を行ったのですが、みんな定着してくれています。1人もミスマッチを出さずに今までこれているので、そういう意味でも社内の雰囲気は良いと思います。


― それでは最後に…。今回担当させていただいた斉藤のご対応はいかがでしたでしょうか?

以前のオフィスで移転か増床か検討した際に、はじめて相談させて頂いたのがきっかけです。その時は増床で一旦落ち着きましたが、今回移転しようと決めたとき、まず斉藤さんに相談させていただきました。前回の対応で不安や不満があれば他社に問合せしたくなるものだと思うのですが、それは全くなかったですね。ときどき一緒に飲みに行きもしますし、同い年ということもあって僕も親近感を持って接しています。畏まり過ぎていないし、くだけすぎてもいないし。適度にフランクな感じが良いです。

あとは「仲介業者」には物件を早く決めさせようと、こちらを焦らせるイメージがあるのですが、斉藤さんにはそれが無いですね。こちらのビルも「他社の申込が入る前に申し込まないと!」と僕の方が急いで書類を書いたくらいですよ(笑)。

そのように押し付けではない、ニュートラルな営業が良かったです。情報もとことん調べてくれましたしね。こちらのビルに決定するまでに何物件も案内してくれました。

― たくさんお褒めいただきありがとうございます。

実は直前まで違うビルを考えていたのですが、最終決定の前に他の社員にも物件を比較してもらおうと内見してもらったところ、満場一致でこちらの方が良いという答えでして。郵便局やコンビニ、カフェが入居しているので訪問者に説明する際、サインとしても分かりやすかったし、エントランスには活気がありました。内見の後、斉藤さんも含めみんなで1Fのカフェで相談したことを覚えています(笑)。


一般的に、営業マンは売り上げの大きい物件を勧めたくなると思います。けれどもこちらが納得するような根拠も無く、売上げのためという理由だけで物件を勧められると、やはり僕らとしては違和感があるし、相手を信用できなくなりますよね。斉藤さんの場合はそういったことはなく、僕の意見を汲み取った上での対応をしてくださいました。物件を検討する中で、双方の間に何かが食い違うということは特にありませんでしたね。

― ありがとうございます。本日はお忙しい中ありがとうございました!

■ クックビズ株式会社
┃ 大阪府大阪市北区芝田2-7-18 オーエックス梅田ビル新館6階
┃ 求人サイト : http://cookbiz.jp/
┃ オフィシャルサイト : http://cookbiz.co.jp/
┃ 社長ブログ 「賢次ノ人事」 : http://blog.cookbiz.co.jp/

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